アドバイス1 まずは住宅ローンの借り換えを検討
いろいろご心配のようですが、まずは住宅ローンから見ていきます。金利が10年固定で1.75%とのことですから、これは借り換えをしましょう。現在の金利は10年固定で0.8%くらい、変動ならば0.5%を切る金融機関もあります。低金利時代なのでお金は増えませんが、ローンは恩恵があります。借り換えをして、しっかりメリットを享受してください。
参考までに、返済額の概算をシミュレーションしてみます。金利0.8%、返済期間は現在と同じ23年とすると毎月の返済額は約10万7000円、返済期間を20年に短縮すると約12万2000円になります。諸費用を考慮しても、総返済額の差は250万円以上になるはずです。金融機関のホームページなどで簡単にシミュレーションできますから、返済期間や返済額を変えてさまざまなケースを試算してみてください。余裕のない家計ではありませんし、教育費がかかる子どもがいるわけでもありませんから、返済額を減らすのではなく返済期間を短縮する方向で考えましょう。
アドバイス2 家計は食費を中心に見直す余地あり
家計については、見直す余地がありそうです。まずは食費。ご夫婦2人で7万円は、ちょっと多すぎます。この金額は、子ども2人世帯の目安。クルミさんの働き方は契約社員とのことですから、それほど時間がないことはないでしょう。もう少し工夫して4万円くらいを目指してください。通信費もスマホは格安SIMに変えてはどうでしょう。通話が多い、キャリアメールがどうしても必要でなければ、大手キャリアでなくても不自由はありません。初期設定を自分でやるのが不安ならば、量販店などにショップがある会社にすれば店頭でサポートしてくれます。一度手続きをすればその後は何もしなくても節約できますから、通信費の削減はストレスがありません。ぜひ検討してみてください。
雑費も少し多めのようです。内訳を細かく確認して、不要な支出がないか確認してみてください。不思議なもので、支出を振り返るだけでも節約できるようになります。
節約にはつながらないかもしれませんが、保険の内容も少し気になります。がんだけに手厚い内容ですが、特にご心配があるのでしょうか。脳や心臓の病気になる可能性もありますから、がん保険の保障を半分にして医療保険に入ってはどうでしょう。高血圧や糖尿病になると加入しにくくなりますから、早めに検討してみてください。
アドバイス3 70歳まで働き、家計をスリム化すれば老後資金は足りる
70歳まで働こうと考えていらっしゃるとのこと。その気持ちは健康にもつながりますから、とてもいいことだと思います。老後資金が足りないからということではなく、前向きに捉えてモチベーションを維持してください。では70歳まで働くことを前提に、老後資金を見ていきましょう。70歳までに貯められるお金は、現在の貯蓄額に上記の見直しを加えて毎月8万円程度、概算で年間100万円とします。ご主人が70歳になるまで23年ありますから、2300万円を貯められることになります。
70歳以降は現在の家計から住宅ローンと貯金がなくなりますから、毎月の支出は20万円くらい。年金がご夫婦合わせて年間165万円ということは1カ月あたり13万7500円ですから、約7万円不足することになります。これを20年間で取り崩していくと7万円×12カ月×20年で1680万円。70歳までに貯められるお金で、生活費はまかなえることがわかります。もちろん毎月の支出以外のお金も必要になるでしょうが、現在の貯蓄額と合わせれば1000万円近くの余裕があります。今後はご夫婦で家計状況を共有し、健康管理に留意することを心がけてください。
相談者「クルミ」さんから寄せられた感想
先生のアドバイスありがとうございました。第三者のご意見を伺い気持ちの整理ができたように思います。きちんと貯めていけば老後の生活がまかなえるとわかったことは大きな収穫でした。これから前向きに働いていこうと思います。どうもありがとうございました。教えてくれたのは……
飯村 久美さん
ファイナンシャルプランナー。FP事務所アイプランニング代表、All About家計簿家計管理ガイド
金融機関在職中にファイナンシャルプランナーの資格を取得。自らの経験から、お金の正しい知識を身に付けることが「やりたいこと」や「夢」の実現につながる一方で、「生活を守る手段」であると痛感し、FPとして独立。2006年、FP事務所アイプランニング開業。これまでの家計診断は1000世帯。「日本の家計を元気に」をモットーに活動中。NHK「日曜討論」日本テレビ「ヒルナンデス!」 などメディア出演多数。著書に「シングル女子の今日からはじめる貯蓄術」(成美堂出版)、「ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法」(アスコム)、「子どもを持ったら知っておきたいお金の話」(中経出版)など。
取材・文/鈴木弥生
【関連記事をチェック!】
41歳貯金160万。母子家庭で塾費用がかかって貯蓄ができない
41歳、夫婦とも派遣社員、貯金800万円。お金のことが心配
43歳貯金400万。実家に住むか住宅を購入するか迷う
33歳貯金120万円。夫の借金返済が毎月10万円も…
43歳夫婦とも派遣社員。貯金は3000万あるが不安定