中小企業診断士

中小企業診断士1次:暗記系科目対策でやるべきこと

中小企業診断士1次試験対策も各校の全国模試を控え、ますます追い込みモードのこの時期。直前期に知っておきたい暗記系科目の攻略法について、中小企業診断士受験の講師が具体例を挙げながらわかりやすく解説します。

つだ まどか

執筆者:つだ まどか

中小企業診断士ガイド

試験1カ月前の超直前期は詰め込み学習が有効

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短期記憶を増やせるかがどうかが、勝負どころ!


中小企業診断士1次試験:直前期勉強法とスケジュールでご紹介したように、多肢選択式(いわゆるマークシート方式)で受験科目・出題範囲のボリュームが多い中小企業診断士1次試験の場合は、直前期の暗記対策が有効です。

私自身が受験生の時、試験1カ月前の全国模試の結果を本試験では70点以上上回りなんとか合格できた大きな理由は、
  • 直前期前までに、基本知識や頻出論点を中心に基礎固めに努めたこと
  • 暗記系科目の知識の詰め込み学習が効果的だったこと

に他なりません。

そこで今回は、私自身の実体験とこれまで講師として数多くの合格者と接してきた経験を踏まえて、大幅な得点アップを目指す上でも効果的な暗記系科目対策について、お伝えします。


試験1カ月前をきった超直前期。しっかり理解する勉強方針は非効率的

試験1カ月前までの学習期間においては、重要知識や頻出論点に関する応用問題への対応力を高めるためにも、ある程度しっかり理解した上で覚えていく作業を優先すべきです。

しかしながら、各校の模試も一段落する試験1カ月前を経過した時点では、ガラッと学習方針を変えた方が、最終的には本試験で得点を稼ぐことができます。

理解するということは、論点の因果関係を整理して「なぜ、そうなるのか?」を説明できるぐらいのレベルで記憶するということです。

そのための作業には、多くの時間を費やす必要があります。

したがって、すべての知識をしっかり理解して覚えることは現実的に不可能ですし、また、その必要もありません。

必要ない理由としては、
  • 短期記憶をどれだけ増やせるかが勝負の超直前期は、短時間での詰め込み暗記が優先されるから
  • 細かい数値や専門用語など、理解せずとも丸暗記で十分対応できる問題も一定数出題されるから
です。

よって、超直前期は「本試験までにとにかく知識を詰め込み、試験が終わったらすぐに忘れてもよし」というぐらい割り切って、取り組むすべきです。


知識を深めたかったら、合格後にとことん勉強すればよい

中には、丸暗記の詰め込み学習に抵抗を示す受験生も、少なくありません。

「付け焼き刃で覚えた知識なんて、実務で通用しないのではないか?」
「プロコンサルタントとして、あるまじき心構えではないか?」
という主張です。

気持ちはわからなくもないですが、合格しないことにはスタート地点には立てませんし、そもそも1次試験は2次試験への挑戦権をかけた予選にすぎません。

予選を突破して、決勝戦である2次試験でも勝って、初めて合格者として実務補習(中小企業のコンサルティングの実習)が受けられるのです。

私が思うに、受験生時代以上に中小企業診断士登録してからの方が、学ぶべきことはたくさんあります。

試験よりも、実務の方がずっとシビアです。

中小企業診断士の試験制度は大変よくできているので、試験合格までの道のりまでで、経営全般の体系的知識とビジネスパーソンとして必要なスキルはバランスよく身に付きます。

したがって、超直前期は一切言い訳をせず、1次試験合格に向けて1点でも多く積み上げる効率重視の学習を、徹底すべきなのです。


 試験1カ月前からの超直前期に向けて、直前期にやるべきこと

残り1カ月の暗記系科目の詰め込み学習を効率化するために、今のうちにやっておきたいことが2つあります。

  1. 理解で覚える最後の学習
  2. 暗記ツールの厳選

先ほどお話ししたように、試験1カ月前をきる超直前期は、時間をかけて理解する学習は非効率です。

とはいえ、理解で覚える項目を最大限に増やすことで、暗記量を減らすことができるのも事実です。

よって、重要論点・頻出論点に限っては、「理解で覚えるラストチャンス」との認識で取り組みましょう。

理解で覚える学習は、時間がかかる一方、超直前期に覚えることを減らす作業にもなるのです。


超直前期に覚えるところを探す作業時間を、限りなくゼロにする

1カ月前の詰め込み作業の事前準備として、暗記用ツールを厳選しておきましょう。

ツールといっても、手作りのオリジナルにこだわる必要はありません。

私の場合は、中小企業経営・中小企業政策や経営法務の一部でオリジナルの暗記ツールを事前に作りましたが、それは直前期にやるべきことではありません。

直前期は、これから本試験までに覚えなくてはいけない箇所を絞っていくことが重要です。

答練や問題集、テキストなどのツールを絞る、論点を絞る、解く問題を絞る、など対象は様々ですが、捨てる箇所やもうやらないと決めた問題については「二度と見ない」という強い意識を持って大きく×印をつけるのもおすすめです。

超直前期にもっとも避けたいことは、覚える知識を探す作業です。

この段階になって探さなくてもいいように、試験1カ月前の直前期までに準備しておきましょう。


王道の語呂合わせに加え、横串暗記術も有効

ここまでご紹介したことを理解して、超直前に備えることができれば、あとは覚えるだけです。

覚えることは思い出す作業の繰り返しですから、ストイックなインプット作業に徹するしかありません。

一般的な暗記術としてよくある語呂合わせに加え、関連知識の横串暗記も有効です。

横串暗記とは、例えば中小企業政策の内容を覚える際に、施策単位ではなく項目単位で覚えるやり方です。

項目単位とは、

  • 対象
  • 貸付限度額
  • 返済期間
  • 保証人の有無
など、それぞれの項目ごとに施策をまたいで覚える方法です。

関連知識の横串暗記は、経営法務の組織再編等や知的財産権でも使える、汎用性の高いテクニックです。


用語の頭文字に着目し、2つの知識を区別する方法

紛らわしい2つの関連知識を区別して覚える方法を、1つご紹介します。

例えば、財務・会計で学ぶデリバティブの中には、頻出論点のオプション取引があります。

  • 買う権利は、コールオプション
  • 売る権利は、プットオプション
ですが、これらは明確に区別して覚えなくてはなりません。

そこで、頭文字に着目

う権利は、キクケコールオプション
る権利は、ウ行だからプットオプション

と覚えます。

このような覚え方は、紛らわしい関連知識を区別するには、大きな効果を発揮します。


最後まで諦めなかった人が勝つ

模試の結果も含め、これから精神的にも苦しい勉強期間になる方も少なくないでしょう。

ですが、自分に負けたら、試験でも負けてしまいます。

強い気持ちを持って、悔いのないよう、ラストスパートを仕掛けてください。

 


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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