4割の社会人が「労働時間を減らしたい」
社会人はいつだって大変です。働いていると、「なんで私が、こんなつまらない仕事をしなきゃいけないのだろう?」「残業ばかりで寿命が削られている気がする……」などなど、言いたくても言えない苦労がたくさんあります。それもあり、心の奥では「働きたくないなぁ……」と考えている会社員の方が多いことでしょう。 マクロミルが実施した調査(1)によると、4割の社会人が「労働時間を減らしたい」と回答したのだとか。また、エン転職の調査(2)によると、働く理由の第一は「収入を得るため」。「お金のために働く」という意識が強いみたいですね。
つまり、会社員の多くは「いつだって会社を辞めたいと思っているのだけど、お金がないから仕方なく働いている」ということですね。いやはや、なかなか現実は厳しいものです。
「働きたくないなら、今の職場を辞めて、新しい転職先を探せばよいのでは?」とも思うのですが、当事者からすれば「転職活動をするともっと忙しくなるし、失敗する可能性もあるから嫌だ!」というのが正直なところなのでしょうね。
ちなみに、あなたが転職を希望しているのであれば、過去に「失敗しない会社の選び方」をご紹介したことがあります。よろしければ、ご参照ください。
そんなこんなで、会社がイヤでイヤで仕方ない。そして、「不労所得で生きていきたい!」なんてことを夢見ているのでは? そこで、今回は「不労所得だけで生活するには、現実的に考えていくら必要か?」について、具体的に解説していきます。
世帯あたりの平均支出は「月32万円」
まず、「そもそも不労所得がいくら必要なのか?」という点から確認していきましょう。総務省統計局が公開している家計調査報告(3)によると、勤労者世帯における2人以上の世帯の月あたりの平均支出は約32万円なのだとか。平均支出が月々32万円ということは、年あたりの支出は約384万円です。よって、不労所得生活を目指す場合は、「年間400万円(税引後)」の稼ぎがあれば、それで十分だといえるでしょう。
次に、「どうやって不労所得を作ればよいのか?」についても確認します。たとえば、不労所得を作る方法として多くの方が思い浮かべるのは、「株式の配当金」や「不動産賃貸による家賃収入」ではないでしょうか? これらは、どちらも有効な方法です。だから、双方を検討してみる価値があるでしょう。
ただし、不労所得を作る際には注意すべき点が2つあります。
1つ目は、「手間のかかる度合い」です。そもそも不労所得とは、「働かなくても得られる所得」のことです。それにもかかわらず、管理や事務に時間がかかってしまっては、もはや「不労」とはいえません。
2つ目は、「再現性の高さ」です。不労所得にはさまざまな形がありますが、運不運に左右されるような仕組みでは、心もとありません。Christopher J. Boyceらの研究(4)によると、たいていの人は「収入が減ると幸福感が下がる」のだとか。
それこそ、「今年の不労所得は500万円だったけど、来年はゼロ円になるかもしれない……」のように不安定だと、心の余裕も持てなくなります。ですから、いつでも安定して、不労所得が得られる仕組み作りが大切です。
以上2点を踏まえると、個人的にベストだと思う不労所得の作り方は、「インデックス投資ではないか?」という気がします。インデックス投資とは、株式市場に連動する投資信託を買い付けて、不労所得を得る方法です。
インデックス投資は、ノーベル賞モノの経済理論が詰め込まれた運用術です。やることといえば、「お金を積み立てる」だけなので手間がかからないうえ、再現性はバツグンだと期待できます。
よって、以降では「インデックス投資で得られる配当金だけで生活するには、いくら積み立てる必要があるか?」という観点から、話を進めていくことにします。
ズバリ、必要資金は「3億1000万円!」
日本経済新聞社が公開している国内の株式指標(5)によると、日経平均採用銘柄の予想配当利回りは、1.64%(2021年3月31日時点)なのだとか。このうち、配当金の2割は課税されてしまいますので、実質受け取ることができる配当金は、積み立てた金額の1.3%ほどになります。そこで、仮に「毎年、配当利回り1.3%の不労所得を得られる」という前提のもと、不労所得生活に必要な積立額を試算してみます。前述したとおり、一般家庭における年あたりの支出は「約400万円」です。
そこで、この金額分を配当金で賄ってみましょう。この答えは、簡単な方程式から算出することができます。
- 必要資金 × 配当利回り(0.013)= 400万円
- 必要資金 = 400万円 ÷ 配当利回り(0.013)
計算してみた結果、「不労所得だけで生活するには、3億1000万円のお金をインデックス投資で積み立てればよい!」ということが分かりました。不労所得生活を夢見ている方は、まずはこの金額を目標に、お金を貯めてみるとよいでしょう。
ちなみに、この記事を読んで「3億1000万円なんて無理だー!!!」と思った方は、以前の記事として、「お金をかけずに収入を増やす確実な方法」や「苦労せずに貯金を増やすコツ」、「無駄遣いを減らして幸せになるコツ」などについても、ご紹介しております。併せてご覧いただけましたら幸いです。
まとめ
いつの時代も、お金の苦労は絶えません。しかし、しょせんお金なんて「紙切れ」でしかありません。こんなものに人生を左右されるなんて、耐え難いですよね。そうならないためにも、僕らは正しいお金の知識を学ぶべきなのでしょう。そして、「お金に振り回される人生」ではなく、「お金を操る人生」を手に入れたいものです。
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【参考文献】
- 調査:マクロミル, 2017, “労働時間に関する調査”
- 調査:エン転職, 2015, “「あなたが働く理由は?」世代別にアンケートをとった結果、1位は◯◯だった。その目的は…”, Huffington Post, 2015年9月4日付記事
- 調査:総務省統計局, 2020, “家計調査報告”
- 論文:Christopher J. Boyce, Alex M. Wood, and Eamonn Ferguson, 2016, “Individual Differences in Loss Aversion”, Personality and Social Psychology, 42(4), pp. 471-484
- ウェブページ:日本経済新聞社, “国内株式指標 :株式 :マーケット :日経電子版”, 2021年4月1日時点