お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

30歳、専業主婦。まもなく出産ですが貯蓄は100万円しかありません(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、出産を目前に控えた30歳の専業主婦。結婚を決めたら夫に借金が発覚、共働きの予定だったのに流産を機に退職、と想定外のことが続き将来に不安を感じているといいます。そんな稲子さんのお悩みに、ファイナンシャル・プランナーの藤川太さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 家計管理能力は高い。聖域を見直せるのは立派!

結婚、出産といったライフイベントが続く時期は、想定外の支出が起こりがちです。稲子さんも、まさにそんな状況にあるといえます。貯蓄が少ないことに不安を感じていらっしゃるようですが、月々の支出はきちんと管理されていて、稲子さんの家計管理能力の高さがわかります。
 
象徴的なのが、引越しをして家賃を下げているところです。これは本当に立派! 毎月かかる費用ですから見直せば大きな負担減になるのですが、家賃は聖域にしてしまう人が多く、ここまではなかなかできません。自分で考えてしっかり実行できる行動力は、この先、家計を管理していくうえで非常に貴重ですから大切にしてください。
 
では、それなのにどうして貯蓄が増えないのでしょう。端的にいうと、最大の理由は収入が少ないからです。将来的には稲子さんがパートで働いたり、できれば正社員になるなどして世帯収入を増やすことが必要といえそう。現状通りの家計管理を続ければ、収入さえ増えたら確実に貯蓄を増やすことができます。
 
1つ心配なのは、ご主人です。独身時代に借金をしていたとのことですが、1回こういうことをする人は今後も可能性があります。稲子さんがいくら節約に努めてもご主人が借金をするようであれば、穴の開いたバケツに水を入れているようなもの。とはいえ、こづかいが少なすぎるのは逆効果の場合もあります。しっかりコミュニケーションをとって、必要なお金は渡したほうがいいでしょう。
 

アドバイス2 共働き前提で加入した保険はすぐに見直しを

家計管理はしっかりできていますが、保険については見直しが必要です。稲子さん自身も「保険は結婚時に定年までフルタイムで共働き、すぐ妊娠することを想定して加入。流産により退職したため見直す必要もあると考えている」とコメントしていらっしゃいますが、その通りです。
 
現在加入している商品は結婚したばかりのご夫婦が保険ショップへ行くと勧められるパターンで、共働きならいいでしょうが、現在の収入でこの金額を払い続けられるかを冷静に考えてみてください。これを払い続けていると、保険にお金は貯まっているけれど手元にはお金がないという状態になる可能性が高いです。目の前のハードルを越えられないのに、葬式代の心配をしても仕方がありません。正直言って、この家計で終身保険に加入する余力はないことを自覚してください。医療保険と定期保険の掛け捨て保険だけを残して、それ以外は解約しましょう。加入してから間もないので、払った保険料から見ると損をしてしまいますが、ここで損切りをする思い切りが必要です。
 

アドバイス3 住宅購入は家族のカタチと稲子さんの働き方が見えるまで保留

ご主人が40歳になるまでに住宅購入を考えているとのことですが、ファイナンシャル・プランナーとしては現時点のままでは難しいと言わざるを得ません。
 
その理由は、概算ですがご希望の3500万円の住宅を全額借入(フラット35、借入期間35年、金利1.25%)で購入したとすると、毎月の返済額は約10万3000円です。まず、この金額を返済し続けていけるでしょうか。また借入期間が35年ということは夫が70歳を超えて完済となる計算になるので、繰上返済が必須となりますが、それ以前に教育費の準備が必要です。子ども1人につき最低でも月1万5000円、18歳までに300万円は貯めておきたいもの。これを貯めながら、4年以内に諸経費や引越し費用を貯めるのはかなりハードルが高そうです。
 
では、実現するためにはどうしたらいいでしょう。実家や祖父母宅へ近い場所での住宅購入を検討していらっしゃるとのことですが、購入までの間だけでも同居する、2世帯住宅に建て替えるといったことはできないでしょうか。同居は財産形成だけでなく、子育てや稲子さんの就業にとっても大きなプラス効果がありますから、可能性があるようでしたらぜひ検討してみてください。また、お子さんが小学校の高学年になったらパートで働くことをお考えのようですが、住宅をどうしても買いたいのならばそれを前倒しする、もしくは正社員で働くことも必要でしょう。
 
今後、第2子の出産もお考えとのことですから、家族のカタチによっては検討する住宅が変わってきます。稲子さんの今後の働き方=収入によっても、購入できる住宅の金額は異なります。まずは元気なお子さんを産むことを優先し、住宅についてはもう少し将来を見通すことができてから購入を検討してはどうでしょう。
 
最後にもう1つ。独身時代の貯蓄300万円については、本当に必要な「ここぞ!」というときまで使ってはいけません。
 

相談者「稲子」さんから寄せられた感想

詳しいアドバイスをありがとうございます。食費等の支出について指摘があるのかなと考えていましたが、やはり我が家の問題は収入が少ないことであることがはっきりとわかり、良かったです。保険は即見直したいと思います。同居の件は家族が多く、狭いということもありすぐには難しいのが残念ですが、今後家族構成が変わったときには検討したいと思います。住宅購入には今の収入と、今考えるわたしの将来の働き方では難しいことがよく分かりましたので、働き方について考え直す機会にもなりました。住宅のことばかり考えていましたが、まずは目の前の出産に意識を向け、そちらを優先しつつ、家計管理をしていきたいと思います。ためになるアドバイスをありがとうございました。


教えてくれたのは……
藤川太さん 
 
 

 


All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに詳しく「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。

取材・文/鈴木弥生




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