子供におもちゃの片づけを学ばせるのは心理戦でもある?
おもちゃのお片づけ、子供にどう教えればいい?
そこで今回は、ママがうっかり言ってしまう「片づけないなら捨てちゃうよ」にフォーカスを当て、ママはなぜそう言いたくなるのか、その言葉に効力はあるのかなど、お片づけにまつわる子育て心理をお伝えしていきます。
「捨てるよ」というしつけが効くのは初めだけ?
お片づけを習慣にしたいと思っているのに、毎日毎日同じことの繰り返しで、何度言っても中途半端にしか片づけない……。やがて、ママのイライラが積もってくると、「もう片づけないなら捨てちゃうよ」
「ゴミと一緒に出しちゃうからね」
と言ってしまいます。それを聞くと、はじめは、「捨てられたら大変!」と慌てて片づける子もいるでしょう。でも、残念ながら、その効果も数回まで。すぐにママの脅かしに乗らなくなってきます。
その姿にイラっときたママは、「ほんとに捨てちゃうからね」「あとで文句言ったって遅いからね」と語調を強めて、子供を動かそうとさらにプッシュしますが、慌てる様子はありません。なぜ動いてくれないのか……?
子供が慌てて片づけるのってどんなとき?
「ルンバを回すと子供が慌てて片づけ始める」という話を聞いたことはありませんか? ルンバとは、スイッチを押せば自動的に床を掃除してくれる優秀なお掃除ロボット。子供たちはママのおどかしフレーズには屈しませんが、ルンバのようなお掃除ロボットは苦手で、ものすごく警戒します。お子さんが小さければ小さいほど、この差は顕著です。なぜなのでしょうか?自動運転でどんどんと床にあるものを吸いこんでいくルンバの姿は、自分の大切なブロックや人形、そして大好きな絵本までも、全て飲み込んでいってしまう気がするからです。実際には、おもちゃのような大きなものは吸い込めないのですが、小さい子にとっては「起こりうる展開」として捉えられ、「待って~、今、片づけるから~」となるわけです。
ロボットは容赦ない、ママはそこまではしない
子供たちに「片づけないなら捨てちゃうよ」と言っても効果がないのは、ママが本気で言っているわけではないということを初めの数回で気づくからです。ママにとっては、せっかく買ったおもちゃを叱るたびに捨てるわけにはいきません。ただ、びっくりするようなことを言えば、子供が動くだろうと思っているから言っているだけであって、捨てようというつもりはもともとないのです。だから、「片づけないなら捨てちゃうよ」と言ったのに、子供が慌ててくれないと困ってしまいます。次に出るのは、「ママ本気だからね」「ほんとに捨てちゃうよ」「もう買ってあげないからね」のような言葉。いずれも、これからやろうとしていること(でも実際にはやらないこと)を羅列しているだけで、実際に行動には起こしません。この繰り返しで、子供は学びます。「ママはああ言っているけれど、本気ではない」と。
片づけだけではない、ママの「オオカミ少年化」
今回は「片づけ」にフォーカスを当てましたが、このような展開は、他の場面でもよく見られます。- 「〇〇が終わらないと、~~に連れて行ってあげないよ」(でも結局連れて行ってあげる)
- 「〇〇しないのなら、もうゲームは全面禁止」(「今度からちゃんとやるから」に根負けし許してしまう)
イソップ童話の「オオカミ少年」の中で、少年が「オオカミが来た!」と周辺の人を脅かしていたら、繰り返すうちにだれも少年の言葉を信用しなくなり、いざというときに助けてもらえなかったという下りがありました。親から子に伝えるメッセージも同様で、いったん親の言葉の「信頼感」を落としてしまうと、子供は言うことを聞かなくなっていきます。
大事なのは、実際に行動に起こせないようなことは言わないことです。逆に言えば、実行できることだけを、言葉にすることです。
「片づけないなら、捨てちゃうよ」はできなくても、
「片づけないなら、ママが夕方まで預かるからね」ならできるはず。
大げさなことを言ってやらないよりは、小さなことを着実に積み上げていくことで、子供たちは学びます。大好きなおもちゃで遊べない数時間を実際に味わうことで、子供たちは、「ママの言うことは本当だ」ということを学び、「ならば、言うことを聞いた方がいい」と学んでいくのです。
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