イヤイヤ期がない子は問題?
今か今かと待ち構えていたけど、いっこうにやって来る気配なしの「イヤイヤ期」 こういうパターンもある?
そこで、今回は、”2歳なのにイヤイヤしないケース”にフォーカスし、その背景として考えられる要因を4つ挙げ、心理学的に解説していきます。
<目次>
子どものイヤイヤの出方は個人差あり「超大変!」とは限らない
子供の発達段階、とくに心の発達面においては、聞いてもよく分からない心理用語が多いものですが、その中で群を抜いてイメージしやすいのが「イヤイヤ期」や「魔の二歳児」という言葉ではないでしょうか。これらの言葉を聞けば、ママでなくても、「イヤだ、イヤだ」と反抗ばかりする2歳の子を思い浮かべると思います。しかし、逆にこのイメージが先行し過ぎてしまって、実際に我が子が2歳になったとき、「イヤイヤ」の勃発を今か今かと待ち構えていたら、その時期がそのまま過ぎてしまったというご家庭もあるでしょう。そして、これでよかったのか、それとも、もっとイヤイヤさせるべきだったのかと、他のママとは別の意味で悩んでしまうケースが見受けられます。
実際には、イヤイヤ期の年齢になっても、一般的にイメージする「イヤイヤ」にはならない子もいます。その背景にある要因は、良し悪し含め様々ですが、イヤイヤの出方は個人差があるので、「イヤイヤ期=超大変、ママげっそり」というわけではないのです。
「イヤイヤ期がない」「イヤイヤが少ない」というケース
では、イヤイヤ期の時期になっても、イヤイヤが出ない、少ないという場合、どんなことが考えられるのでしょうか? 主には、次の4つが考えられます。- 性格的におとなしい
- 自立が促されている
- 親の顔色を見るクセがすでについている
- 親が怖くてイヤイヤできない
■性格的におとなしい
心の中で感じていることを、表にどれだけ表に出すか、どのように出すかというのは、その子の性格も関係しています。
すでに2歳の段階で、ママは、「この子らしさ」というものを十分に感じていると思いますが、この「らしさ」というのは、生まれついた要素も多く含まれており、とくに、喜怒哀楽の強さ、五感の敏感さ、否定的な粘り強さ(グズる)、積極的か消極的かなどは、イヤイヤ期の出方に大きく関係します。もともとおとなしくて消極的なお子さんであれば、しっかりイヤイヤ期であっても、ママが思うほどの状態にはならないということもあるでしょう。
■自立が促されている
「イヤイヤ期」の正式名称は、「第一反抗期」。「イヤイヤ期」というのは、その状態に冠した、いわば、ニックネームです。しかし、実際の目的は「イヤイヤすること」ではありません。「自立心を強化すること」です。
よって、この時期は、「ボクがやるの」「ワタシやりたい」という自己主張が増え、ママに手出しされるのを嫌がります。この段階で、ママが賢く裏方に回り、子供たちの「自分でやるの!」という気持ちを汲み取った支え方をしてあげていると、その子は多くの達成感を得られるため、そこで満足できたり、イヤイヤをするところまでは至らなかったりということが起こります。ママの上手なサポートのおかげで、イヤイヤ期の目的は達成しつつ、イヤイヤも目立たないという勝ちパターンです。
■親の顔色を見るクセがすでについている
親であれば、我が子をいい子に育てたいと思うものですが、それが過剰な期待となり、子供が親の顔色を見て行動するほどになってしまうと、子供は心の中に「イヤイヤのもと」をため込むようになってしまいます。
親が、いい子のときの我が子しか受け入れないという姿勢で子育てをしてしまうと、子供自身も、いい子の自分しか受け入れられなくなるので要注意です。
■親が怖くてイヤイヤできない
最後に、もっとも悪いパターンとして、親の押さえつけでイヤイヤが出にくい状態になっているケースをご紹介します。2歳までの子育てで、親が子供に体罰などで強い力をかけ、子供が親の存在にひどく怯えているような状態になると、もはや親に歯向かえない状態となります。
イヤイヤ期がないことを気にされているママで、この状態に陥っている人はおそらくいないと思いますが、このパターンはイヤイヤ期云々の話ではなく、子育ての仕方として完全に間違っている状態です。
イヤイヤ期がないケースはいいパターンも悪いパターンもあり
イヤイヤがなかったり、少なかったりする背景は、いいケースと悪いケースがあるのが実際です。この記事をお読みになっている方は、「イヤイヤ期はあって当然なのに、うちの子ははっきりしない」と心配だから読んでくださっていると思いますので、4の「恐怖でイヤイヤできないパターン」は当てはまらないと思いますが、それ以外の中で、どれか思い当たるものはあったでしょうか?もっとも多いと思われるのは、1のパターンです。これは性格的なものですので、このまま受け入れていくのが望ましいです。そして2は、イヤイヤ期の本来の目的を遂行している、とてもいいパターンです。懸念すべきは、3の過剰な期待感で見えないプレッシャーを子供に与えてしまうパターンでしょう。長所短所あっての我が子を、丸ごと受け入れることが方向転換のポイントになります。
イヤイヤを表面化すること=イヤイヤ期ではない
今、「イヤイヤ期」に別のネーミングをという取り組みも行われているようですが、私もその動きに賛成です。私自身がふだん使っている名前は、「自我成長期」や「自立促進期」です。親サイドのネーミングで「イヤイヤ期」としてしまうと、気持ちもうんざりしてしまいますし、何より、本来の目的である「自我の発達」や「自立心の促進」がぼやけてしまいます。今回のトピック「イヤイヤしないけど大丈夫か」という心配も、「イヤイヤ期」という名前のインパクトが強いがために、「イヤイヤがあればOK」のような間違ったイメージを与えてしまっているゆえ、出てきてしまうお悩みです。イヤイヤの有無だけでは、この時期が順調に進んでいるかどうかは判断できないのです。
この時期の子供の心の中は、大改革が行われている真っ最中。自分でやりたいけれど、まだまだできないこともたくさん、だからイライラもするし、そこにママが手を出そうものなら、「イヤイヤ」とはねのけたくなってしまいます。
イヤイヤは、そんな心の大改革のほんの一部分。表に出てくるから目につきやすいだけで、本当に重要なことは、心の中で起こっています。だから、イヤイヤがあるかないか、よりも、「きちんと自立が促せているか」が、この時期の子育てで一番大事なポイントになります。
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