貯蓄/性格で違う貯蓄の方法

お金を貯めるということは、自分と向き合うこと

「お金が貯まらない、貯められない」というフレーズには、問題が隠されています。それは、どこか他人事、自分のせいではなく、原因は別のところにある、というニュアンスが含まれていることです。お金を貯めるのは、誰かのためではなく、結局のところ「自分のため」のはずです。自分の中に潜む、「貯まらない、貯められない」と考えてしまうクセを直すことが大切です。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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お金を貯めるのは「自分のため」である

子どものために、住宅購入のために、旅行に行くために、病気やケガに備えて、老後のために。お金を貯めるときに、何のために貯蓄をするのか、目標を決めなさい、とよくいわれます。
 
お金を貯められない本当の理由は

お金を貯められない本当の理由は


確かに、何らかの使う目的があって、その目標金額に達するように、みなさんは貯蓄しようと考えると思います。そのうえで、少しでも多く貯蓄できるように、日々節約に励んだり、家計をやりくりしたり、収入を増やす努力をするわけです。

うまく貯蓄できない人は、「頑張っても、お金がなかなか貯まらない」と、つい弱音を吐いてしまうものです。お金が貯まらないと、もうこれ以上やってもムリなんじゃないかとあきらめてしまったり、最悪、お金に縛られない生活でいいのだ、なんとかなるんじゃない?と開き直りたくもなってくるでしょう。

ここで、最初のお金を貯める目標の決め方に問題があることに気付く人は多くありません。

子どものため、住宅購入のため、旅行のため、何かを買うため、老後のため。これがお金を貯める目的でした。実は、この最初のきっかけこそが、「お金を貯められない」理由なのです。

何をするにもお金は必要です。しかし、その何かは、必ず自分にとって意味のあるもののはずです。子どものためといっても、本当に子どものためでしょうか。親である自分の見栄や世間体のために過剰な教育資金を貯めようとしていませんか? 住宅購入のためといっても、本当に新築のマンションが必要ですか? 何千万円もするマイホームが本当に必要ですか? どこか背伸びしていませんか? 老後が心配だからと「老後に1億円かかる」「最低でも3000万円必要」という数字に踊らされていませんか?

本来、お金を貯める意味は、自分にとって必要と思われることを実現することにあるのです。

なんだ、同じことではないか、どれも自分にとって必要なことなのだから、それを実現させるためにお金を貯めていて、それがうまくいかないから、悩んでいるのに。と思う人もいるでしょう。しかし、「自分にとって必要なこと」って何なのか、一度考えてみてはいかがでしょう。
 

本当に必要なことは、それほど多くはない

景気が回復してくると、自分の周りでは金遣いが派手になっていく人を目にしたり、知り合いじゃなくともSNSなどを見ていると、人は自分より充実した日々を過ごしていると感じるものです。別に羨ましいと思っていなくとも、潜在意識のなかに刷り込まれていくものです。

東京の湾岸のタワーマンションの上階から眺める花火や景色は、それは素晴らしいものです。でも本当に自分がそこに住みたいのか、住む必要があるのか。子どもがお金に不自由することなく、希望の大学に進学することだけが、子どもの幸せなのか。大学に進学してからも、生活に困らないように多額の仕送りをすることが本当に子どものためになるのか。もちろん、親ならば子どもの幸せを願わないはずはありません。でも時に、過剰になりすぎるのも、親だからこそかもしれません。

若いうちに海外に出かけたり、国内でも日頃の生活では出会えない人と出会ったり、目にしたりすることは大事なことです。ここを節約したり、我慢する必要はありません。しかし、頻繁に海外に行く人を見たり、国内でもグルメな旅をしているのを見かけると、つい、自分だって。と思ってしまいませんか。

一方で、周りに影響され、慌てて投資を始めようとするのも自分を見失っている行動です。これまで投資をしてこなかった人が、いきなり1点買いで株式投資をする必要はありません。今はいろいろな投資の手段があり、相場に左右されず、いつでもスタートできるのですから、自分が納得できる方法で始めればいいのです。

こうしたことは、極論かもしれませんが、人に左右されず(いい刺激を得たり、影響を受けることは大事ですが)、自分にとって、本当に必要なもの、こと、を考えていれば、その実現に向けて必要なお金の貯め方、増やし方は、人それぞれ違ってくるはずです。

このことがお金を貯める、貯められる人になる第一歩だと思います。同年代の平均年収はいくら? 平均貯蓄額はいくら? 毎月みんなはいくら貯めている? どれも本来は不要な情報です。

自分にとって必要なことがわかれば、人がどうであれ、がむしゃらに働き、必要な資金を貯められるのではないでしょうか? ここがブレてくると、何のために貯蓄や投資をしなくてはいけないのかがわからなくなります。そして、お金が貯められないのは給料が少ないからだとか、コツコツお金を貯めるのは性に合わないとか、貯蓄できない自分を正当化する理屈を考え始めるのです。
 

老後にひとり3000万円、1億円は本当に必要?

確かに将来の年金制度は不安で、いったい自分たちはいくらもらえるのか、と思うと、若いうちから老後資金を貯めなくてはと考えます。現在50代だと確かに働いて貯蓄できる時間は限られてきます。でも今、30代、40代であれば、まだまだ時間はあるのです。公的年金等以外で老後資金に3000万円必要なのか、1億円必要なのかは、やはり人それぞれです。現在の年金世代の価値観と今30代、40代の価値観は変わってきています。老後は都心で暮らすのか、田舎暮らしをするのかでも、必要な資金は大きく異なってきます。

ニュースやネットで流れてくる老後不安にあおられて、自分を見失うことだけは避けたいもの。それでくじけてしまうのか、時間を味方にしてコツコツと貯める工夫をするのかは、自分にとって本当に必要な資金がわかっているかにかかってくるでしょう。決して、年金制度への不安や不満を言い募っていても、解決することではありません。

自分と向き合い、自分は何をしたいのか、それは本当に必要なことなのか、必要だとしたら、本気でお金を貯めないといけないのではないか。「お金が貯まらない、貯められない」は、自分への甘えだといえるのではないでしょうか。

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