世界的に人気上昇中のコンパクトSUVクラスに投入されたボルボXC40
2018年3月28日、全長4425×全幅1875×全高1660mmという比較的コンパクトなボディサイズでデビューしたボルボXC40。ややワイドな全幅をのぞけば、日本でも扱いやすいサイズといえるだろう。
「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)」と呼ぶ小型車向けのプラットフォームを新たに採用。同プラットフォームは、電動化、フルEV化も見据えた作りで、より大型車向けの「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ)」の技術や装備も搭載できるメリットがある。
XC90、XC60と続いた新世代のボルボSUVは、今回のXC40でラインナップの充実化を図るのと同時に、XC40は単なる末弟モデルではないという。
具体的には、XC40により個性的な外観デザインをあえて与えることで、強いパーソナル感が表現されている。つまり、「ミニXC60」を作ったワケではないと主張する。
写真はすでに完売している「XC40 T5 AWD R-DESIGN 1ST EDITION」で、車両本体価格は559万円。なお、ボルボXC40の価格帯は389万~549万円(1ST EDITIONをのぞく)
最近のクルマのデザインは、メルセデス・ベンツしかりBMWしかり、日本勢ではマツダもそうだが、ひと目でそのブランドと分かる外観が与えられている。一方で、どのモデルも同じに見える、「金太郎飴」のようなデザインに受け取られる恐れがある。
XC40の実車を眺めると、フロントマスクやリヤコンビランプを中心としたリヤビューなど、確かにXC90やXC60との違いが明確に見て取れる。さらに、Aピラーとルーフを塗り分けた2トーンカラーの存在も大きく貢献している印象だ。
「R-DESIGN」の力強い走りが好印象
今回、試乗した「XC40 T5 AWD R-DESIGN 1ST EDITION」は、日本正式導入前に300台限定で上陸したいわゆるローンチエディションで、すでに完売している。
※編集注:R-DESIGNはボルボが元々限定車として発売した特別モデルのことを指します。専用の装備が多数装着されています。
搭載されるエンジンは、2.0Lの直列4気筒ターボで、252ps/5500rpm、350Nm/1500-4800rpm。8ATとの組み合わせで、JC08モード燃費は12.4km/L。なお、カタログ表記上の車両重量は1690kg。
この重量で252ps/350Nmというパワーアウトプットは予想していたよりもパワフルで、2人乗車ならワインディングの急な登り坂も軽々と加速させていく。中低速の分厚いトルク感に加えて、スムーズな変速により速さと上質さを兼ね備えているのがうれしいところだ。
乗り心地も上質
新プラットフォーム「CMA」専用のサスペンションの仕事ぶりも秀逸だ。フロントはマクファーソンストラット式、リヤはマルチリンク式を採用し、「R-DESIGN」のフロントはスプリングを強化。リヤも専用スプリングに、モノチューブダンパーが装備されている。
さらに、試乗車は245/45R20というタイヤサイズだったため、乗り心地はかなり硬めだろうと身構えて乗り込んだのだが、いい意味で拍子抜け。
路面からの当たりはソフトではないものの、ボディ剛性感の高さ、そして適度なストローク感のある足は、ボルボの「R-DESIGN」に対するイメージを覆すほど。嫌な衝撃や揺れが続くことはなく、揺れの収束も早い。
「R-DESIGN」の標準サイズは235/50R19なので、標準装着なら小さな子どもやクルマ酔いしやすい家族がいる場合でも十分に許容範囲といえそうだ。
ハンドリングも素直で操作しやすく、しかも前方の見切りがしやすいのも美点だろう。レンジローバーやランドローバーのような典型的なコマンドポジションとまではいかないものの、ボディ四隅の把握がしにくい都市型SUVが多い現在では良好な取り回し性といえる。
独身の方やDINKSはもちろん、子どもが2人いるファミリーにも十分に使えそうなXC40。個人的には乗り味や取り回しのしやすさ、荷室の多彩なアレンジなどを考えると、近年のベスト・ボルボに挙げたい仕上がりに感じた。