夫は非正規社員。私が頑張れば何とかなるでしょうか?

第二子とマンション購入を両方希望しているが

第二子とマンション購入を両方希望しているが

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、住宅購入と第2子出産を希望している女性会社員の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
はるなさん(仮名)
女性/会社員/38歳
東京都/賃貸住宅

■家族構成
夫(契約社員/43歳)、子ども(0歳)

■相談内容
現在育休中です。来年フルタイムで復帰予定しています。夫も正社員でしたが、望まない単身赴任やパワハラなどで疲弊し、私の勧めもあり退職しました。今は契約社員ですが、自分の好きな分野で楽しそうに働いており、さらに子供も授かることができて良かったと思っています。

ただ、夫には特別なスキルもないため、年齢も上がっていく上で今後の雇用継続に不安もあります。私自身は、夫が稼げないなら私が頑張れば家族3人なら何とかなるかな、と思っています。

ご相談したいのは、このような状況下で第2子は望めるのか、ということです。年齢もありますし、可能なら2年以内にはと思っていますが、無謀でしょうか。なお、夫婦2人とも地方出身のため、近くに頼れる親や親戚はいません。

また、退職後はどちらかの地元か地方に移住する予定でおり、東京で不動産を購入するつもりはありませんでした。しかし、3人でも今の住まいは手狭で、新たに広めな賃貸に引っ越した場合、近隣では家賃が5万円ほどアップしています。なので、中古のマンションを購入すべきか悩んでいます。子育てのサポートが得られないので、通勤時間が長い郊外に引っ越すのは体力的に厳しいかな、と感じています。加えて、保険嫌いの夫ですが、保険に加入した方がいいかも、合わせてアドバイスをお願いいたします。

■家計収支データ
相談者「はるな」さんの家計収支データ

相談者「はるな」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)夫の今後の収入
非正規雇用(契約社員)のため、月収手取り15万円ほど。1年毎の契約更新で、賃金アップは期待できず、ボーナスや退職金もない。

(2)妻の今後の収入
現在育児休暇中のため手取り月収は25万円。来年からフルタイム勤務による職場復帰を予定。月収は手取り30万円、ボーナスは年間手取りで120万円が見込める。定年は60歳、再雇用制度で65歳まで勤務可(収入は半減)。退職金は1000万円程度。

(3)加入保険の内訳
・妻/収入保障保険(保険期間22年=60歳、死亡保障月額10万円)=2000円
・妻/個人年金保険(55歳払い済み、60歳から10年確定、年金額60万円)=保険料2万円
・妻/養老保険(死亡保障500万円、40歳満期、医療特約入院7500円付き、満期返戻金100万円)=一括払い済
・妻/低解約型終身保険(死亡保障300万円、56歳時の解約返戻金250万円)=一括払い済

(4)「家族の小遣い」「雑費」の内訳
・小遣い/夫3万円(昼食代含む)、妻2万円
・雑費/日用品1万円、子育て関連1万円、交際費2万円(冠婚葬祭費含む))、その他交通費等1万円

(5)住宅の希望物件価格
都内/中古マンション2~3LDK 2500万円(築30年以上物件)
地方/中古マンションまたは一戸建て 1500万円

(6)妻の職場復帰で新たに発生する費用
保育料5万円、妻の昼食代2万円

(7)ボーナスの使いみち
財形貯蓄20万円、投資信託10万円、家電買い替え等10万円、出産準備費用10万円、車検代10万円

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 収入が安定するならマンション購入も可能
アドバイス2 何もかも背負ってしまうのが最大のリスク
アドバイス3 まずは第2子出産を優先させ、貯蓄に励む

アドバイス1 収入が安定するならマンション購入も可能

結論から最初に申し上げますと、マンション購入と第2子出産、ほぼ同時期にともに実行しても資金的には何とかなりそうです。しかし、それはあくまで計算上でのことであり、実際にそれらを実現するには、かなりのリスクを抱えることになると考えます。

まずは試算してみましょう。仮に来年、相談者のはるなさんがフルタイムで職場復帰するタイミングで中古マンションを購入したとします。

物件価格は相談者の希望されている2500万円。住宅購入にかかる諸経費(ローン手数料、税金、司法書士報酬、引越し費用等)を100万円におさえたとして、計2600万円。手持ち資金から600万円を頭金に充てれば、借入額は2000万円。完済を定年となる60歳とすると返済期間は21年。フラット35に準じて金利1.5%として計算すると、ボーナス払いを併用しないで、毎月の返済は約9万2000円となります。

ただし、これに管理費(あるいは修繕積立金も加算)、クルマを所有されているので駐車場代、そして固定資産税がランニングコストとして発生します。金額としては3万~5万円は見積もっておくべき。したがって、トータルの住宅コストは現在よりも月額で少なくとも3万円程度はアップすると考えておきたいところです。

さて、そのときの家計収支ですが、職場復帰して給与は手取り30万円となり、ご主人の収入に児童手当を加えると、世帯収入は46万5000円。一方、支出は先の住宅コストのアップ分と、新たに保育料5万円と奥様の昼食代2万円がフルタイム勤務によって発生するとのことですから、計46万円。毎月の収支はトントンか、頑張って1万くらい貯蓄できるという状況でしょう。

ボーナスに関してはデータから判断すると、120万円支給であれば少なくとも3分の2は貯蓄できるように思えます。したがって、購入後の年間収支ではざっくりと80万円のプラス。住宅ローンを支払いながらですから、貯蓄額としては悪くありません。はるなさんが安定的に収入を得られるのであれば、引っ越しかわりに購入することも選択肢のひとつとなります。

アドバイス2 何もかも背負ってしまうのが最大のリスク

次に、もうひとつの希望である第2子の出産についてはどうでしょうか。
フルタイム勤務に復帰された1年後に出産したとします。育休期間中は月収が10万円下がり、ボーナスの支給額は不明ですが、少なくともその間はボーナスから貯蓄は見込めないとします。奥様の昼食代は浮きますが、それでも1年間で100万円ほど家計赤字になる可能性があります。ただし、それも手持ちの貯蓄(400万円程度)でカバーできる範囲です。

出産後、再度フルタイム勤務に復帰した場合、また保育園費用が発生します。これを3万~5万円とすればその分が家計赤字となります。3年ほど2人のお子さんの保育園在籍が重なるため、その間はボーナスからの貯蓄は半減か3分の1程度減ることになるでしょう。

上のお子さんの教育費は、もちろん進路はまだわかりませんが、あと100万円ほど上乗せすれば、大学費用は用意できます。2人目のお子さんの養育費についても、2人とも小学校に上がればかかる教育費はグッと下がるため、貯蓄ペースも上がっていきます。児童手当も収入として加算されますし、「貯めては使い」の繰り返しにはなるでしょうが、最終的には教育費を含めた子育て費用は用意できると思います。

それでも、希望どおりマンションを購入し、第2子を出産することへのリスクは決して小さくありません。まずは、収入です。ここまでの試算は、はるなさんが安定的に収入を得られた場合です。収支を見る限りは、貯蓄=教育資金づくりはボーナスにかなり依存しています。ボーナスは景気や勤務先の業績に左右されやすいだけに、そこはリスクだととらえるべきです。加えて、第2子出産後にフルタイムで再度復帰して、必ず今回と同様の収入が得られるかという点も不安材料です。

次に、住宅ローンを抱えるリスクです。家賃と違って、ローンは大きな負債です。たとえ家計が苦しくなった場合でも、返済は必ず、しかも毎月おとずれ、結果的に退路がなくなってしまいます。さらに言えば、築30年といった古い物件は当初の想定よりも修繕費用がかさむ可能性があり、別途住民がその費用を負担する(管理費の値上げ、一時金の徴収)、つまりは住宅コストがアップするケースも考えられます。

そしてもっとも大きなリスクは、すべてをご自身が背負ってしまうということです。住宅ローンも教育資金もはるなさんに頼り、育児も家事もご主人任せというわけにはいかないはず。さらに、そのご主人に対しても精神的、経済的に支えていかなくてはなりません。もし、奥様が病気や疲労などで倒れ、収入が途絶えたり、大きく減ってしまえば、生活そのものが立ち行かなくなります。マネープランにおいてこれ以上のリスクはありません。

アドバイス3 まずは第2子出産を優先させ、貯蓄に励む

そういったリスクを考えると、マンション購入と第2子出産、現状は少なくともどちらかひとつに絞るべきです。それははるなさんのご家族が決めることですが、年齢を考えれば第2子が優先されるでしょう。

そして、住宅に関しては、早くとも第2子出産後に職場復帰し、収入が予想どおり維持されること。そして、2人のお子さんの子育てもしながらの生活に落ち着きが出てきた段階で、あらためて購入を検討しても遅くはありません。その間、今のお住まいがどうにも手狭なら、家賃上昇をできるだけ抑えられる物件を探してみる。また、これを機会に家計も見直し、貯蓄ペースを上げる工夫をしながら、購入に備えて頭金を増やしおけばいいと思います。

ただ、都内にマンションを購入する場合、定年後に実家の方に一戸建てを購入して移り住むかどうかも合わせて検討する必要があります。2件、住宅を購入することはその分、ローンを抱えるリスクが高まります。定年後の住宅の予算が1500万円とは言え、65歳から住むのですからローンは組みたくありません。退職金も大事な老後資金ですから、できればつぎ込みたくないもの。都内に購入したマンションを売却しても、購入した時点で築30年なら、売却額は期待できません。都内で購入するなら終の住処にするという位置づけにしておく方が賢明だと言えます。

最後にご主人の保険について。収入は得ていて、部分的に家計を支えているわけですから、お子さんが独立するまでは保障はあった方がいいと思います。保障額としては、死亡、医療とも共済のもっともスタンダードなプランがひとつの目安となるのでは。ただし、健康面で、保険の加入審査にある程度影響するならば、無選択型保険(告知書を出さずに加入できる)や引受基準緩和型保険(加入条件を緩和)を選ばざるを得なくなり、結果、保険料も割高になる可能性もあります。いくつか問い合わせてみてください。

相談者「はるな」さんから寄せられた感想

深野先生のアドバイス、大変参考になりました。特に住宅購入についての「資産は大きなリスクでもある」という言葉にハッとしました。家賃費用がかさむことばかりを懸念していましたが、裏返せばリスクを負うことからは回避できているということですね。2人目についても、大丈夫との後押しをいただき勇気が出ました。今後の貯蓄や家計の見直しも含めて夫と相談したいと思います。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん

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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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