「後悔したくない!」という気持ちは誰でも同じ。とはいえ、世の中には、「衝動買い」を誘うような仕組みが溢れています。
 
たとえば、スーパーのレジ前にある、ガムなどのお菓子。ちょっと気を抜くと、「このお菓子も買おうかな。100円だし」と、ついで買い(衝動買い)を誘うような仕組みが揃えてあります。
 
2012年に行われた、とあるアンケート調査(1)によれば、「よく衝動買いをしてしまう」「たまに衝動買いをしてしまう」という人は、消費者の約7割にものぼるのだとか。ぼく自身、気づけばサイフのお金が無くなっていて、驚くことがあります。ぼくら消費者の多くは、いつも衝動買いの誘いに悩まされているのです。
 
ぼくらは、日頃から多くの誘惑に晒されています。すべての誘いに乗っていると、あっという間にサイフの中身はすっからかんになり、お金を失ってしまうでしょう。「ゆたかな人生への第一歩は貯金!」です。後悔につながる買い物は、できる限り避けたいところです。
 
そこで今回は、衝動買いによる無駄遣いを避けるべく、「これ欲しい!」「これ買いたい!」という衝動に駆られたときに自問すべき3つの質問をご紹介しましょう。
 
 

事前知識:消費者行動のプロセス

本題へ移る前に、事前知識として、「消費者行動のプロセス」を覚えておきましょう。消費者行動とは、「買い物をする人が、買い物の前後にとる行動」のことです。普通は、マーケティングや営業をしている方が学ぶものです。
 
「そんなこと知る必要ある?」と思う方もいるかもしれませんが、この知識は覚えておいて損はありません。消費者行動のプロセスは、いわば「営業マン」や「マーケター」の戦略を知る糸口です。彼らの手口がわかれば、ぼくらも事前に手を打つことができるはずです。
 
城西大学の資料(2)によれば、消費者行動には5つのプロセスがあります。それは、下記の5つのプロセスです。
 
プロセス1:問題認知(商品の必要性を知る、欲しくなる)
プロセス2:情報探索(商品の機能や価格を調べる)
プロセス3:選択代案(代わりとなりそうな選択肢を考える)
プロセス4:購買の実行と停止(買う/買わないを決める)
プロセス5:購買の評価(買い物の満足度を評価する)
 
このプロセスの中でも、衝動買いと関係があるのは、プロセス1~3の「問題認知」「情報探索」「選択代案」の3つです。営業マンやマーケターは、これらのプロセスで、彼ら自身が有利になるように、情報操作をしたり、ぼくらを誘導しようとしてきます。
 
彼らの言いなりにならないように、ぼくらは「彼らに誘導されていないか?」「衝動買いを誘われていないか?」に注意を払う必要があります。このプロセスを背景に、これから、買い物で後悔を防ぐ3つの質問をご紹介します。
 
 

質問1:「そもそも、これは私に必要か?」

まず自問すべきは、「そもそも、これは自分に必要なものか?」という質問です。営業マンやマーケターは、あの手この手で、ぼくらに商品を売りつけようとします。特にありがちな手法は、「不要なモノを必要だと思い込ませる」手法です。
 
たとえば、スーパーに試食コーナーがあるとして、売り子から「今晩のおかずに、ウィンナーはいかがですか?」と声をかけられたとします。このとき、ウィンナーが美味しければ、「おかずに良いかも……」 「欲しいかも……」と思うでしょう。
 
このように、商品を「欲しい」「良さそう」と思ったときが、商品の必要性を自問すべきタイミングです。先のウィンナーの例であれば、「そもそも、おかずは必要か?」と確認してみましょう。
 
必要性を改めて確認してみると、「そういえば、既におかずには、納豆を買ってあった!」など、見えてくることがあります。本当に必要なものなら買うべきですが、改めて考え直してみると、「必要だと思いこんでいるだけ」のことが多いですから、注意しましょう。
 
 

質問2:「他に、もっと良いものはないか?」

次に自問すべきは、「他に、もっと良いものはないか?」という質問です。営業マンやマーケターは、あの手この手で、「他社の製品」の情報を隠そうとしたり、比較しにくくしたり、あるいは、自社製品の良いところだけを見せようとしてきます。
 
ぼくらにできることとしては、彼らの土俵には乗らず(できるだけ話を聞かないようにして)、自分にとってベストな解決策を探すことです。
 
先ほどの、試食コーナーの例では、「今晩のおかずに、ウィンナーはいかがですか?」と声をかけられていますが、試食に使われているウィンナーは、あくまで「お店が売りたい商品」であって、あなたにとってベストな商品ではありません。
 
この場合、手始めに「もっと安い、手頃なウィンナーは無いだろうか?」と自問したうえで、手近なところから情報収集をするとよいでしょう。
 
あるいは、思考の幅を広げて、ウィンナー以外の選択を考えてみる作戦も有効です。そこで、次の質問も覚えておきましょう。
 
 

質問3:「代わりとなる選択肢はないか?」 

最後に自問すべきは、「代わりとなる選択肢はないか?」という質問です。営業マンやマーケターは、自社の製品を買って欲しいので、あの手この手で、「あなたの問題を解決できるのはこの商品だけです!」と思い込ませようとしてきます。
 
しかし、先ほどの試食コーナーの例では、そもそも晩ごはんのおかずは、「ウィンナー」である必要はありません。他にも、いくらでも選択肢があります。
 
そこで、「そもそもウィンナーである必要があるのか?」「栄養バランスのことを考えたら、肉だけでなく野菜もあった方が…」と、視野を広げて考えてみましょう。
 
 

まとめ 

これまでの話をまとめると、買い物をするときには、「そもそも、これは私に必要か?」「他に、もっとよいものはないか?」「代わりとなる選択肢はないか?」という3つの質問を自問すると、衝動買いを防げるでしょう。
 
例として挙げた、試食のウィンナーであれば、「そもそも、おかずの準備は必要なかったから、なにも買わない」「試食とは別の、安いウィンナーを見つけたから、そちらを買う」「ウィンナーの代わりに、栄養価の高い納豆を買うことにした」など、もっと合理的な選択ができるようになるはずです。
 
本記事をきっかけに、あなたの買い物の後悔を1つでも減らせれば嬉しく思います。
 
とはいえ、「そんなに冷静沈着に考える暇があったら苦労しないよ!」「期間限定の商品とかだと、つい誘惑に負けてしまう…!」など、営業マンやマーケターの工夫に苦労する方は多いと思います。これらの対策については、また別の機会に取り上げることにしますね。
 
 
●参考文献
 
  1. 調査:株式会社アスマーク, 2012, "衝動買いに関するアンケート調査"
  2. 資料:冨木島明, 2006, "消費行動論(1):消費とはなにか", Josai University bulletinm, the Department of Economics 24, pp. 17-37
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