ここ1年あまりの間に、家電系パソコンメーカーは例外なく、TV録画が出来るパソコンを出荷するようになりました。以前から、パソコンのディスプレイをテレビと共用するタイプのパソコンは出荷されていたのですが、ハードディスク録画機能を搭載したスタイルのものが一斉に市場に出てきました。
最初にテレパソを出荷したのはSONYでした。皆さんよくご存じのVAIO-Rです。これのデビューはある意味衝撃的でした。インターネットを利用した番組表をクリックするだけで録画予約が出来、また、タイムシフト機能として、今見ているテレビを巻きもどすかのごとく時間をさかのぼって見たり、一時停止が出来たりというものでした。
単純に映像をデジタルデータに置き換えたのではデータ量が膨大なため、パソコンでリアルタイムの処理するのは殆ど不可能です。音声だけ考えても、例えばオーディオCDが74分で650MBもの容量になるのですから、推して知るべしです。そこで、データの圧縮技術が必要になってくるわけです。業界標準のデジタル静止画像圧縮技術の一つにJPEGという形式がありますが、いわばこれの動画版に当たるものでMPEGという形式が動画の標準形式となっています。以前のMPEGはMPEG-1という規格でしたが、テレパソで広く使われている形式は、より新しくて圧縮度合いが高い、MPEG-2を採用しています。DVDディスクに使われ、音声部分の圧縮としてはMP3と呼ばれる技術も含まれるMPEG-2を扱えるようになって初めて、テレビを見ながら録画したりそれをリアルタイムに再生したり出来るようになりました。
パソコンでテレビが見られ、録画再生も自在に出来るということは、パソコンやテレビの新しい可能性を提案したと言えると思います。画面のサイズや表示方法の違い、テレビを見るにもパソコンを起動しなければならないなどのデメリットもありますが、この新しい可能性がそれを上回っているからこそ、各社競って開発、発売していると思います。もちろんメーカー製テレパソに限らず、それなりの性能以上のパソコンなら簡単な増設により、テレパソもどきに機能拡張も可能です。
選択肢は2通りあり、内蔵PCIスロットを使うものとUSB接続によるものです。詳細については「マルチメディアPC」のリンクで各メーカーの機種を参照していただきたいのですが、手軽なUSB、本格的なPCIということが言えます。ハードウェアMPEG方式の主力品は概ね3万円程度ですが、ソフトウェアで全ての処理を行うタイプはぐっとお安く、1万円台からあります。筆者宅でもこのソフトウェアタイプのPCIモデルで有名なカノープスのものを使用しています。
どちらがよいかは微妙ですが、パソコンのスペックが低めの場合、ハードウェアタイプでPCIがよいでしょう。スペックの境目はそれぞれの製品により若干違いますが、概ね800MHz以上のCPUならソフトウェアでも大丈夫かと思います。リモコン付きのものもいくつかありますので、ゆっくりテレビを楽しみたいならこれらのものを選択するといいでしょう。
自分で拡張したテレパソもどきには一つだけ欠点があります。それは、録画予約をする場合、パソコンの電源管理が出来ないということです。メーカー製の場合は、当然ですが録画時間まで電源が切れていて、録画時間になるとおもむろに電源が投入され、録画が始まります。後つけのテレパソは殆どのケースでこの部分がコントロールできないため、パソコンの電源は入れっぱなしです。この点が気に入らない場合はパソコン自体を買い換えなければならないのですが、メーカー製の面目躍如といったところです。
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