奈良の観光・旅行

名建築「奈良ホテル」で歴史を体感する極上時間

「目に見えない歴史やストーリーを体感できるのが、クラシックホテルの醍醐味」と語る村田和子さん。新元号となる今年、特に注目したいのが「奈良ホテル」だと言います。泊まるだけではない、気軽に愉しめるクラシックホテルの魅力を教えてもらいました。

村田 和子

村田 和子

旅の準備・お得・便利 ガイド

旅行ジャーナリスト。「旅で元気になる」をテーマに活動。親子で47都道府県を踏破し旅育メソッドを提唱。著書に「旅育BOOK(日本実業出版社)」。クルーズコンサルタント、総合旅行業務取扱管理者。大人旅、ひとり旅も得意!

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辰野金吾

歴史的な和の佇まいが感じられる「奈良ホテル」の外観
 

安くて快適な宿や外資系のホテルなど、今まさに日本はホテルの開業ラッシュです。新しいホテルも良いけれど、クラシックホテルには、さまざまなエピソードや人々の思いなど、ホテルの歩んだ歴史がいっぱい。それらを現地で聞いて、想像しながら味わう楽しみがあります。

私がイチオシしたいのは「奈良ホテル」。設計は、日本銀行や東京駅などを設計した日本近代建築の父、辰野金吾氏です。建築好きである私は、各地の「辰野式」と言われる建物を見てきましたが、辰野氏と言えば洋風建物のイメージが強く、奈良ホテルの和の佇まいに最初は驚きました。

今回は、明治・大正・昭和・平成と激動の時代を見守ってきた名建築「奈良ホテル」の魅力をご紹介します。
 
   

館内は和洋折衷。創業110年、激動の時代の名残を感じる

 
奈良ホテル,玄関

玄関に降り立つとVIPのような気分に


和の佇まいの理由は、周囲の景観や建物と馴染むようにという指示があったからだと言います。壁は漆喰、屋根瓦には寺院のように鴟尾(しび)が配された御殿風檜造りで、玄関には赤い絨毯が敷かれ、重厚な雰囲気が漂います。
 
奈良ホテル,シャンデリア

玄関を入った吹き抜けには、釣燈籠を模した和風のシャンデリアが


大階段には、奈良の赤膚焼で作った擬宝珠(ぎぼし)があるのですが、もとは真鍮製だったそう。戦時中に供出して今の姿になったと言います。食事の時間を知らせた銅鑼(どら)は、大戦中には空襲警報を知らせる役目もあったとか。ほかにも珍しい調度品が多く、聞けばさまざまなエピソードが出てくるのは歴史あるホテルならでは。
 
奈良ホテル,階段

大階段の踊り場には銅鑼が。調度品のエピソードも興味深い


「西の迎賓館」と呼ばれた奈良ホテルのゲストには、アインシュタイン、ヘレンケラーなど歴史に名を残す著名人が大勢名を連ねます。多くのVIPを迎えた館内は、上村松園や横山大観など大家の絵画も多く、まるで美術館のよう。

アインシュタイン

ロビーの一角にはアインシュタインが奏でたピアノが写真と展示されている


ダイニングへと続く廊下には、歴史を感じる貴重な品や写真の展示があります。
 
奈良ホテル

メインダイニングルームへと続く廊下の展示にも注目

 

イチオシはメインダイニングでの朝食。建築美と歴史を堪能

 
三笠

メインダイニングルーム三笠は、2019年10月から耐震工事のため翌春までクローズ。お早めに


「奈良ホテルを堪能するなら本館への宿泊」と言われることが多いのですが、私のイチオシは創業当時のままという「メインダイニングルーム三笠」での朝食。宿泊者以外も利用でき、興福寺を望む景色も素晴らしく、優雅な一日の始まりにぴったりです。食後は建築や調度品、館内の展示や絵画などを見学し、ホテルショップで記念品を求めるのはいかが?
 
奈良ホテル,朝食

朝食は外来も可(2851円:税サ込)。洋食だけでなく、和食や茶粥も


フロントには、建物や館内の美術品などを解説したパンフレット「美術品&調度品めぐり(無料)」が用意されています。ぜひ手にして、歴史ある建物、ホテルが見守ってきた時代や人々の姿を想像し、楽しんでみてくださいね。
  DATA
奈良ホテル

奈良県奈良市高畑町1096
TEL:0742-26-3300(代表番号)
チェックイン 15:00 / チェックアウト 11:00
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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