4 国民年金基金
国民年金基金は、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者のみが利用できる制度です。
国民年金基金は、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者のみが利用できる制度です。第1号被保険者は厚生年金には加入しておらず国民年金のみなので、公的年金の上乗せとなる年金が会社員や公務員以上に必要になります。
国民年金基金は、将来の年金額が確定している制度で、終身年金が基本であり、口数単位で自分で年金額や受取期間を設計できます。加入時の年齢や性別によって決まる掛金については、公的年金と同様、社会保険料控除の対象で全額所得控除となります。なお、掛金は月額6万8,000円まで拠出することができます(iDeCoと両制度に加入する場合は合算)。
国民年金基金の1口目は、終身年金のA型またB型(A型は15年の保証期間付き、B型
は保証期間なし、どちらも年金の支給開始年齢は65歳)のどちらかに加入する必要はありますが、2口目以降は5~15年の確定年金を選択することもできます。将来の年金額
は選択した型と口数により決まります。なお、口数(掛金)はいつでも増口・減口(増額・減額)できます。また、国民年金基金からの給付金は年金での受給になりますが、公的年金等控除が適用されます。
年金の掛金と税金の所得控除について、主なものをまとめると以下のようになります。
事例でみる国民年金基金
それでは、最後に国民年金基金の加入前後の税額の違いを事例で検証してみましょう。【事例】
Tさん(男性)は個人事業主(第1号被保険者)として設計事務所を営む40歳です。次のような内容で平成31年1月(40歳0カ月)に国民年金基金に加入する予定です。
※Aさんは国民年金保険料の未納がなく、Tさんの課税所得金額は500万円です。
Tさん:1口目 終身年金A型 掛金12,405円
2口目以降 終身年金A型×3口 掛金12,405円
確定年金Ⅰ型×3口 掛金8,850円
掛金合計額は月33,660円(年間403,920円)です。Tさんの所得から社会保険料控除として全額控除できます。また、このまま60歳まで支払うと、Tさんは65歳から80歳までは月約11万円、80歳以降は終身年金で月約9.5万円ずつ受け取ることができます(掛金や年金額は加入する年齢や性別によって異なりますので確認が必要です)。 次に、Tさんの年間の税負担の軽減についてみてみましょう。
課税所得500万円のAさん(40歳0ヵ月)が、前述のプランのように国民年金基金に加入すると、所得税と住民税の合計で年間122,872円(概算)軽減されます。
したがってTさんの場合、実質掛金負担額は年額281,048円(403,920円-122,872円)となります。33,660円(基金掛金月額)×12カ月×30.42%(税率合計)=122,872円(軽減額概算)
※税率は所得税及び復興特別所得税の合計税率に住民税を合わせた合計負担率で、課税所得金額により異なります。 国民年金基金は掛金税制優遇の効果だけでなく、一生涯(終身で)、安定した老後の収入が確保できるというメリットもあります。自営業者やフリーランスの場合は、厚生年金からの年金がないので、老後資金の準備方法として、まずは終身で税制上優遇措置のある制度を活用するとよいでしょう。また、もし資産運用に興味がある場合は、iDeCoなど異なる制度と組み合わせるなどしてもよいでしょう。いずれにせよ、この時期、年金と税金の知識を再確認して申告手続きをするようにして、老後に向けて早めに有利に準備することを考える機会とするとよいでしょう。
※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
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