家計の何を削れば教育資金を準備できますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、双子のお子さんの教育資金を用意できるかどうか、不安でいっぱいという20代の会社員女性。不安が大きくなり、罪悪感すら感じるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

 
子どもの教育費を準備できるのか不安でいっぱいに

子どもの教育費を準備できるのか不安でいっぱいに




■相談者
moaさん(仮名)
女性/会社員/20代
関西/持ち家・一戸建て
 
■家族構成
夫(会社員/41歳)、子ども2人(6歳・双子)
 
■相談内容
双子の教育費が心配です。このままでも大学までの教育費は貯められるでしょうか。毎日そのことの不安と、用意できないことで子どもに対する罪悪感でいっぱいです。私が死んで、その保険金で賄えばいいのではないか、とすら思ってしまいます。どこを削れば良いかなど、知恵が頂ければと思います。
 
■家計収支データ
相談者「moa」さんの家計収支データ

相談者「moa」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)家計管理について
家計簿をつけてもなかなか続かず、食費など予算よりも毎月2万~3万円オーバーしているとのこと。また、毎月余った資金については、一応予備費として貯めている(平均月5万円)ものの、それが精神的な余裕となって気がつけば使ってしまう(上記支出の趣味娯楽費=レジャー費の他に、家族旅行に年に1度行く)。
 
(2)加入保険について
・夫/収入保障保険=毎月の保険料2990円
・夫/医療保険=毎月の保険料2994円
・妻/共済(病気死亡100万円、入院5000円、女性疾病3000円加算)=毎月の保険料2000円
・妻/終身保険=毎月の保険料2万円
 
(3)住宅ローンについて
・ローン開始年/2014年(新築購入)
・借入額/1800万円
・返済年数(借入期間)/35年
・金利/変動・0.85%
・・・・・
・固定資産税額/年額11万円
 
(4)ご主人の勤務について
定年60歳。ただし、通勤時間が長く、定年まで働けそうもないと言っているとのこと。退職金制度はなし。妻の定年は不明。退職金制度あり。また、確定拠出年金制度もあり、これに申し込むべきか迷っているとのこと。
 
(5)通信費について
通信費が多いのは、義母の分の携帯代も毎月払っている (毎月6000円前後)のと、キャリア携帯から格安スマホに切り替えたいが、夫が信頼性のためかどうしても大手キャリアにこだわっているとのこと。
 
(6)教育費について
子どもの習い事(2人で2万5000円)とスポーツ(同1万4000円)。他に、教材費と学童で月1万8000円。
 
(7)お子さんの進路について
高校から私立に入学する可能性あり
 
■FP深野康彦の4つのアドバイス
アドバイス1 余った資金=予備費さえ貯めれば教育資金は安心
アドバイス2 過度の心配に何のメリットもない
アドバイス3   夫婦とも長く働くことが有効な老後対策
アドバイス4 確定拠出年金、企業型のマッチングや個人型はまだ早い
 

アドバイス1 余った資金=予備費さえ貯めれば教育資金は安心

先に結論を申し上げますと、家計管理さえしっかりすれば教育費は準備できますので安心してください。
 
では具体的にどのように家計管理を考えればいいでしょうか。まず、いただいた家計データを拝見しますと、毎月の世帯収入46万円に対して、支出は37万8000円、貯蓄(純金積立も加算)が3万5000円ですから、4万7000円が行方不明です。ただ、「毎月5万円ほど余る=予備費としている」とのことですが、これでほぼ計算は合います。
 
問題はこの5万円、年間60万円の行く先です。ボーナスがないことを考えれば、固定資産税や冠婚葬祭費、その他の突発的な出費はそこからの対応になるかと思います。それでも、ここからある程度貯蓄に回るよう管理することが大切です。
 
それこそ不定期な支出は予備費として予算取りし、残りは手をつけないという意識付けをしてください。予算を年間で20万円としても残り40万円。これが確実に貯蓄に回れば、今の貯蓄ペースと合わせて年間82万円。お子さんか高校卒業となる12年後には984万円。今ある貯蓄(と投資)を加えて1555万円。さらに教育資金づくりと思われる終身保険は解約返戻金が不明ですが、学資保険より増えると判断しての加入でしょうから、それを400万円程とすれば1950万~2000万円は用意できている計算になります。大学費用で1人500万円として2人で1000万円。高校が私立の場合、2人で600万~700万円。ただしこの間、教育費として月5万7000円を支出に加えていますから、それが3年間で約200万円。それを差し引いて、大学費用と合わせて1500万円ほどかかりますが、それでも500万円近くが手元に残る計算になります。つまり、教育費は高校から私立でも2人分を用意できるということです。
 

アドバイス2 過度の心配に何のメリットもない

上の試算結果ですが、データにある支出は一切コストを落とさなくても実現できるという点が大きなポイントです。食費7万円も趣味娯楽費3万円も、そしてクレジットの引き落とし3万5000円も削らず、実現できる金額です。
 
しかし、それは逆に言えば、予備費の月5万円を何となく使ってしまえば、どこかで同額を削らないと貯まらない金額ということです。そしてそれを継続していかないといけません。
 
そのためにはまず家計管理は重要です。1カ月の生活費は、上記データの支出額37万8000円以内で必ず収めること。何かが高くなった場合、何かを抑えるといった工夫が大事です。もちろん予備費も使いますが、年間60万円から必ず貯蓄分は確保していきましょう。
 
そしてもうひとつの条件が、夫婦とも継続して元気で働くことです。そのためには普段から健康に留意し、ストレスをためず、予算内で家族で息抜き、リフレッシュの時間をつくるなど創意工夫してください。
 
その意味で、moaさんも必要以上に心配はしないことです。精神的に負担が重なるだけで、何のメリットもありません。教育費が用意できないと進学をあきらめるか奨学金の利用となります。奨学金も給付型でなければ、社会に出る前から子どもは大きな借金を背負います。それを心配する気持ちは理解できますし、親として責任を感じることは立派だと思います。しかし、今以上収入を増やさなくても、大きく生活費を削らなくても、予算を組んで普段の生活のお金の出入りだけチェック、管理すれば、教育費は十分用意はできます。世帯収入も決して低くはありません。そこは安心してください。
 

アドバイス3  夫婦とも長く働くことが有効な老後対策

教育資金の次に用意すべきは老後資金となります。
まだ先の話ですから、実際に用意を始める必要はまだありませんが、意識はしてもいいでしょう。先の試算では、お子さんが高校卒業時に大学費用を差し引いても、手元には500万円ほど残るということになりました。
 
この時点で、生活費としては教育費をコストに加えなくてよくなります。また、moaさん加入の終身保険の保険料2万円もなくなります。これで月7万7000円の支出減。一方、児童手当は16歳以降支給がありませんから、その分を差し引くと、他の生活費が変わらなければ、ご主人が定年となる7年間で新たに貯蓄が約1000万円。つまりご主人が60歳の時点で1500万円手元に残る計算になります。
 
これで老後資金が足りるかどうかは、不確定要素が多く、まだわかりません。現時点で判明していることは、ご主人に退職金はなく、年金の支給は原則65歳まで待たないといけないということ。そして、住宅ローンの完済はご主人72歳のときということです。そう考えれば、有効な老後対策としては、どんな形でもいいので夫婦とも60歳以降も働くということ。少なくとも65歳まで。住宅ローンの支払いを考えれば、ご主人は70歳近くまで働きたいところです。
 
またmoaさんは、ご主人が定年のときまだ40代。ここで老後資金を使ってしまえば、moaさんが老後を迎えたときにそれこそ資金がなくなってしまいます。ご主人は、通勤が大変で定年まで働けないかもしれないということですが、であれば近場でより長く働けるよう準備をしてください。もっとも避けるべきは、一定期間でも収入が途絶えることです。
 
もちろん、より節約して貯蓄ペースを上げることも、将来の老後資金につながります。お子さんの高校進学を公立にすれば、老後資金は増えますので、結果は私立になったとしても、目標は公立にしてもいいかと思います。
 

アドバイス4 確定拠出年金、企業型のマッチングや個人型はまだ早い

最後にmoaさんの勤務先の確定拠出年金について。
まず確認してほしいのは、それが企業型か個人型かということ。企業型は基本的には社員全員が加入することになります。ただし、積立金は会社が負担しますので、給与から天引きされることはありません。勤務先に「申し込み」が必要とすれば、マッチングといって、企業の掛金に社員が加算するものかと思われます。これは本人負担となりますが、行うかどうかは本人の自由です。
 
したがって、もし企業型であれば無条件に加入し、それは退職金がわりとなります。ただし今の時点でマッチング(積立金の加算)はすべきではないでしょう。一度積み立てた資金は原則60歳以降でなくては引き出せません。今はその分を貯蓄に充て、教育資金づくりを優先したいところ。順調に貯蓄が増えれば、6、7年後には1000万円近くになっているはず。実際にそこまで増えていれば(=教育資金の見える化)、マネープラン的にも気持ち的にも安心できますので、そこからマッチングを開始しても年齢的にまったく遅くはありません。
 
また、個人型(iDeCo)はあくまで個人が金融機関に専用の口座を開設して行うもので、これも一度積み立てた資金の引き出しは原則60歳以降。掛金が全額所得控除になるなどメリットはあるので、老後資金づくりとしてはいい制度ですが、これも同様に6、7年後から始めればいいと思います。
 

相談者「moa」さんから寄せられた感想

アドバイスありがとうございます、今のままでも十分貯金していけると分かりとても安心しました。あまり気負わずに、ゆっくり着実に準備をしていきたいと思います。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武

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