お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが欲しいがお金のことが不安な人の悩み相談

夫は50歳、貯金900万。第3子希望は無謀ですか?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫が50代で第3子を希望している30代の専業主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現状では退職金を充てても教育資金は不足する

ご相談である「3人目のお子さんが生まれた」場合ですが、先に結論から言いましょう。条件付きながら、それをクリアできれば資金的には可能だと考えます。では、試算してみましょう。

今後の大きな支出として、教育費があります。しかし、教育費は進路によって大きく変わります。また、2人のお子さんはすでに8歳と9歳ですが、資金が大きくかかるのはこれから。したがって、お子さん3人の子育て費用を平均1人1500万円、3人で計4500万円かかるとします。

では、このコストに対して、どの程度用意できるでしょうか。貯蓄額は投資商品も加えて840万円。学資保険の満期金が440万円。第3子の児童手当は総額でおよそ250万円受給できます。これを合計して1530万円。

また、現在の貯蓄ペースは年間108万円。ご主人が60歳となるまでの10年間で1080万円。ただし、現在かかっている教育費4万円はまとめて差し引きますので、ここでは貯蓄に回します。また途中、2人のお子さんの児童手当の支給が終わります。これらを考え合わせると、10年後に約1480万円の貯蓄が上積みできます。結果、手持ち資金は約3000万円となります。

先の4500万円から3000万円を差し引くとも1500万円。これが不足額です。退職金を1200万円とすると、これを全額充てても300万円まだ不足し、かつ手持ち資金はゼロ。やや多めにコストを計上していますが、それでも定年時にこの状況はリスクがあると言わざるを得ません。
 

アドバイス2 老後用の個人年金保険を教育資金に充てる

そこで、個人年金保険を使います。2本加入されていますが、受け取る年金はトータル1750万円。つまり、老後用の個人年金保険の年金を子育て費用に充てるということです。この点ついては、ご主人の年齢が高かったことが功を奏しました。

では、老後資金はどうでしょう。個人年金保険の残金は1450万円ほど。これに終身の企業年金が年間50万円。公的年金の不足部分をこれでカバーできれば、足りるということになります。

そこで負担となるのが住宅ローン。頑張って繰上返済をされてきたわけですが、それでも完済はご主人67歳のとき。それまでは、毎月の生活費として25~28万円ほどかかりそうです。ボーナスから捻出していた固定資産税やクルマの維持費を加算すれば、さらに月2万円ほど増えます。したがって、60~65歳の生活費は1650万~1800万円ほど。企業年金を考慮しても、先の個人年金保険の残金はほぼ使い果たします。

住宅ローンが終われば、公的年金と企業年金でほぼ老後の生活費はまかなえるかもしれません。しかし、やはり手持ち資金がありません。住宅のリフォーム、クルマの買い替え、病気や介護費用など、大きな支出があれば老後生活そのものがきびしくなります。
 

アドバイス3 夫婦とも長く働くことが有効な老後対策

打開策はとしては、相談者のジョンさんも言われているように、奥様が働いて収入を得る。これがまずポイントのひとつ。希望されているとおり、産後1年目からパートに出て、月収は8万円とします。そこから月7万円を貯蓄に回すことができれば、年間84万円。ご主人60歳の時点でおよそ750万円が老後資金に回せます。やはり、ダブルインカムは家計に大きいことがわかります。

しかし、それでも老後資金としては十分な金額とは言えません。しかも、ジョンさんが希望しているとおり、1年目からパートで働けるかどうか。ご両親のことも含め、不確定な部分もあります。

そこで重要となるのが、ご主人の定年後。ジョンさんがパートに出る、出ないにかかわらず、再雇用で65歳まで働くことを目指してください。これは、第3子を希望する際の必要条件となります。収入が半減ということですから、年収は手取りで300万円。5年間で1500万円となり、これがそのまま老後資金の加算分となります。これで、資金的には老後も何とかやりくりできると思われます。そして、できればご主人も奥様も、年齢を区切らず、働けるうちに何歳になっても働く。この意識が老後対策には有効なのです。
 

相談者「ジョン」さんから寄せられた感想

アドバイスありがとうございます!子どもたちの教育資金ですが、自分の見通しが甘かったようです。高校大学の前に、塾や習い事など、確かにたくさんかかりますよね。個人年金はあくまで老後資金用ですので、学費として最初からあてにはできないと思います。60歳以降もアルバイトなども視野に入れて働けるかが、カギになりそうですね。夫婦でアドバイスをもとに、よく話し合いたいと思います。

教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

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