生命保険

生命保険会社の業績ランキング2018年

生命保険会社各社から2017年度決算内容が公開されました。この1年間でどの保険会社が伸びたのでしょうか?業界としてはどのような1年だったのでしょうか?各社の契約件数と保険料収入、健全性を示すソルベンシーマージン比率を調べて比べてみました。

松浦 建二

執筆者:松浦 建二

医療保険ガイド

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2018年の生命保険会社の業績をチェック!

自分が加入している生命保険会社や、これから加入しようとしている生命保険会社の経営状況は、誰でも気になるところです。生命保険は長期間加入していることが多いので、今だけでなく将来も安心できる保険会社であってほしいものです。各保険会社から2017年度(2017年4月~2018年3月)の決算が発表されましたので、この機会に保険会社の経営状況を確認しておきましょう。

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個人保険の新契約件数は多くの生命保険会社で前年割れ

まず最初に個人保険の新契約件数と保有契約件数を調べ、新契約件数が多い順に並べてみました。件数の単位は各社の決算内容に記載の単位をそのまま使っているため、「千件」と「件」が混在しています。「-」は新契約または保有契約がありません。
 
生命保険会社の業績ランキング2018年

個人保険の新契約件数と保有契約件数


2017年度に新契約件数が一番多かったのは日本生命で、332万2千件になります。前年に比べて15.2%も減っていますが、2番目のかんぽ生命が28.8%も減らしたことで、158万件もの大差をつけて断トツの1位となっています。

第一生命までの5社が100万件を超えており、第一フロンティア生命までの26社が10万件を超えています。ただ、新契約のある38社のうち24社は前年を下回っており、特にフコクしんらい生命(▲52.8%)やFWD富士生命(▲39.5%)、マニュライフ生命(▲32.6%)はかんぽ生命以上に新規契約件数の減少率が大きいです。

保有契約件数でも一番多かったのは日本生命で、前年より4.8%増の2619万4千件となっています。2番目がアフラックの2407万8千件、3番目がかんぽ生命の1792万1千件で、何れも前年より増えてはいますが、解約や消滅、満期等の契約があるので、前年の保有契約に今年の新契約を足した件数よりは少ないです。

保有契約件数はほとんどの保険会社で前年より増えていますが、3社(アリアンツ生命、マスミューチュアル生命、富国生命)は1.7~6.4%減っています。アリアンツ生命は新規に保険募集をしていないので、当然と言えば当然です。
 

個人年金保険は「外貨建て」か「変額」に大きく依存

次に個人年金保険の新契約件数と保有契約件数を新契約件数の多い順に並べてみました。個人年金保険は多くの保険会社で悲惨な1年となってしまいました。
 
個人年金保険、新契約件数、保有契約件数

個人年金保険の新契約件数と保有契約件数


新契約件数は前年に比べて日本生命▲47.8%、住友生命▲81.7%、第一生命▲79.7%、明治安田生命▲87.3%、かんぽ生命▲94.0%等、大手生保で軒並み大幅に減少しています。超低金利時代が続き予定利率が一段と下がったことで、個人年金保険に何十年加入しても将来受け取れる年金額に期待できない商品内容になってしまったことが主な要因と考えられます。

しかし、一部の保険会社では前年に比べて大幅に増加しています。増加している保険会社に共通していることは、外貨建ての個人年金保険や変額個人年金保険の取り扱いをしていることです。

保有契約件数は日本生命が388万6千件で最も多く、2番目が住友生命の329万件、3番目が明治安田生命の261万3千件です。住友生命や明治安田生命、かんぽ生命等は保有契約も減らしています。個人年金保険の取り扱いを止める保険会社が増えており、今後も円建て個人年金保険は縮小傾向が続きそうです。
 

新契約の年換算保険料も各社、大幅減に

契約件数に続いて新契約および保有契約の年換算保険料を見てみましょう。決算書に載っている年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)を新契約の年換算保険料が多い順に並べてみました。

※年換算保険料とは、1回あたりの保険料を支払方法に応じた係数を乗じて1年あたりの保険料に換算した金額のことです。
 
生命保険会社、年換算保険料、新契約、保有契約

生命保険会社の年換算保険料(新契約・保有契約)


新契約の年換算保険料が最も多いのはかんぽ生命の3765憶円で、2番目が日本生命の3221億円、3番目が前年の12位から大きく上がった第一フロンティア生命の1935憶円です。マスミューチュアル生命までの10社が1千億円、T&Dフィナンシャル生命までの29社が100億円以上となっています。

新契約年換算保険料は前年に比べて多くの保険会社で減らしています。例えば、かんぽ生命は前年の5274憶円から3765憶円へ1500億円以上も減らしています。他にも住友生命が2529億円から1313億円へ、第一生命が1961憶円から1112億円へ、マスミューチュアル生命が1726憶円から1012憶円へ等、大幅に減らしています。

新契約年換算保険料を増やしたのは、第一フロンティア生命が1742億円から1935億円へ、エヌエヌ生命が851憶円から960億円へ、三井生命が321億円から486億円へ、ネオファースト生命が16憶円から147億円へ等が目立つくらいです。 

保有契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)もかんぽ生命の3兆8585億円が最多で、日本生命の3兆6657憶円が続きます。新契約では減らしている保険会社が多いですが、保有契約では29社で増えています。特にネオファースト生命は54億円から197億円へ急増しています。
 

健全性を確認するソルベンシー・マージン比率は22社がダウン

生命保険会社の健全性を確認する指標の一つに「ソルベンシー・マージン比率」があります。保険金等の支払余力をどの程度有しているかを表していて、比率は高い方が良く、低いと監督官庁による業務改善命令等の対象となります。単位は%です。
 
保険会社・ソルベンシー・マージン比率

各保険会社のソルベンシー・マージン比率


ソルベンシーマージン比率は前年に比べて下がった保険会社が多く、41社のうち22社が下がっています。一番比率が高いのは3年連続でネオファースト生命(5250.4%)ですが、前年より2千%を超えて下がっています。

どの保険会社も現状は問題ない水準ですが、5年前と比べても16社下がっており、ソニーライフエイゴン生命のように短期間でかなり変動している保険会社もあります。


ここでは生命保険会社の業績や経営状況を契約件数と年換算保険料とソルベンシーマージン比率で確認しましたが、決算内容やディスクロージャー誌を見れば、他にも契約高や資産運用の状況、貸借対照表等を確認することができます。また共済にも似たような決算資料があり、経営状況を確認することができます。加入している保険会社や共済の経営状況は極力確認するようにしましょう。

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