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日本の名作ドラマBEST15!みんなの心に残る傑作ドラマとは

人生においてかけがえのない作品は誰にでもあるもの。あなたの心に残る大切なドラマを思いだしてみてください。今回は、1970年代から2018年までの「これぞ日本のドラマ史に残る名作」というドラマを、ガイド視点で選りすぐった15作品をご紹介します。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

ドラマガイド

ガイドが選ぶ、日本の名作ドラマ15選!

日本の名作ドラマBEST15!

日本の名作ドラマBEST15!

心に残るドラマはありますか? 1940年実験的に放送された日本初のテレビドラマ『夕餉前(ゆうげまえ)』から約80年。数多くのドラマが制作されてきました。今回は新しい世界を見せながら、私たちの人生にそっと寄り添ってくれるドラマ15作品を紹介します。
 

1.男の美学に酔いしれる
『探偵物語』(1979年/日本テレビ系)

松田優作演じるユーモアと自由を愛する私立探偵・工藤俊作が、さまざまな事件に個性あふれる手腕で迫るハードボイルド。
日本の名作ドラマ

『探偵物語』(画像はAmazonより:http://amzn.asia/0e8j0P5


ファッション、小道具、細かいアイテムにまでこだわり抜いた『探偵物語』は、いつ観ても古さを感じさせません。最終回に見せる「男の生き様」とハードボイルドの心髄は俳優・松田優作そのもの。

黒いスーツにサスペンダー、中折れハット、ベスパP150X、すかしているようで、どこか三枚目の主人公に見る人間味と、成田三樹夫、山西道広、倍賞美津子など、脇を固める超個性派俳優たちのスパイスの効いた演技は永遠。刑事ドラマとは違うアウトロー感や大人の哀愁、主人公のナレーションによる遊びすぎる予告編に、SHOGUNのクールな音楽、すべてに今もしびれます。
 

 

2.中学生のたくましさに涙があふれる
『3年B組金八先生』(1979年/TBS系)

桜中学校を舞台に3年B組の担任である坂本金八(武田鉄矢)が、高校受験を控えた多感な生徒とたちとともに、様々な問題に立ち向かい乗り越える学園ドラマ。
日本の名作ドラマ

『3年B組金八先生』(画像はAmazonより:http://amzn.asia/ezJyPKo


教育現場を徹底的に掘り下げた前例のない作品は、その取材力と作品づくりへの情熱があってこそ。視聴者に「目を背けたくなるような現実を見る覚悟」を強いながらも、必ず希望を見せてくれました。

中学生の妊娠(第1シリーズ)、校内暴力と警察の介入(第2シリーズ)など、時代を映しながら確かな答えのない課題は胸が痛くなるものばかり。そんななか3年B組の生徒たちが、自ら決心し行動していくたくましさが作品の生命力と言えます。金八先生が生徒一人ひとりの「名前」に未来を照らしながら、卒業式に贈る言葉は、私たちにとってもかけがえのない言葉となっています。
   

3.前向きと後ろ向きが共存する群像劇
『ふぞろいの林檎たち』(1983年/TBS系)

店頭に並べられない規格外のリンゴを意味する”ふぞろいの林檎たち”。学歴社会を背景に四流大学というコンプレックスを抱えた仲手川良雄(中井貴一)や岩田健一(時任三郎)ら若者たちの、閉塞感に押しつぶされそうになりながらも胸を張って前に進もうとする姿をつぶさに描いた群像劇です。
日本の名作ドラマ

『ふぞろいの林檎たち』(画像はAmazonより:http://amzn.asia/6AThiF7


前へ向こうとする気持ちに不器用で後ろ向きな気持ちが入り混じる林檎たちの言葉が作品の魅力。山田太一の脚本に胸がしめつけられた人も多いのではないでしょうか。

「学校どこですか」「胸をはっていますか」といった疑問形のサブタイトルに、痛いところを突かれる苦さを感じながらも、ドラマに息づく「学校なんてどこでもいい」「胸をはって生きればいい」のメッセージは、今もなお私たちの気持ちを後押ししてくれます。主題歌『いとしのエリー』をはじめ、サザンオールスターズの挿入歌に広がる青春の甘酸っぱさも魅力です。

4.大人の極上エンターテインメント
『古畑任三郎』(1994年/TBS系)

警部補・古畑任三郎(田村正和)が犯人のアリバイやトリックを名推理で崩していく倒叙スタイルの極上サスペンス。
日本の名作ドラマ

『古畑任三郎』(画像はAmazonより:http://amzn.asia/bKXux8W


豪華な犯人役で話題となった『古畑任三郎』。中森明菜、堺正章、明石家さんま、イチローといった俳優を本業としない人物たちの貴重な演技も楽しめます。

古畑任三郎が画面の向こうから視聴者に問いかけたり、ストーリーの展開を説明するなど、脚本家・三谷幸喜の手法は巧み。アドリブが生きたギリギリの心理戦や過去作品へのオマージュ、センスが光るクールな音楽や黒が印象的なOP映像は、大人志向のエンターテインメントでした。
   

5.人生を抱きしめたくなる!
『29歳のクリスマス』(1994年/フジテレビ系)

仕事に結婚、人生の岐路に立つ矢吹典子(山口智子)、今井彩(松下由樹)、新谷賢(柳葉敏郎)ら、3人の友情と成長を生き生きと描いた鎌田敏夫脚本のドラマ。


男女3人の共同生活や恋に仕事に生きようとする姿はトレンド感たっぷり。おしゃれで華やかなマライアキャリーの主題歌に気持ちが上がりますが、作品のすごさは「自分らしく生きる」ことの生々しさや痛々しさを、こちらが泣きそうになるくらい映しているところ。

「二十九歳 どんづまり 頑張って 生きていこう」「いつまでも つづく 幸福を下さい」「強く 優しく 素直になりたい」など、CM前に活字で映る典子の心の声に苦笑しながら、自分の人生に「よし」と奮い立つ。『29歳のクリスマス』は私たちへの応援歌でもありました。
 

6.医療現場に人間の強さを見る
『救命病棟24時』(1999年/フジテレビ系)

救命救急の現場で懸命に命と向き合う医師の進藤一生(江口洋介)や小島楓(松嶋菜々子)ら救命救急を支える医療チームと、患者やその家族の姿を通して、救命のあり方を骨太に描いたヒューマンドラマ。
日本の名作ドラマ

救命病棟24時(画像はAmazonより:http://amzn.asia/gtMmk9j


救命病棟のあわただしさ、1分1秒の重み、医療現場の緊張感を鮮明に描いた『救命病棟24時』。東京大震災を想定した第3シリーズでは「人間の生きる力」「命を想う力」に胸が熱くなりました。トリアージ、被災者家族でもある医師たちの葛藤、ボランティアが抱える課題、いくつもの深刻な問題を気骨に表現し、最終回では、いかに希望を継いでいくかをみごとに映しています。極限の状況を支え続けた看護師・佐倉亮太(大泉洋)と医大生・河野和也(小栗旬)の成長にも注目してください。
   

7.あふれるエネルギーが、ただ眩しい
『池袋ウエストゲートパーク』(2000年/TBS系)

池袋西口公園を舞台に、トラブルシュータ―となっている主人公マコト(長瀬智也)やカラーギャング、女子大生といった若者たちの抑えきれないエネルギーと納めきれない想いが抗争劇や殺人事件に暴走していく様子を熱狂的に描いた石田衣良原作の傑作。

日本の名作ドラマ

『池袋ウエストゲートパーク』(画像はAmazonより:http://amzn.asia/ipt9gFL


傷つくことも傷つけることも臆さない、どこまでもピュアなのに心にナイフを隠し持つ若い季節。俳優たちが「その時」にしか見せることのない眩しい瞬間を切り取り映像化することに成功した『池袋ウエストゲートパーク』。長瀬智也、窪塚洋介、坂口憲二、山下智久、高橋一生、妻夫木聡……彼らの荒削りで瑞々しい瞬間を封じ込めた唯一無二の作品と言えるでしょう。

カラーギャング、引きこもり、オタク、解放しても閉ざしても満たされることのない彼らの、それでも沸騰し続ける「熱」に圧倒されてください。

8.空と海の青さがビタミンになる
『ちゅらさん』(2001年/NHK)

初恋や友情、家族との絆を背景に国仲涼子演じる主人公の古波蔵(のちに上村)恵理の成長物語。

日本の名作ドラマ

『ちゅらさん』(画像はAmazonより:http://amzn.asia/0c3uKtm


日本中に沖縄愛を巻き起こした『ちゅらさん』。沖縄で「美しい」という意味だとか。空と海の青さが持つパワーが、どんな言葉にもまさってしまうことがあります。風が吹く風景に不思議と心が洗われる、そんなドラマも人生には大切です。

画面から香る潮風、琉球舞踊、マスコット人形「ゴーヤーマン」、BEGINとKiroroの歌声、誰からも愛される恵里の祖母(平良とみ)「おばぁ」のナレーション、『ちゅらさん』には私たちに必要なビタミンがいっぱい詰まっています。
 
NHK連続テレビ小説 : ちゅらさん ― オリジナル・サウンドトラック
 

9.媚びずつるまず、大前春子流が心地いい
『ハケンの品格』(2007年/日本テレビ系)

数々の資格を取得しているスーパー派遣社員の大前春子(篠原涼子)が派遣先の食品会社「S&F」の窮地を、驚異のスペックと才気あふれるアイデアで救い続ける爽快作。
日本の名作ドラマ

『ハケンの品格』(画像はAmazonより:http://amzn.asia/aTGavzw


誰にも媚びない忖度しない大前春子が、小憎らしい相手を口ではなく実力でギャフンと言わせ、働く誰もが抱え持つ悔しさや憤りをスカッとさせてくれる爽快感が支持された『ハケンの品格』。

マグロの解体、大型トラックの運転、急な出産、ロシア語の商談、突然の窮地をスーパースキルで解決に導く大前春子に、あり得ないと思いつつ「さぁ何が出てくるんだ」と期待する気持ちこそが、テレビドラマの楽しさ。元気になれます。カチンときても、ジメジメしない彼女のやり方も魅力。敵対する正社員の東海林武(大泉洋)とのおもしろすぎるプチバトルに、プッと吹き出し癒されます。
   

10.日本を買い叩く! 濃厚で刺激的な経済ドラマに息をのむ
『ハゲタカ』(2007年/NHK)

「ハゲタカ」と呼ばれるファンドマネージャーの鷲津政彦(大森南朋)による日本の買い叩きと、それに立ち向かうバンカーの芝野健夫(柴田恭兵)の攻防をスリリングに描いた人間ドラマ。
日本の名作ドラマ

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バブル崩壊後の日本企業の買収劇を背景に人間の葛藤や勇断を強烈に表現、強引な鷲津の仕事は荒業に映りますが「ビジネスで失敗する最大の要因は人だ」「人生の悲劇は二つしかない。一つは金のない悲劇、そしてもう一つは金のある悲劇」といった日本経済の本質を切り裂く言葉には説得力があります。

表層的な部分にとどまらず日本経済の膿までを、ありありと描き、人間ドラマとして怒涛の展開を見せた挑戦的な怪作は数々の賞を受賞、今見ても刺激的です。
 

 

11.守るべきものは何なのか
『空飛ぶタイヤ』(2009年/WOWOW)

実際の事件をモデルにした池井戸潤の『空飛ぶタイヤ』を映像化。巨大企業を相手にタイヤ脱落事故の真実にたどり着こうと奮い立つ主人公・赤松徳郎(仲村トオル)を描いた至極のヒューマンサスペンス。
日本の名作ドラマ

『空飛ぶタイヤ』(画像はAmazonより:http://amzn.asia/c00Ubu7


WOWOWの連続ドラマWで放送され、2009年日本民間放送連盟賞の番組部門テレビドラマ番組最優秀賞をはじめ、いくつもの賞を受賞しています。

巨大企業の隠蔽にかかわる立場の違う人たちのそれぞれの良心、正義、勇気を問う物語は数多くありますが、この作品の凄みは、それぞれが水面下でもがき苦しむ姿にあります。組織の暴走を認識しながら、「守るべきは何なのか」を見失うことなく貫く困難は、働く誰もが知っていること。だからこそ祈りにも似た気持ちと緊張感で鼓動が高鳴るクライマックスは秀逸。一つのほころびがいくつもの悲劇につながる現実と背景にある組織の歪みをえぐり出そうとするつくり手の姿勢と熱い魂が、作品に命を与えています。
   

12.幕末のエネルギー、日本のうねりを新しい感覚で実感する
『龍馬伝』(2010/NHK)

三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎(香川照之)が土佐藩の郷士・坂本龍馬(福山雅治)の生涯を振り返る大河ドラマ。大友啓史のクールな演出が光ります。
 

大河ドラマ特有の重厚感に臨場感あふれる光と影やクールなOP映像、衣裳、アクション……と新しい感覚が吹きこまれた『龍馬伝』。大河ドラマを観たことがなかった視聴者を巻き込んだことにもうなずけます。

新撰組の近藤勇演じる原田泰造、ジョン万次郎演じるトータス松本をはじめ、ピエール瀧、大泉洋、大森南朋、児玉清、蟹江敬三、蒼井優など、心躍るキャスティングもみごとでした。第40回「清風亭の対決」の名シーンは18分間の長回し、龍馬と青木崇高演じる後藤象二郎の対峙は正座して見たくなります。

 

13.言葉のパワーに歓喜する!
『リーガル・ハイ』(2012年/フジテレビ系)

超個性的な剛腕弁護士・古美門研介(堺雅人)と新米弁護士・黛真知子(新垣結衣)による痛快法廷劇。
日本の名作ドラマ

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世の中の見方考え方を、古美門がマシンガントークでエキセントリックに提示する『リーガル・ハイ』。一辺倒ではない視点は時に独りよがりで身勝手ですが、的を射ている言葉の連続には脱帽。古沢良太の脚本力と堺雅人の演技力は、類を見ない法廷ドラマを見せてくれました。

「所詮人間は欲望の生き物なのだよ。それを否定する生き方などできはしないし、その欲望こそが文明を進化させてきたんだ」などなど……、
きれいごとを吐かない古美門研介の一言一句に集中し、思考の筋肉を鍛えながら、夢中になって見てください。笑いながら学べます。
   

14.逆転をあきらめない! それぞれの闘い方に気持ちよく泣ける
『ルーズヴェルト・ゲーム』(2014年/TBS系)

「8対7で決着する試合が一番おもしろい」はフランクリン・ルーズベルト大統領の言葉。経営悪化にあえぐ電子部品メーカー青島製作所とライバル社イツワ電器との白熱する企業競争を描いた逆転劇です。
 


企業の逆転劇を描く作品は少なくありませんが、『ルーズヴェルト・ゲーム』のおもしろさは、経営陣の英断や情報戦争に加え、開発チーム、生産ライン、総務、物流といった末端の現場までを精彩に描く視点と、企業文化の育成に貢献する社会人野球への情熱や躍動感あふれる試合にあります。社長をはじめ、人間として成長を続ける登場人物にも共感できます。

第8話の手に汗握る臨時株主総会では、青島製作所社長・細川充を演じる唐沢寿明と専務・笹井小太郎を演じる江口洋介ら俳優陣の迫真の演技と、緊張感を維持したまま長いシーンを見せきったスタッフの底力を痛感。人間味あふれる会長(山崎努)、ピッチャーの沖原(工藤阿須加)ら野球部メンバーの清々しさにも気持ちよく泣けます。
 

15.新しい感覚が、「生きる」にせまる
『アンナチュラル』(2018年/TBS系)

不自然な死を科学的に究明する架空の研究機関「UDIラボ」を舞台に、法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみ)とラボのメンバーたちが真実へと向かうミステリー。
 

ドラマに求めるものは時代とともに変化しています。たとえば「いかに素敵に働くか」から「私たちは仕事で何ができるのか」へ。”雰囲気”だけを見せられても視聴者は納得しない時代です。

スペシャリストたちの専門性と仕事のタイトな側面をリアルに見せるドラマこそ、2018年を生きる私たちの見たいドラマ。そこに「謎解き」の面白さを加えた『アンナチュラル』は、雰囲気だけでは伝わらない「科学の現場」と「働く現場」を追及しながら、全話で作品のメッセージをちゃんと届けてくれました。「生と死」に向かい合う厳しい現場で「私たちは私たちの仕事をしよう」と言うミコトの明快で清爽な想いに感動し共感できる作品です。



ドラマは時代とともに変わります。しかし私たちが心を動かされるドラマには、永遠に変わらないものもあります。シンプルですが、この両方にしっかり向き合い、伝えたい想いがしっかり込められた作品は、私たちの心をとらえます。

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