模試の成績で一喜一憂しない
中小企業診断士1次試験まで1カ月をきった7月は、模試の(自己採点)結果を受けて、心が折れそうになってしまう方も少なくありません。一方で、ほぼ合格レベルに到達していることを確認し、少し気が緩んでしまう方もいらっしゃいます。ですが、結果が良くも悪くもあくまで模試なので、本試験の合否に対する直接的な影響は何もありません。
本試験では、受験会場ならではの緊張感や精神的なプレッシャーの中で実力を発揮しなくてはなりません。だからこそ、これまでの勉強量や学習方法、答練や模試の結果などに個人差はあるものの、以下は全受験生の試験に向けての共通目標であるべきです。
- 試験当日までにできる限りレベルアップしておくこと
- 持っている実力を最大限発揮するための準備をしておくこと
原点回帰! 基本知識や頻出領域を優先する
中小企業診断士1次試験の出題範囲は幅広いですが、どの科目においても毎年のように出題される論点や、これまで繰り返し出題されてきた論点が必ずあります。それらは、本試験で絶対に落としてはならない問題です。受験生が、もっとも回避しなくてはならないのは、1科目でも合格基準の40%未満を取ってしまうことによる不合格(いわゆる足切り)です。例えば、1問4点の科目であれば、確実に10マーク正答することが必須であり、基本問題を確実に処理することで、概ねカバーできます。したがって、全受験科目共通して言えるのは、基本的な論点について問われる問題で取りこぼすことのないような直前対策です。これまでの答練や模試、過去問の中に含まれる重要問題や正答率の高い問題がきちんと処理できるようにすることを、最優先にしましょう。
暗記系科目の反復詰め込み学習
中小企業診断士1次試験:直前期勉強法とスケジュールでお伝えした通り、超直前期の7月以降は短期記憶にどんどん知識を詰め込んでいくやり方がもっとも効率的です。覚えるべきことについて、「なぜ、そうなるのか?」と内容の理解までしようとすると、そのための膨大な時間が取られてしまい、暗記作業がいっこうに捗りません。主に受験2日目の「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」などの暗記要素が強い科目は、専門用語や細かい数値など、覚えるべきことがたくさんあります。しかも、その暗記作業は本試験当日の休憩時間など、試験開始ギリギリまで有効です。
実際に、本試験当日の休憩時間中の受験会場では、男子トイレの順番待ちの時間すらも惜しんで、ほとんどの受験生が暗記ツール片手に列に並びます(ちなみに、女性受験者数は相対的に少ないため、女子トイレに行列ができることはほとんどありません)。
とにかく、「あと1マーク」の上乗せのために、淡々と暗記作業に徹しましょう。極端な言い方をすると「試験が終わった瞬間、全部忘れてしまっても構わない」ぐらいの気持ちで、機械的に繰り返しインプットしていくのです。詳しくは、中小企業診断士1次:暗記系科目対策でやるべきことをご参考ください。
併せて、暗記項目が実際にどのような出題のされ方をしているかも、確認しておきましょう(必ずしも、解き直す必要はありません)。単純な空欄穴埋め問題というケースは意外と少なく、図表や会話文、ケース問題と出題形式のバラエティに富んでいるのも、中小企業診断士1次試験の特徴です。いくら知識を覚えても、問題が解けないと意味がありません。
私自身が受験生の時は、「経営法務」を得点源と考えていて、模試では60点程度だったものの、1カ月後の本試験の目標点数を70~75点に設定しました。結果的には、本試験が決して易しかった訳ではありませんでしたが、79点と目標点数を超えることができました。このことは、超直前期の取り組みの成果に他ならないと、今でも思っています。
何よりも、体調管理に万全を期す
言うまでもありませんが、本試験当日のコンディションを整えることで、今持っている実力を最大限発揮できる状況になります。猛暑が続く中で無理をしてしまい夏バテに陥ってしまったり、夏に流行する感染症などにかかってしまって受験できないというケースも、なくはないのです。特に、小さなお子さんをお持ちの受験生の皆さんは、いつも以上に感染症予防に注意を払いましょう。また日頃から、室内外の気温の変化に対応した暑さ・寒さ対策なども、心がけましょう。どうしてもこの時期は、睡眠不足にも陥りがちです。多少は仕方がないとは思いますが、少なくとも試験3日前ぐらいからは、十分な睡眠確保を心がけたいものです。
試験直前の有休取得で巻き返す
もし今からでも可能であれば、試験前日・前々日ぐらいに有給を取ることをお勧めします。8月中旬にお盆休みを控えていて難しいケースもあるでしょうが、仮に2~3日有給が取れて、その時間を学習時間に充てられるとすれば、大きなアドバンテージになります。受験生の中には、会社の夏休みを試験前の時期に取得したり、関係者への事前の根回しで1週間程度の有給を取る方がもいます。有休が難しくても、試験後にやればいいようなことは先延ばししてしまい、できる限り早く仕事を切り上げられるように工夫してみましょう。