食と健康

キノコ狩りで注意すべき毒キノコ…素人判断は禁物

【管理栄養士が解説】食用キノコと毒キノコ、素人判断で見分けるのは非常に危険です。「縦に裂ければ食用」「虫食いがあれば安全」といった迷信は全てウソです。以前は食用と考えられていた毒キノコや、食用キノコや生薬になるキノコに似た毒キノコもあります。奇妙な見た目で子どもがつい触ってしまい、皮膚がかぶれる毒性を持つものも……。一部、画像も挙げながら注意すべき種類の毒キノコの例と、キノコの安全性の考え方を解説します。

平井 千里

執筆者:平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養ガイド

毒キノコの見分け方……「迷信・通説は全部ウソ」と考えるべし

きのこ狩り

秋は実りのシーズン。きのこ狩りに出かけるという人も少なくないと思います。でも、そのきのこ、本当に食べても大丈夫ですか?どのように判断すればよいのでしょうか?


ハイキングや山登りでキノコを見つけると「食べられるのかなぁ?」とつい考えてしまいます。キノコに詳しい専門家のような人が一緒であれば、「これは食べられるキノコですよ」などと教えてくれることもありますが、実は、食べられるキノコといわゆる毒キノコと呼ばれる食べられないキノコを見分けるのは非常に難しいのです。明らかに見た目で判断できる毒キノコもあるかもしれませんが、食べられるキノコに似た毒キノコを食べて死亡してしまったケースもあります。

「縦に裂けるキノコは食べられる」とか「虫がかじった跡のあるキノコは食べられる」など、さまざまな通説や都市伝説的な見分け方も伝えられているようですが、そのすべてが「ウソ」です。迷信に惑わされないよう注意しましょう。
 

日本国内でも年数件発生している毒キノコによる食中毒事故

実際のキノコによる食中毒数を見てみると、年に数件程度と、他の食中毒に比べればあまり多くはない印象です。しかしこれはあくまで保健所に届け出があった件数です。食後に下痢や嘔吐などの体調不良を起こしたとしても、自宅で静養しただけで回復したケースや、キノコが原因とは考えなかったケースは含まれていません。そのため、実際のキノコによる事故はもう少し多いのではないかと予測されます。また、数は多くないものの死亡例の報告もあります。食べられると判断しなければ命を落とさずに済んだわけですから、決して軽く考えるべきではないでしょう。

山でキノコを見つけて、見た目などから「これはよく食べているキノコのようだから食べられそうだ」と思っても、その都度、食用かどうかをキノコの専門家などの詳しい人に尋ね、大丈夫としっかり判断してもらえない限りは食べないことをオススメします。

楽しい山菜採り、キノコ狩りにこう言ってしまっては身も蓋もありませんが、最悪の場合、命に関わることもあります。事故が起こってからでは遅いので、食べられるか食べられないか、ちょっと食べてみて判断してみよう、という軽い気持ちは捨て、知らないキノコは食べない、知っているキノコのように見えても過信しないことが最も安心です。農林水産省も「知らない野草、山菜は採らない、食べない!」と注意を促しています。

自生しているキノコは放射性物質にも注意を

また、毒キノコとは少しだけ話が逸れますが、食べられるキノコでも天然の自生しているキノコを大量に食べ続けるのは、少し心配な面もあります。キノコ類は、他の野菜などに比べて放射性物質を溜めこみやすい性質を持っているためです。

市販で流通しているキノコ類に対しては「放射能検査」が随時行われており、合格したものだけが販売されているので、市販品については問題ありません。自分自身で山から採ってきたものなどは放射能検査を受けているわけではないので、念のため、過剰摂取をし続けないよう注意した方がよいのではないかと思います。
 

昔は食用と考えられていた毒キノコも……急性脳症が多発した「スギヒラタケ」

スギヒラタケ

出典:農林水産省ホームページ「スギヒラタケは食べないで!

ここまで、一般的な食べられるキノコと食べられないキノコの見分け方についてお話ししましたが、以前は食べられると言われていたのに、実は毒キノコだったとわかったものもあります。スギヒラタケです。


スギヒラタケは8~10月にスギやマツの根本、扇状の白いきのこが重なり合うように発生します。以前は食用と考えられており、実際に食べられていましたが、スギヒラタケを食べたことが原因とみられる急性脳症が多数発生したことから、現在は毒キノコとされています。腎臓に負担がかかっている人に中毒症状が出た例が多かったことから、腎臓病の人は特に危険だと言われていますが、健康な人にもあまりオススメはできません。

ブナの木などに発生するヤキフタケと形が似ているため、発生している木の種類や色などをしっかり確認し、少しでも似ていると思ったら食べないようにしましょう。

死亡例を始め、触るだけでも危険な猛毒を持つ「カエンタケ」

カエンタケ

出典:厚生労働省ホームページ「自然毒のリスクプロファイル:カエンタケ

 
さらにもう1種類、触っただけでも皮膚がかぶれてしまうほど危険なキノコがあります。ブナ、コナラなどナラ類などの広葉樹林の地上に群生して発生するカエンタケです。真っ赤な手が地面から突き出しているように見えるので、見た目も気味が悪く、およそ食用には見えません。食べられるキノコと判断する方はあまりいないかもしれませんが、漢方の「冬虫夏草」と勘違いしてお酒に入れて飲んでしまったケースでの死亡例や、食用の「ベニナギナタタケ」と間違えて食べてしまったケースでの死亡例の報告があります。

また、奇妙な形をしているため特に子供などが興味をそそられて触ってしまうことがあるようですが、実は触って胞子が肌に付くだけでもただれてしまう可能性があるなど、危険な猛毒キノコです。

カエンタケを見つけて興味をそそられても写真に収めるくらいにとどめ、絶対に採ったり触ったりしないようにして下さい。可能であれば他の人が触ってしまうリスクを下げるため、役所などに発生場所を届け出るとより安全です。
 

 

秋のキノコの楽しみ方……専門家とのキノコ狩りや、栽培キット・スーパーで

このように、天然のキノコは貴重なものであり、美味しくいただきたいと感じるのはヤマヤマでしょう。しかしここまでの解説の通り、食べられるかどうかの判別は難しく、少し知識を持っているつもりであっても、食べられる種類と非常によく似た形の食べられないキノコも少なくないため、素人判断では安心して食べるのが難しい食材でもあるのです。

キノコの毒性は非常に強いものもあり、死亡するケースからもわかるように、事故があってからでは取り返しがつきません。秋の楽しみの一つでもあるキノコ狩りは、キノコを本当によく知っているような専門家と一緒に採ったもの以外は食べない、キノコ栽培キット等を使って自宅で育てて楽しむ(暖かい部屋に水分だけ与えて放置すれば、意外と簡単に育つようです)、スーパーや八百屋さんなどで市販の旬のものを楽しく選んで購入するなど、安心して食べられるキノコをしっかりと選んで食べるようにして下さい。
 

■参考

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます