理由1:「機関投資家」は、市場平均よりも成績が悪い?
まず、「機関投資家(投資信託の資金を運用するプロの投資家)」の言うことを信じる必要はありません。なぜ、こんな話をするのかというと、「プロのファンドマネージャー(機関投資家)の運用成績は、市場平均にすら勝てない」という事例が多数確認されているからです(1)。SPIVA U.S. Scorecard(2016)によると、大型株アクティブファンドの約9割が、市場平均にすら勝てないことが分かっています。
上述したのは米国の研究ですが、これは日本においても同じ研究報告がされています(2)。つまり、日本の機関投資家も、大半が市場平均に勝てません。だから、基本的には機関投資家の話をうのみにしないほうがよいでしょう。
理由2:「アナリスト」の業績予想は、当てにならない
次に、「アナリスト(企業の調査を行い、業績を予想する人)」の言うことも信じなくてよいです。なぜなら、彼らの業績予想は当てにならないからです。Davide Dremanによると、アナリストの予想の誤差は平均44%にのぼるとのことです(3)。44%というと、もはや「誤差」とは言いがたいほど大きな違いです。これはつまり、アナリストが「今月の純利益は60億円だと考えられる」と言ったとして、実際は40%くらいの誤差があるということです。そんなに違うのなら、予想をしている意味がありません。
過去の事例からみて、アナリスト達は「予想を大幅にはずしている」ことは事実です。それにも関わらず、彼らの話をうのみにする個人投資家は後を絶ちません。
理由3:「マネー誌」を頼りにしても、利益を出せない
3つ目の理由が、「マネー誌」に書かれていることをうのみにしても、決して利益につながらないという点です。山本一郎さんによると、「夕刊紙で取り上げられている推奨銘柄は、成績が悪い」ということが分かっています(4)。だから、新聞やら雑誌に載っている銘柄を買っても、市場平均には勝てません。よって、「新聞で紹介されている株」「雑誌で紹介されている株」「アナリストが推奨している株」「証券会社が紹介してくれた株」などを買うのは、愚の骨頂です。こういった銘柄を買っても、ほぼ儲かることはありません。
その他の論文でも、「無視されている株ほど収益性が高い(Neglected-firm Effect)」ということが実証されています(5) 。要するに、メディアで注目されている銘柄を買っても、ほとんど儲からないと言えるでしょう。
まとめ
要するに、この記事では何を言いたいのかというと、「誰かの話を頼りに考えるぐらいなら、自分で適当に株を選んで、買ったほうがよくないか?」ということです。そのほうが、娯楽としては、楽しめることになると思います。あるいは、本気で資産形成・資産運用を志している方であれば、米プリンストン大学の名誉教授も推奨している「インデックス投資」あたりに手をつけるのがよいでしょう。ヘタに誰かの意見を聞くよりも、そうやって資産を運用したほうが、ずっとよい運用成績が得られると思いますよ。
●参考文献
(1) 調査:SPIVA U.S. Scorecard(2016)
(2) 調査:SPIVA Japan Scorecard(2016)
(3) 書籍:Contrarian Investment Strategies: The Next Generation(David Dreman)
(4) 書籍:『美人(ブス)投票入門』(山本一郎)
(5) 論文:Giraffes, Institutions and Neglected Firms(Avner Arbel, et.al)
【関連記事をチェック!】