『坂道のアポロン』の中川大志さんに直撃インタビュー

特写/撮影/斎藤香

『坂道のアポロン』中川大志直撃インタビュー


映画『坂道のアポロン』は、第57回小学館漫画賞(一般向け部門)、「このマンガがすごい!2009オンナ編」第1位を受賞したことでも知られる、人気名作漫画が原作です。

都会から長崎・佐世保の高校に転校してきた薫(知念侑李)が、千太郎(中川大志)と律子(小松菜奈)と出逢い、ジャズを通して友情を育んでいく物語。青春+恋愛を描いた爽やかな作品です。

仲良しトリオの中でも、最も個性的で豪快なキャラクター・川渕千太郎を演じているのが中川大志さん。2017年は映画『きょうのキラ君』『ReLIFE リライフ』に主演し、着実に力をつけてきた人気上昇中の若手俳優です。その中川さんに『坂道のアポロン』の撮影秘話と役者・中川大志について語っていただきました。


音楽が大好きで、いつかドラマーの役を演じたいと思っていた


―『坂道のアポロン』では、不良の高校生だけど、ジャズ好き・ドラム好きの千太郎をイキイキ演じていますね。ルックスも含めて、これまでの中川さんとはガラリと違う役でしたが、出演依頼があったときの感想は?

中川大志さん(以下、中川):マネージャーさんから「ドラムを叩く役なんだけど、やったことある?」と聞かれたのが最初でした。僕は音楽が大好きで、学生時代に1,2年ドラムを習っていたことあるんですよ。「いつか音楽に関する映画に出たい、できればドラマーの役が来たらいいな」と思っていたので、凄く嬉しかったです。

なぜドラムを習っていたかというと、僕の大好きな映画『スクール・オブ・ロック』(2003年)に出てくる、金髪のドラマーの男子がかっこよくて憧れていたんです。彼を見て興味を持って、ドラムを始めました。もともと趣味でやっていたのですが、いつか俳優の仕事に活かせればと思っていたから、この作品で念願が叶いました。

 
それに千太郎は、僕が今まで演じたことのないタイプの役だったんです。自分と違う役を演じられるのも嬉しかったですね。チャレンジできる役を頂けたことに本当に感謝しています。


―それは良かったです! でもクランクインまで、役作りの準備に10か月くらいかかっていたそうですが、大変だったのではないですか?

中川:いえ、楽しくて仕方がなかったです(笑)。以前はロックのドラムを習っていたのですが、この映画はジャズなので、初めての挑戦でした。

ただ練習を始めた当初は、まだ映画で使用する楽曲が出来上がっていなかったので、ジャズの基礎を徹底的に練習していました。楽曲が届いてからは、実際にその演奏を練習しましたが、とにかく練習が楽しくて。練習すればするほどレベルアップしている感じがしました。
坂道のアポロン

(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館


上達していることを実感できたので、練習は苦ではなく楽しみでした。何百回もドラムを叩きましたが、何度やっても飽きなくて、やればやるほどテンションが上がっていくんですよ。早くクランクインしたくてたまらなかったですね。

―千太郎のジャズとドラムへの情熱が、そのまま中川さんに乗り移ったようですね。

中川:音楽に限らず、芝居もそうですが、やっぱり演じている自分たちが楽しく感じられないと、映画を見てくれるお客さんにも伝わらないと思うんです。

本番の演奏シーンでは芝居を超えて気持ちが高まり、自分たちのジャズへの熱い思いを乗せることができました。完成した映画を見たとき、自分でも「楽しそうにしているな」と思いましたから(笑)。


演技の神様が下りてきた瞬間を体験しました

特写/撮影/斎藤香

千太郎と自分の違いに悩みながら役作りに励んだと語る中川さん


―今回は中川さんとはまったく違うタイプの役だそうですが、どうやって千太郎になっていったのでしょうか?

中川:ドラムを叩いているときの千太郎の動き方に関しては、アニメの「坂道のアポロン」を参考にしました。

ただ千太郎の個性やメンタルに関しては、どうやって演じようかと本当に悩みました。漫画やアニメを見て、僕は千太郎のことが大好きになっていたので、この魅力的なキャラクターをどう演じたらいいのかとすごく考えてしまって……。

特に原作ものを演じる時に悩むのですが、僕は、声の出し方や普段の動き方など、原作をなぞっていくのが嫌なんです。モノマネになってしまいそうで怖い。だから千太郎を自分に入れ込む作業が大変でした。

―どこで千太郎になるきっかけを掴んだのでしょうか?

中川:クランクインの1週間前に、千太郎のように髪を短くカットして染めて、翌日のリハーサルに臨んだんです。知念くん演じる薫とのセッションシーンのリハだったのですが、それまでずっと別々に、知念くんはピアノ、僕はドラムの練習をしてきて、初めて合わせる日でした。

ずっと練習で使用していたドラムセットの前に座ったとき、いつもと同じセットなのになぜか違う感覚が自分に降りてきて、「これはイケる!」と直感したんです。
坂道のアポロン

(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館


知念くんとのセッションも楽しくて、この感覚を忘れちゃいけない、初めてセッションしたときの楽しさを現場に持って行かないといけないと思いました。

佐世保での撮影にも助けられましたね。衣裳を着て、千太郎として漫画の舞台になった場所に立っていると、撮影に向けていろいろ考えていたことがすべて吹っ飛んで、千太郎としていられたんです。声の出し方も普段より太くしようか……とか考えていたんですが、それも無意識にできていました。こんなこと初めてです。


役者の仕事の面白さを改めて感じた現場だった

特写/撮影/斎藤香

『坂道のアポロンは、』役者の仕事の楽しさを実感した映画だと語ります


―演技の神様が中川さんに降りてきたような撮影現場だったようですが、完成した映画をご覧になった感想は?

中川:千太郎を見ても自分じゃない感じがしました(笑)。

1か月半、ずっと佐世保で撮影していて、東京での生活からかけ離れた毎日を送っていたので、撮影が終わって帰宅したとき「佐世保での日々は幻だったんじゃないか」とさえ思ったほど(笑)。それくらい佐世保での撮影は、その場所にしか流れていない時間がありました。
坂道のアポロン

(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館


完成した映画を見たときは、すでに自分の中から千太郎が抜けているので、自分が知らない自分、見たことのない自分がいて驚きました。

自分が出演した作品はこれまでも見ていますが、今までで一番、自分の知らない自分を見た感覚が強かったし、『坂道のアポロン』で改めて役者の仕事って面白いなと思いましたね。


座長の知念君は背中で語る男!

特写/撮影/斎藤香

薫役・知念くんの凄さを語る!


―『坂道のアポロン』では薫役の知念侑李さんとの相性もバッチリでしたね。役者・知念侑李さんとの共演はいかがでしたか?

中川:撮影が終わってから聞いたのですが、知念くんは初の単独主演映画で相当プレッシャーがあり、不安で仕方がなかったそうです。でも現場ではそんなそぶりを1ミリも見せず、座長としてみんなを引っ張ってくれました。

ムードメーカーだったし、一生懸命ピアノの練習をしていたし、その努力にみんなが刺激を受けていましたね。背中で語る人というか……。

本当にまったく不安に思っている内面を表に出さない人なんですよ。だからクランクアップで涙しているのを見たとき、すごく気を張って演じていたんだろうなと思いました。そういう人だからこそ、みんなが知念くんを信じてついて行けましたし、僕は知念くんが大好きです!


家族の影響もあり、古い洋画もよく見ます


―オールアバウト映画サイトでは取材させていただいた方に好きな映画について伺っているのですが、中川さんの好きな映画を教えてください。

中川:さっきお話しをした『スクール・オブ・ロック』も好きですし、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)は大好きで何度も見ています。

 

僕が生まれる前の映画ですが、父の影響で古い映画もけっこう見ていて、少年たちの冒険映画『グーニーズ』(1985年)も好きだし、サスペンス映画『バタフライ・エフェクト』(2004年)、そうそう『グレムリン』(1984年)を見て、感動して泣いた記憶もあります。

 

最近では『グレイテスト・ショーマン』(2017年)を見ました。ミュージカル映画もチャンスがあったらやってみたいですね。


『坂道のアポロン』はどんな年代の人でも感動できる!

坂道のアポロン

(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館


―では最後に、『坂道のアポロン』を楽しみにしている方へのメッセージと俳優・中川大志の今後の展望を教えてください。

中川:『坂道のアポロン』は、どんな年代の人でも楽しめる映画だと思います。「青春を経験したすべての人に」と謳っているのですが、今、高校生の人、昔、高校生だった人、幅広い世代の人に届いてほしいです。

また、人と人とが出会って人生が変わっていく作品でもあるので、この映画を通して出会いの素晴らしさをいろんな方に伝えたいと思います。

俳優・中川大志としては、完成した映画を見て、自分じゃないものを残せた実感があったので、もっとそういう作品をまず自分自身が見たいと思いました。

これまでも「自分のイメージを覆すものを出していきたい」と言ってきたんですが、今回それに近づけたかなと思うので、もっとそれを追求していきたいです。

役者の仕事には正解がない、無限に広がっていく仕事なので、何でもできると思うのです。 可能性はいくらでもあるという楽しみを胸に突き進んでいきたいですね。


中川大志(なかがわ・たいし)
1998年6月14日、東京生まれ。2009年で俳優デビュー。その後、数々のドラマ、映画に出演している。主な作品は、映画は2017年『きょうのキラ君』『ReLIFE リライフ』など。ドラマは2011年「家政婦のミタ」(日本テレビ)、2014年「水球ヤンキース」(フジテレビ)「地獄先生ぬ~べ~」(日本テレビ)、2016年NHK大河ドラマ「真田丸」、2017年「賭ケグルイ」(MBS/TBS)。2018年は、4月スタートのドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」(TBS)と7月公開の映画『虹色デイズ』が控えている。


『坂道のアポロン』
(2018年3月10日より、全国映画館で公開中)
坂道のアポロン

(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館


舞台は長崎・佐世保。転校生の薫(知念侑李)は家に居場所がなく、ピアノだけが生きがいの高校生。孤独だった彼が新しい学校で出会ったのが律子(小松菜奈)と千太郎(中川大志)でした。

律子の実家であるレコード屋さんの地下スタジオでドラムを叩く千太郎は、一見、不良だけれど、実はジャズが大好きな大らかで気の良い男。二人はピアノとドラムのセッションをするようになり、友情を育みます。やがて薫は律子に恋をするけれど、彼女の目線の先にはいつも千太郎が……。

監督:三木孝浩 脚本:高橋泉(※) 原作:小玉ユキ「坂道のアポロン」(小学館「月刊flowers」FCα刊)
出演:知念侑李 中川大志 小松菜奈、真野恵里菜、山下容莉枝 松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.) 野間口徹、中村梅雀 ディーン・フジオカ

※高ははしごだか

(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館



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