貯蓄/貯蓄する基本の方法

普通預金の新常識。定期預金は使わず金利200倍!

現在の預金金利が何%かご存じですか? 普通預金が0.001%、定期預金が0.002%。親世代、その上の世代では、定期預金に預ければ、10年で2倍になる時代もありました。今や、夢のまた夢。一時代前とは違う、貯蓄の常識を理解しましょう。【2024年3月更新】

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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<目次>

高金利の普通預金に注目を! もう定期預金にこだわる必要はない?

高金利の普通預金に注目

高金利の普通預金に注目

お金を貯めるセオリーは、先取り貯蓄で確実にお金を残すことです。しかし、先取りで貯蓄を取り入れやすいのは、勤務先に社内預金、財形貯蓄制度がある場合でしょう。勤務先に貯蓄制度がない、自営業者などそもそも先取りできない、という場合は、自分の手で、貯蓄口座にお金を振り替える必要があります。

貯蓄口座にお金を振り替える際には、少しでも金利の高い定期預金に預けたいわけですが、あるメガバンクの2024年3月26日現在の定期預金金利は、1年で0.002%。100万円を預けても、利息はわずか20円(税引き前)。これでは、積極的にお金を貯めようとせず、普通預金口座に預けっぱなしになってしまっても、仕方がないでしょう。

しかし、普通預金口座から別の口座に移すのは、金利の期待よりも、確実に残すことが目的です。子どもの教育資金、住宅購入の頭金など、取り崩してはいけないお金は、別口座にキープしておくことが大切です。もちろん、定期預金でも、ネット銀行や地方銀行のネット支店などでは、高い金利の定期預金を取り扱っていますので、そうした有利な定期預金にこまめに預けることができれば、一番いいわけです。

ただ、そうした高い金利の定期預金は、満期後は、店頭表示の金利が適用され、いつも使っている銀行の定期預金と大差なくなってしまうのです。預け替えの手間を考えれば、面倒だと思う人も少なくないでしょう。

ところで今、定期預金に預けるぐらいなら、普通預金で十分という状況が生まれているのをご存じですか?

金利200倍の普通預金に、あえて預ける

「普通預金は生活口座、貯蓄は定期預金」。これ自体、間違っているわけではありません。ただ、何がなんでも定期預金がいいかといえば、そうではありません。

2024年3月26日時点で、メガバンクの普通預金金利は、0.001%。これがネット銀行などでは、20倍の0.02%とするところがあります。勤務先の給与振込口座に指定できるなら、生活口座そのものを変更してもいいかもしれません。

なかでも注目したいのは、定期預金代わりに使える普通預金です。

あおぞら銀行BANK口座:口座残高や取引条件がなく0.20%

あおぞら銀行BANK口座の普通預金金利は、0.20%。一般の銀行の200倍で、現在の国内金融機関のなかで最高金利を提示しています。口座残高の条件や取引条件はなく、誰もが適用される金利です。また、ゆうちょ銀行ATMなら入出金が何度でも無料。預入残高の条件によって、インターネットによる他行あて振込手数料が月1~5回無料となる優遇サービスもあります。あおぞら銀行BANK口座の定期預金金利は、預入期間1年で0.21%ですから、使い道によっては、あえて定期預金に振り替える必要もないでしょう。

さらに、VISAデビット機能付きキャッシュカードを使うと最大1%のキャッシュバックが受けられます。現在、最強の普通預金といえます。

auじぶん銀行:auサービスをまとめて利用で0.20%

auじぶん銀行の普通預金金利は0.001%。これにauで使えるサービスを連携させると最大で0.20%と200倍の金利になります。

auPAYと口座を連携させると+0.05%、さらにauPAYカードの利用額を口座引き落としにすれば+0.05%。auカブコム証券と「auマネーコネクト」設定で連携させると+0.099%。合わせて0.20%となります。さらに、auユーザー限定のプランを利用すると最大0.30%に。証券口座との連携だけであっても、0.10%になりますので、有利にお金を貯めたい、増やしたいなら、利用価値は大きいでしょう。

SBI新生銀行:SBIネット証券との連携で0.10%に

SBI新生銀行は「ステップアッププログラム」のステージによって金利が異なります。スタンダード、シルバー、ゴールドで預入金額1000万円未満、プラチナで預入金額100万円未満の場合の円普通預金金利は0.001%。「ダイヤモンド」の場合は預入金額にかかわらず0.10%になります(2024年3月29日から0.15%)。「ダイヤモンド」は、SBI証券との口座連携サービス「SBI新生コネクト」に申し込みするだけでステージアップができます。ダイヤモンドステージになると、他行あて振込手数料が月50回まで無料になる特典なども受けられるようになります。

イオン銀行:イオン銀行Myステージのランクで最大0.10%に

イオン銀行の普通預金金利は0.001%。一般の銀行と同じです。しかし、キャッシュカードとクレジットカードがセットになった「イオンカードセレクト」の保有など、イオン銀行Myステージのポイント次第で、普通預金金利が最大で0.10%(※)と、一般の銀行の100倍になります。イオン銀行の定期預金金利(1年)は0.01%(キャンペーンで2024年4月9日まで0.12%)ですから、定期預金ではなく、普通預金でもいいのではないでしょうか。

(※)対象取引の利用に応じて自動的に「イオン銀行スコア」が貯まり、決定したステージによって適用金利が変わる

楽天銀行:楽天証券との連携で0.10%に

楽天銀行の普通預金金利は、0.02%。これでも一般の銀行の20倍です。さらに、楽天証券の口座を持ち、連携サービスである「マネーブリッジ」に申し込めば、普通預金金利が0.10%(※)と、一般的な普通預金金利と比べて100倍の金利になるのです。現在、楽天銀行の定期預金金利(1年)は、通常は0.02%ですから、定期預金よりも普通預金のほうが、金利が高いということです。

(※)普通預金金利0.10%が適用されるのは残高300万円まで。300万円を超えた分は金利0.04%

あえて定期預金にせず、普通預金のままで十分なのです。なお、楽天銀行は、夏冬のボーナス時期などに金利キャンペーンを実施していますので、そのタイミングで普通預金から定期預金に預けるようにしてもいいでしょう。
 

目的を見失わない口座の管理は必須

ただし、注意が必要なのは、あくまでも「貯蓄口座」として使うと割り切れるか、ということ。

楽天銀行やSBI新生銀行、auじぶん銀行は証券口座と連携しているので、いざ投資をしたい、となれば、簡単に売買代金の決済ができます。これは使い勝手がいい半面、貯蓄と投資の資金を計画的に管理しないと、貯蓄しているつもりが、投資資金に回ってしまい、本来使うべき目的のお金まで投資に回してしまった、ということになりかねません。

また、イオン銀行の場合、クレジットカードの利用額や投資商品の残高などによってステージが変わり、優遇内容が変わります。生活口座と分けたはずが、貯蓄口座から必要以上にお金が出ていってしまっては意味がありません。

筆者がおすすめする使い方は、近い将来(1~3年以内)に使うお金を貯める口座として利用することです。旅行費用、冠婚葬祭、大型家電・家具の買い換え、車の買い換えなど、いわゆる「臨時出費・特別支出」といわれるものです。こうした出費は生活口座と分けておかないと、家計の大きな変動要因になり、貯蓄から取り崩すことになります。それを防ぐためには、別の口座を作ることがベストです。

定期預金にしてしまうと、取り崩す罪悪感を持ってしまいますが、しょせん普通預金です。いざというときの資金としても活用できるでしょう。その点でも、あおぞら銀行BANK口座の「BANK(TM)The Savings」は便利。BANK(TM)アプリを使うと、普通預金から貯蓄預金への振替ができ、貯蓄目標を最大20個まで作れるので、貯蓄預金を目的別の貯蓄口座として活用することができます。適用金利も普通預金と同じ0.20%です。

そうはいっても、銀行金利は、どんぐりの背比べ。100倍、200倍といっても、大差ないといえば大差ありません。10年預ければ100万円が200万円に増えるわけでもありません。

今の時代は、生活口座、特別支出用の口座、教育費や住宅購入の頭金づくりの口座、という具合に、「目的に合わせたお金の管理のため」に銀行を利用する、と考えたほうがいいでしょう。そのやり方は、一つではありません。銀行ごとのサービス内容、ATM手数料や振込み手数料の違いなどを理解し、自分のお金をどう管理するか考え、上手に銀行口座を組み合わせていくべきなのです。


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