なぜ、「お金が欲しい!」と思って投資を始めるのに、失敗してしまう人が多いのでしょうか。そこで今回は、投資で失敗する人の3つの特徴をご紹介します。「投資で成功したい!」と考えている方は、チェックリストとしてご活用いただけたらと思います。
投資で失敗する人には3つの特徴がある
投資で失敗する人の特徴1:投機に参加する
投資で失敗する人の特徴1つ目は、「投機に参加する」という点です。世間では、投資と投機がごっちゃにして考えられています。投資と勘違いして、投機をしてしまうと、思ったようにお金を増やすことができない可能性が高いです。投資と投機の違いを知らない!という方もいるかもしれません。簡潔にご説明します。投資とは、読んで字のごとく「資本に対してお金を投じること」を指します。投資業は、仕事でいうと銀行業に近く、「金貸し業」に喩えて説明することができます。
投資家は、投資先企業の価値を分析して、企業にお金を投資します。そして、投資先企業の成長とともに、自分の資産を増やそうと考えます。イメージとしては、「割の良い条件の企業を探し、お金を貸して、(理想的には)増やして返してもらう」感覚です。
投資=金貸しなので、投資に当てはまる金融商品は、「株式」または「債券」ぐらいしかありません。これら以外は、基本的には投機に該当すると考えておくとよいでしょう。
一方、投機とは、読んで字のごとく「機会に対してお金を投じること」を指します。投機はトレードとも呼ばれ、仕事でいうとコンビニなどの、「小売業」に喩えて説明することができます。
投機家(トレーダー)は、需要と供給を先読みし、モノを安く買って、高く売ることを目指します。イメージとしては、中古本を販売するブックオフや、中古服を販売する古着屋のような感覚です。
買い付ける商品の価値だけでなく、今後の需給を見定めなくてはいけません。企業価値の算定はもちろん、市場参加者の動きにも注視する必要があることから、投機は投資よりも、はるかに難しいと覚えておきましょう。
投資で失敗する人の特徴2:ひんぱんに取引する
投資で失敗する人の特徴2つ目は、「ひんぱんに取引する」という点です。経済学者コンビのブラッド・バーバーとテランス・オーディーンらの研究(1)によると、「ひんぱんに取引する投資家ほど利益を出せていない!」ということが分かっています。いわゆる、デイトレードなどの手法は、最悪な例といってよいでしょう。
上智大学の研究(2)でも、「短期売買よりも長期売買の方が、ストレスが少なく、幸福度や満足度も高い上に、成績のブレが少なく、資産形成が成功しやすい!」ということが分かっています。
やりくり上手な投資家は、お金をあっちこっちに動かすことではなく、むしろ、放ったらかしにすることに長けているようです。
投資で失敗する人の特徴3:投資先にこだわりすぎる
投資で失敗する人の特徴3つ目は、「投資先にこだわりすぎる」という点です。「投資先にはこだわった方がよいのでは?」なんて思う方もいるかもしれませんが、投資先はそんなに大切ではありません。投資先うんぬんよりも、「資産の配分をどうするか?」の方が、重要です。
投資でもっとも重要なのは、資産配分です。Financial Analysts Journalに掲載された論文(3)によれば、「資産配分でパフォーマンスの8割~9割が決まる!」のだとか。ですから、投資先を調べる以上に、「預金と債券と株式の資金配分を、どう切り分けようか?」を考えることに時間を割きましょう。
まとめ
投資の目的は、お金を稼ぐことです。ある種の副業のようなものです。だから、「投資したのにお金が増えない!」というのでは、本末転倒です。投資の失敗を避けるためにも、本記事でご紹介した3つのポイントを意識して、失敗しない投資家を目指しましょう。
●参考文献
- 論文:Brad M. Barber and Terrance Odean, 2000, "Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors", The Journal of Finance, 55(2), pp. 773-806
- 論文:川西諭, 田村輝之, 功刀祐之, 2012, "長期分散投資vs短期集中投資 日経マネー誌アンケートから見えるネット投資家行動の実態", 行動経済学, 5, pp. 152-156
- 論文:Gary P. Brinson, L. Randolph Hood, and Gilbert L. Beebower, 1986, "Determinants of Portfolio Performance", Financial Analysts Journal, 42(4), pp. 39-44
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