今すぐ、レディ・プレイヤー1という映画を観に行ってください。

映画館の図

2Dと3Dの両方で公開されています。3Dの方がより映画の内容にマッチしているかもしれません

ゲームの紹介をするときに、とても素晴らしく、そしてネタバレが少ない方が面白い場合に、ゲーム業界ニュースでは記事を読まずに遊ぶことをオススメする場合があります。今回は、ゲームではなく、映画をオススメしますが、やはり記事を読まないで観ることを強くオススメします。ガイドは幸運なことに、友人の勧めで一切全く何の情報も得ずにこの映画を観ることに成功しました。友人は「何も知らずにこの映画が観れるなんて羨ましい」と言っていました。そして、映画館でひっくりかえりそうになりました。意味が分からないのです。なんで? 誰かが巨額を投じて自分の為だけに超大作を作ってくれたのか? そんな気持ちでした。

もしあなたが、ゲームが大好きだとしたら、騙されたと思って「レディ・プレイヤー1」という映画を見に行ってください。決して検索してはいけません、この記事もすぐに閉じましょう、トレイラームービーを観るなんてとんでもないことです。そして映画館で驚いてください。その方が幸せです。それだけの情報では観に行くことはできないという人だけが続きを読んでください。ガイドは今、どうやって読んでいる人を追い返して映画館に行ってもらうかだけを考えています。この映画の魅力をネタバレなしで伝えることはとても難しいのです。

どうしても、もう少し情報が欲しいという人の為にシブシブご紹介を書いていきますが、よし、観ようと思ったタイミングで記事を閉じて映画館に行ってください。後半に行くほどネタバレが多くなっていきます。そして、映画が面白かったら、ぜひまた戻ってきて続きを読んでください。

夢に見たゲームの世界

レディ・プレイヤー1の図

これがやりたい、これが欲しいと思えるVRシステム

ゲームの世界を描いた小説、漫画、映像作品というのがいくつかありますよね。VRによるMMORPGを題材にしたライトノベル「ソードアート・オンライン」が有名でしょうか。レディ・プレイヤー1もVRによるゲームを題材にした、アーネスト・クライン氏の小説「Ready Player One」を原作とする映画です。

舞台は2045年。荒廃する世界の中、アメリカはオハイオ州コロンバスのスラム街に主人公は住んでいます。現実世界にはどこにも逃げ場がない主人公「ウェイド・ワッツ」が唯一逃げ込める場所が、VRによるゲーム「オアシス」です。オアシスはゲームユーザが夢に描く未来のVRゲームの世界。視覚情報はもちろん、足元には360度の移動に対応して動くルームランナー、スーツを着れば体を触られた感覚もフィードバックして、ゲームの世界に連れて行ってくれます。ゲームの世界では好きなアバターになり、魔法のアイテムを使い、時に撃ち合い、レースをし、ハチャメチャな第二の世界としてすごすことができます。

あなたは映画館でその映像を観た時、大変に興奮することでしょう。何しろ、ゲーマーが夢に見たゲームの世界がそこにあるのです。ゲームの世界を題材にした物語というアイデア自体は珍しくはないかもしれません。しかし、そのイマジネーションを誰が具体化しているか。監督はなんとスティーヴン・スピルバーグなのです。言うまでもありませんが、「E.T.」「インディ・ジョーンズ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ジュラシック・パーク」などなど、手がけたヒットを挙げれば数えきれないという世界最高峰の映画監督であり、映画プロデューサーです。その彼が、1億7,500万ドルと言われる製作費をかけて、ゲームの世界を作り上げているのです。

どうですか? 興味でてきましたか? もう映画館行っていいと思いますよ?

ゲームで利益を得る企業と、ゲームを愛するプレイヤー

PSVRの図

PSVRなどを遊んでいる人は、ますますワクワクすることでしょう

ゲームの世界には、1つの目的が設定されています。それは、ゲームクリエイターであるジェームズ・ハリデーが隠した3つの鍵とイースター・エッグです。ハリデーは物語の中ではすでに亡くなっていますが、その遺言として、ゲームの中にイースターエッグを隠したといいます。イースターエッグを見つけたものには、56兆円に相当する遺産とゲームの所有権が手に入るというのです。

イースターエッグを手に入れるには3つの鍵が必要で、その3つの鍵を手に入れるためにはそれぞれ試練を探し出してクリアしなければいけません。その試練が難しすぎて、最初のカーレースの試練を誰も完走できないまま多くのプレイヤーはあきらめています。そんな中、主人公を含む一部のエッグハンターと呼ばれるプレイヤーと、そして世界第2の大企業IOIが果敢にチャレンジしています。

このIOIというのが悪役なんですが、資本力にものを言わせ、大量の人員を投入して、ゲームの運営権利と56兆円を狙ってきます。企業が利益を目論みたくさんの人を雇ってゲームを占領的に攻略しようとする行為は、MMORPGなどに現実に存在するいわゆる「業者」の存在とオーバーラップします。

ハリデーの用意した試練はどれも一筋縄ではいかず、効率的に、上手にゲームをプレイするだけでは解けないものとなっています。ゲームの世界を愛するプレイヤーと、お金のためにプレイする企業、そのプレイの差が物語を進めていくのです。

さあ、もう行きましょう。ここから先は、本当は話たくないんです。できればもう映画館に行ってください。それでもダメなら…映画を観ないよりはましですから、本当にネタバレでお話します。

ポプテピピック

マインクラフトの図

どっかでみたものがチラチラチラチラでてきます

本当は映画館で驚いて欲しいので、幸運にも何にも知らないという人には特にここから先は話したくなかったんですが、映画を観ないで終わるよりはましなので、本当にネタバレしてお伝えします。面白そう、と思ったらすぐに読むのをやめてくださいね。

ガイドは奇跡的に何も知らずに観ることができましたから、おやっと思ったのは、最初の試練、カーレースのシーンでした。主人公がバイクを見つけて親友の「エイチ」に赤いバイクを見てみろといいます。そうするとエイチは、カネダのバイクだ、というんですね。カネダのバイク…カネダのバイク…カネダの…バイク? 金田のバイク! 金田のバイクじゃねーか! そう、大友克洋監督の漫画、そしてアニメ映画として伝説的作品「AKIRA」に登場する金田が乗っている真っ赤なバイクです。

実はこの映画、巨大企業であり利益の為にゲームをするIOIと、ゲームとその世界を愛するプレイヤーの対立という中で、ポップカルチャーに対する愛というものが非常に大きなテーマとして描かれています。そのひとつとして、ポップカルチャーのキャラクターやアイテムが画面の端々に登場します。しかもその水準は金田のバイクが主人公達の会話の中で普通に飛び交う、というレベルです。

そして日本のキャラクターが非常に多くでてきます。画面のあちらこちらに、春麗がいたり、ロックマンがいたり、ハローキティがいたり。ちょっとびっくりするところではアニメ「カウボーイビバップ」の戦闘機「ソードフィッシュII」が置いてあったり。

ガイドが個人的におおっと思ったのはやはりゲームキャラクターで、オーバーウォッチのトレーサーやHALOシリーズのスパルタン、マインクラフトの世界など、ついついニヤッとしちゃいますよね。これ…最近見た何かと被るなと思ったら、そう、大川ぶくぶ先生原作で深夜アニメにて話題となった「ポプテピピック」です。ポプテピピックのネタまみれな感じとおなじくらいに出てきます。ただし、画面はものすごく豪華です。スピルバーグ監督が描く金田のバイクが走るシーン…大変に尊いです。

あなたの為の映画です。

子どもの図

子どものころからゲームやアニメが大好きだった僕たちの為の映画です(イラスト 橋本モチチ)

もうここには、映画に興味あるけどまだ読んでいるという人はいないと信じています。きっと、映画を観て戻ってきてくれた方が読んでいてくれることでしょう。そう思って書きますからね。いかがだったでしょうか。こんなことあるんですね。スピルバーグ監督が、僕たちの為に全力で映画を作ってくれたんです。

ガイドが子どもの頃、ゲームセンターは不良が行くところでした。ファミリーコンピュータの発売でちょっとだけゲームが市民権を得ましたが、まだまだ子供のおもちゃでした。PlayStationは子どものおもちゃというイメージを覆して大人も楽しめるエンターテイメントとして定着させてくれました。ニンテンドーDSは大人も、子どもも、お年寄りもゲームにふれ、女性ユーザーも非常に増え、このころのゲーム屋さんには女性向けゲームコーナーがチラホラとできていました。

そして今、誰もが認める世界的な映画監督が、僕たちの為に映画を作ってくれたのです。それも全力で。ここまでしてくれていいのだろうか、大丈夫? 世界のみんなついてきてる? と心配になるほどです。特に日本のポップカルチャーが大変にリスペクトされていることに、遠い海の向こうにも自分と同じものが好きな人がいることが、大変に嬉しくなります。

映画からは、目をひくためだけのコラボではなく、ポップカルチャーへの愛がひしひしと伝わってきます。レディR・プレイヤー1というタイトル、原作の小説からそのままとったものですが、英語では「Ready Player One」となります。これはアーケードゲームのタイトル画面に表示されていた文字です。このプレイヤーワンというのは、2人プレイができるゲームの1人目を意味するものですね。

この映画は、人によっては、知ってるキャラクターがたくさんでてくる楽しいSF冒険活劇ということになるかもしれません。それはそれでいいと思います。でも、ガイドにはポップカルチャーへの愛にあふれる、原作者であるアーネスト・クライン氏とスピルバーグ監督からのプレゼントのように感じました。スピルバーグ氏はこの映画の公開に際して、なんと13年ぶりに日本に訪れ、そこでこの映画は非常に自分にとってパーソナルなものなので、自ら紹介したかったと語っています。そんな気持ちがすごく伝わってくる映画でした。

彼がここまでしてくれて、ポップカルチャーに育てられ、ゲームで飯を食べている自分も、何かできることをしなければいけないという気持ちになり、日本にいるゲーム仲間に、1人でも多く伝えなければいけないと思い、この記事を書きました。届いてくれればよいなといます。

しかしそれにしても、メカゴジラが出てきただけでも仰天なのに「俺はガンダムで行く」とは……。思わず映画館で「嘘だろ!」と叫びそうになりましたね。いい夢を観させてもらいました。

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