保険適用で白い歯を!適用範囲が拡大中
CAD/CAM冠とは、ハイブリッドセラミックブロックを歯の形に削り出して作るため、以前の樹脂より耐久性が高まっている
今までは金属のみであった奥歯のブリッジが、今年度からは条件付きながら保険で作ることができるようになりました。この新しいブリッジは、「高強度硬質レジンブリッジ」と呼ばれています。内部のフレームに補強材としての歯科用グラスファイバーを利用、外側に高強度のレジン樹脂を用いて作る金属を使わない、新しいブリッジシステムです。
<目次>
- 金属を使用しない奥歯のブリッジ、白い歯のメリット・デメリット
- 保険で作れる白い奥歯・CAD/CAM冠の条件とは
- 保険で作れる白い奥歯のブリッジ・高強度レジンブリッジの条件とは
- 保険適用の白い歯について臨床医の立場からのアドバイス
金属を使用しない奥歯のブリッジ、白い歯のメリット・デメリット
■メリット・審美性が良い
以前の銀歯と比較すれば、白い被せものの方が、圧倒的に目立ちにくくなります。
・金属アレルギーの心配がない
通常の奥歯の金属も、実は可能な限り金属アレルギーが少ない配合になっているため、安価なアクセサリーに比べれば、安定性が高くアレルギーを起こしにくいもので作られていましたが、ハイブリッドセラミックで作る被せものでは、金属アレルギーは起こりません。
■デメリット
・強度が金属に劣る
金属と比較して同じ厚みであれば、強度は劣ります。そのため強度を高めるために厚みが必要となり金属よりも歯を多めに切削しなければなりません。さらに対衝撃性に関しても同じことが言えます。
・耐摩耗性が低い
金属やセラミックほどの対摩耗性がないため、数年使用すると表面の光沢感がなくなってきます。歯ぎしりなどが多い場合には、被せものが摩耗しやすくなります。ただし摩耗することによって、歯に負担をかけないで済むといった考え方もできます。
・費用がかかる
保険の金属に比較して、治療費が3割負担で3~4千円ほど高くなることになります。
保険で作れる白い奥歯・CAD/CAM冠の条件とは
一般的に犬歯より奥にある少し小さな2本の歯を「第一小臼歯、第二小臼歯」、さらにその奥の大きな2本の歯を「第一大臼歯、第二大臼歯」と呼び、奥にある歯を親知らず(第三大臼歯)と呼びます。■CAD/CAM冠で白く被せることができる条件など
・白く被せることができる奥歯の場所
犬歯後方の2本の小臼歯(上下左右の小臼歯の8本は全て白い歯で作ることが可能)と、その後方の下の第一大臼歯(左右で2本)。つまり犬歯後方3本目までが可能な範囲となります。(3本目は下のみ)
・第一大臼歯は条件付き
すぐ後ろの第二大臼歯の残存のハードルがあります。上下左右の第二大臼歯4本のうち一つでもすでに抜歯されている歯があれば、下の歯の第一大臼歯をCAD/CAM冠で白く被せることはできません。
第二大臼歯という奥歯の支えがなければ、白く被せる第一大臼歯にかかる噛み合わせの負担が増加して破損するリスクが高くなるためです。
・金属アレルギーは緩和条件あり
金属アレルギーを証明できれば、緩和条件として上記の必須条件がなくても、上下左右の全ての大臼歯(通常8本)に白い歯を被せることができます。金属アレルギーの証明のためには医科の保険医療機関で発行された金属アレルギーに関する診療情報の書類を、歯科医院に提出する必要があります。
保険で作れる白い奥歯のブリッジ・高強度レジンブリッジの条件とは
今年度から新設された新しい非金属ブリッジは、使える場所と条件が限定されています。・抜歯になった場所の限定
犬歯後方の2番目の第二小臼歯が抜歯された時に限定です。上下左右の全ての第二小臼歯が対象です。
・ブリッジで作れる歯の本数
3本のみ。つまり犬歯のすぐ後ろの第一小臼歯から3本目である第一大臼歯まで3本が繋がった状態に見えること。
・必須条件
こちらも第二大臼歯の残存のハードルがあります。上下左右全ての第二大臼歯の4本が残存していること。
・金属アレルギーは緩和条件あり
同じように医科の保険医療機関が発行した金属アレルギーに関する書類を提出すれば、第二小臼歯、第一大臼歯のいずれか1本のブリッジ修復が可能になり、さらに、第二大臼歯残存のハードルもなくなります。
保険適用の白い歯について臨床医の立場からのアドバイス
・審美性についてセラミック>CAD/CAM冠>銀歯
保険で使用する材料はあくまで樹脂系で、単色なため、セラミックのような透明感や色の深みはありませんが、銀色よりは目立ちません。
・耐久性
セラミック=金属>CAD/CAM冠
実用が始まってまだ数年しか経過していないため、耐久性は未知数です。摩耗が少なく、薄くてもかなりの耐久性があるセラミックや金属などに比較すると、耐久性は低くなります。
・アレルギー反応リスクの低さ
セラミック=CAD/CAM冠>金属
歯科用金属はアレルギー反応を起こしにくい成分を使用していますが、非金属はさらにリスクが低くなります。
・歯の切削量の少なさ
金属>セラミック>CAD/CAM冠
被せるために歯の周囲を削りますが、金属が最も切削量が少なくてすみ、CAD/CAM冠は、しっかり削って厚みを作らなければ破損しやすくなります。
■条件に対応していても利用困難なケース
・過度な噛み合わせの力がかかっている
破損のリスクが高くなります
・歯の大きさが小さい
切削量が多めなため、被せる厚みを削ると歯が小さくなって取れやすくなる
・神経がある歯の一部
切削中に神経が露出する可能性がある
金属に比べて応用範囲がかなり狭く、適応条件を満たしていても、金属にしないとトラブルが続くケースも考えられます。このためかかりつけの歯科医院でよく相談してから利用することをオススメします。
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