防犯性を考慮した窓の計画とは?
窓は、住まいの快適性を大きく左右する要素のひとつ。採光や通風、眺望、また、熱の出入りを防ぐことも。そして、外からの侵入を遮ること、防犯面を検討する必要もあります。窓そのものにどの程度、防犯性能を持たせるかは、敷地の条件や周辺環境、ライフスタイルにもよりますし、間取りや予算などによっても異なるでしょう。また、窓だけでなく、門扉やフェンスといったエクステリアプランなどにも関わるので、住まい全体の防犯対策と同時に検討することも大切です。
敷地環境によっては、侵入しにくい小さめの窓を設けるなど、プランニングに工夫をしたい。[TOSTEM エルスターX(施工例) 洗面室2] LIXIL
Point1 設置する場所によって窓の大きさ、形を変える
防犯性を高めたい場所に設置する窓は、大きさや配置を十分に検討すること。たとえば、住まいの裏手になる洗面室やトイレなどは、大きめの窓ではなく小窓を用いたり、高い位置に設けるプランも考えられるでしょう。道路近くの居室などであれば、細長い窓をいくつか並べても。防犯性だけでなく、プライバシーを確保することもできるでしょう。Point2 防犯性の高い窓サッシを選ぶ
一般的に、窓は、サッシ+ガラスで構成されたもの。サッシとは、窓の上枠・下枠・たて枠で構成された窓枠の中の框(かまち)と組子のことですが、窓枠全体を指していることも多いでしょう。防犯面で配慮したいのは、まず、サッシの錠。そして、組み合わせるガラスの性能もポイントです。■サッシの錠
障子が確実に閉まっていない場合は、クレセントが最後まで回らない仕組み。空かけ状態を防ぐ。サブロックで侵入までの時間をかせぐことができる。[(左)TOSTEM サーモスX(説明) 単体引違い窓 クレセント シャインニッケル/(右)単体引違い窓 サブロック] LIXIL
また、引手と錠が一体化したタイプの戸先錠も。窓の開閉操作と同時に、施解錠できるタイプなので、戸締りの手間が少なくなるのがメリットです。その他、着脱が可能なノブのクレセントは、施解錠をする時のみに使用し普段は外しておくことができるもの。任意に設定した暗証番号による解錠方式のボタン錠付きのクレセントもあります。
引き違い窓の他、上げ下げ窓なども形状は異なりますが、クレセントとサブロックが装備されているケースが多いので、窓を選ぶ際には、機能や操作方法を確認しておくことが大切でしょう。
■ガラス
ガラスの間に強度と柔軟性に優れた樹脂中間膜を挟み込んだ、破壊されにくい防犯タイプの複層ガラス。強風時の飛来物対策にも。 [防犯合わせLow-E複層ガラス (断熱タイプ)] YKK AP
防犯面に配慮したい場所には、防犯性を高めた合わせガラス(防犯ガラス)などを用いる方法も考えられます。これは、2枚以上のフロート板ガラスの間を、厚く強靭な中間膜とすることで、突き破るのに時間がかかり防犯性に優れるものです。
Point3 雨戸やシャッターで防犯と自然災害対策を
ワンタッチ操作で毎日のシャッター・スリットの開け閉めをリモコン1つで簡単に操作可能。シャッターが完全に閉じると自動的にモーターロックがかかる。[リモコンスリットシャッター] YKK AP
Point4 死角になりやすい箇所には面格子を取り付ける
強度に優れたアルミ製面格子。窓枠に直接取付けるタイプのため、外壁の穴加工や下地処理も不要。[高強度面格子 FLA グリッド格子本体 幅830×高さ1,030mm S1 壁付ブラケット(出幅60) H2] YKK AP
素材は、アルミ、ステンレス、鋳物など。強度を高めたタイプ、取り付けネジを外されないように工夫された商品、サッシと一体型のタイプなどもみられます。最近ではリフォーム向けのタイプなど揃っていますし、デザインも、縦格子や横格子、井桁タイプ、ヒシクロス(ラチス)などがあるので、窓の形状や条件、外観に合わせて取り入れることが可能です。
Point5 内窓を取り入れ防犯性と断熱性を高める
リフォームで注目されているのが内窓です。内窓とは、既存の窓の室内側に設置する窓のことで、既存の窓サッシはそのままで、施工することができるもの。既存の窓+内窓と、窓サッシが2枚ある状態から、二重窓(サッシ)と呼ばれることもあります。内窓の大きなメリットは、断熱性が高まり、結露も軽減すること、防音(遮音)性能が高まることなどが挙げられますが、内窓を設置することで二重窓となるため開閉操作が倍となり、侵入することに手間がかかるということから防犯面でのメリットもあると言えるでしょう。
断熱性を高める後付の内窓。窓サッシが二重になること、防犯合わせガラスでより性能を高めて。 [TOSTEM インプラス(施工例) 引違い窓:内観(浴室) ホワイト 防犯乳白合わせ] LIXIL
Point6 ショールームやカタログではCPマークをチェック
防犯性能の高い製品のひとつの基準としては「防犯性能の高い建物部品」があります。これは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」による防犯基準にクリアした製品のことで、既存商品に比べて防犯性能が高く、主にこじ開けやピッキングに5分以上耐える製品のこと。対象となっている建築部品には、窓サッシや面格子、窓シャッターのほかに、玄関扉や勝手口扉、錠などがあり、CPマークが表示されています。商品を選ぶ場合には、カタログやショールームなどで確認するようにしましょう。プランニングの際に気をつけたいのは、防犯性を高めるあまり、居心地の悪い暮らしとなってしまわないようにすること。窓の配し方によっては採光や通風に影響がでたり、面格子を多くつけることで閉鎖的な気分になったり、あまりに複雑な施錠方法では扱いにくい場合も。間取りはもちろん、家族構成や年齢などに合わせ、バランスのとれたプランニングをすることが大切なポイントです。もちろん、日々の暮らしの中で戸締りの大切さは言うまでもありません。
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