毎月返済に10万円、どうすれば貯蓄に資金を回せますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、35歳の女性会社員の方。夫婦ともに借金をし、妻は任意整理。結果、返済が大きな家計負担となり、いっこうに貯蓄が増えず、将来が不安とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

 
借金の返済が毎月高額です

借金の返済が毎月高額です


■相談者
きなこさん(仮名)
女性/会社員/35歳
賃貸住宅
 
■家族構成
夫(会社員/40歳)、子ども2人(15歳・7歳)、義母(パート)
 
■相談内容
生活費の他に毎月10万円の借金返済があります。私は任意整理をし、数年のうちにある程度完済予定ですが、主人の分は目処がたっていません。また、車がないと生活できない地域のため、維持費が負担ですが、3台の車も手放せません。子どもの教育費が貯められず、不安です。家計簿もつけ始め、毎月どれくらい生活費がかかっているのかやっと把握できてきましたが、思いがけない出費や、食べ盛りの子どもたちの食費もかさみ、なかなか貯蓄に回せません。
 
■家計収支データ
相談者「きなこ」さんの家計収支データ

相談者「きなこ」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い途について(昨年例)
クルマの維持費(保険、税金、車検など)35万円、レジャー・旅行費10万円、子ども習い事(合宿費など)15万円、家族の小遣い10万円、生活費の補てん50万円
 
(2)所有するクルマについて
「夫、妻、母親が各1台使用」で計3台。母親の車について、車検代は夫婦が負担。ガソリン代は母親が負担。
 
(3)母親の生活費について
光熱費や家賃等は全て夫婦が負担。通信費等、個人でかかるものは母親が支払っている。母親から決まった生活費は渡されないが、食材や日用品を買ってくるという形で負担をしてもらっている。
 
(4)借金返済について
毎月7万5000円の返済の内訳
・妻の任意整理分 3万円
・夫の消費者金融の返済 4万円
・カードのリボ払い 5000円
 
(5)借金返済について・続き
相談者コメント「返済のためにまた新たにカードローンやキャッシングはしていませんが、利息しか返済しておらず、元金があまり減りません」
 
(6)加入保険について
・夫/生命保険(終身タイプ、死亡保障400万円)=毎月の保険料1万1000円
・妻/生命保険(終身タイプ、死亡保障保300万円)=毎月の保険料8000円
・子どもたち/生命保険(18歳満期、満期金200万円)=毎月の保険料3000円×2名分
 
(7)ご夫婦の勤務について
夫婦とも定年は60歳。再雇用制度はあるが条件付き。退職金制度もあり。金額は不明。
 
(8)「思いがけない出費」について
相談者コメント「冠婚葬祭が重なったり、車の故障があります。車に関しては年式が古い上に走行距離もかなりいってるので、メンテナンスがかかります。が、まとまったお金がないために、買い換えができません。ちまちま直しごまかしながら維持しています」
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 毎月の収入だけで毎月の生活費をまかなう
アドバイス2 借金の繰上返済は貯蓄が100万円を超えてから
アドバイス3 今後5年間でマネープランは大きく変わる
 

アドバイス1 毎月の収入だけで毎月の生活費をまかなう

家計が苦しい第一の理由は、借金の返済の負担が大きいからです。したがって、返済が終わるまでの家計の目標は、毎月赤字を出さない。毎月の生活費は毎月の収入の範囲内でまかなうということです。
 
とは言え、データを見る限り、毎月の生活費についてはさほど高いとは思いません。それなりに抑えるところは抑えた、頑張っている家計です。ただし、この数字どおりであればという条件付きです。
 
毎月の支出は38万5000円で世帯収入は39万円。この収支だけを見れば赤字は出していません。
一方、ボーナスからは生活費の補てんが年間50万円。他にクルマの維持費やレジャー費、子どもの習い事など、ボーナスからの捻出が決まっているものが70万円。それでも支給額が160万円ですから、40万円の行方がわかりません。それも生活費に充てられているとすれば、結局、生活費の補てんは年間90万円ということになります。
 
その中には、きなこさんが言うところの「思いがけない出費」として、冠婚葬祭費やクルマの修理費用なども含まれているでしょう。しかし、それらもできるだけ毎月の予算に組み入れて、その上で収入の範囲内に支出を収めることを目指してほしいと思います。

そのためには、毎月の支出の中身を再度洗い出して、優先順位の低い支出から削っていく。でも、そう簡単ではありません。お子さんも含め、家族がそれぞれ、我慢を強いることもあるはず。現状を考えればそれも仕方がありません。しかし、逆の見方をすれば、今までの遅れもその気になれば十分取り戻せる、その可能性もあるということ。それを今後の家計管理のモチベーションに、やりくりを工夫してみてください。
 
それが実践できれば、ボーナスから生活費を補てんしなくて済むので、突発的な大きな支出がなければ、90万円かそれに近い額を貯蓄に回すことも可能でしょう。年間で貯蓄できる金額としては、大きな額です。しかも、借金がすべて返済し終われば、毎月10万円負担が減ります。そうなれば、年間200万円の貯蓄も不可能ではないということです。
 

アドバイス2 借金の繰上返済は貯蓄が100万円を超えてから

また、このままでは当然、教育資金が不足します。そこで、お子さんに掛けている保険ですが、満期金が200万円とのこと。保険料が月3000円とすると18年間掛けて保険料の総支払額は約65万円。満期金はその3倍になる計算になります。しかし、これだけ条件のいい保険はあるとは考えにくい。再度、保障内容(満期返戻額)を確認してみてください。
 
仮に満期金が200万円だとしても、やはり不足気味。大学費用として少なくとも1人400万円は用意したいところ。結果、2人で400万円不足ですから、教育費として年間40万円貯蓄できれば10年間で準備できます。先の貯蓄ペースが実現できれば、今からでも教育資金の準備は十分間に合います。
 
また、借金もできれば繰上返済等で早めに返済したい。しかし、貯蓄をすぐに借金返済に充てるのはリスクがあります。現在の手持ち資金は30万円。何かあれば一気に底をつく金額です。教育資金とは別に、最低でも貯蓄が100万円を超えるまでは待ちましょう。そして、100万円を超えてからは、貯蓄から教育費を差し引いた分を、なるべく返済に充てて、少しでも借金の元本を減らしていくという形がいいと思います。
 

アドバイス3 今後5年間でマネープランは大きく変わる

家計で言えば、これからの5年間がとても重要だと考えています。5年間でどの程度貯められるか。毎月の生活費は毎月の収入の範囲内で何とかやっていく。2年後にきなこさんの分の返済が終わるとのことですから、それは貯蓄の上積みにする。それが実践できれば、5年後は今ある分と合わせて貯蓄500万円(借金の繰上返済分は考量せず)も不可能ではありません。そしてそれに近い額が貯められれば、今後のマネープランは大きく変わります。
 
注意すべきは、家計に多少でも余裕が生まれることでの気の緩み。ご主人の借金やご夫婦の奨学金の完済時期はデータには書かれてありませんでしたが、それも終了すれば家計は一気にグッとラクになります。そのあたりがもっとも気をつけたいところ。それをきっかけにまた支出が増えれば、元も子もありません。返済が減れば、その分、貯蓄ペースをあげる。もちろん新たな借り入れはNGです。できればクルマの買い替えも現金でしたいところです。
 
最後に保険について。死亡保障が不足しています。しかも、保険料が割高の終身保険に夫婦とも掛けられている。将来は解約して、老後資金の一部にという考えもあるでしょうが、家計に余裕があればそれでも構いません。しかし、現状が大変なのに遠い将来に備えるというのは、そもそも資金準備の順番が違います。まず、終身保険は払済保険にしてください。そして、夫婦とも割安な定期保険に新規で加入し、保険期間10年、死亡保障1000万円ずつを確保する。それでも保険料は合計で月3000円程度。それだけで少なくとも月1万3000円、年間15万円以上の節約になります。検討してみてください。
 

相談者「きなこ」さんから寄せられた感想

アドバイスを読ませて頂き、少し希望の光が見えました。頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武


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