「お」「ご」など敬語が連続で続いた場合の対処法は?
お手紙をお書きになる、お手紙、ご返事、お忙しいなど、丁寧にすれば敬語が続いくのは当然のことですが、上手な対処法、使い方とはどのような点にあるのでしょうか
ただし、敬語が一文の中で何度も使われていたり、続いていたりすると、相手と何度もやり取りをしている場合などは、少し不自然に受け取られてしまう可能性もあります。
軽いほうがいいというわけではないにしろ、たとえば「ラジオをお聞きになりながら原稿をお書きになっていらっしゃる」などは、少々他人行儀に聞こえたり、常套句的な響きを与えたりということもあるかもしれません。
このように敬語が重たく、もう少し軽くしたいというような場合、どのようにしたらよいのでしょうか。その工夫、対処法をみてみましょう。
自然な言い回しなら、敬語が続いても削らなくてOK
自然な敬語ならOK
ひとつは、言葉に「お」や「ご」が付く例です。お身体、ご趣味、ご職業のような名詞やお忙しい、お美しいのような形容詞です。そして「お書きになる」「お読みになる」などの動詞の敬語もあります。
いずれも敬語として正しい使い方ですが、特に「お」が続いてしまうような場合や動作の敬語でも少し重いと感じる場合、削ったほうがいいのでしょうか? 具体的な例をあげて見てみましょう。
- 「お忙しい時期かと存じますがどうぞお身体にお気をつけてお過ごしください」
- 「原稿をお書きになっていらっしゃる」
1、2共にどちらもよく使われる言い回しですね。
1の「お気をつけて」はやかましく言えば諸説あり「お気をおつけになる」とすべきだとも言われますが、書き言葉として使う場合は特に冗長な感じがして使いにくい感があるのかもしれず、「お気をつけて」の言い方が一般的に用いられているのでしょう。
さて、ここで問題になっているのは、それ以外の「お忙しい」「お身体」「お過ごし」の「お」ですね。たしかに「お」が続きますが、いずれも相手の事柄や動作に関わる語ですので、付けたほうが自然で敬意も込められます。
では、2はどうでしょうか。こちらもちっとも誤りなどではなく、このぐらいの表現なら使うという人もあるでしょうし、極めて正しい表現です。
文章が長くなる場合は、前半の敬語を削って後ろを残す
敬語を減らす場合は文章の後半を削る
- 「ラジオをお聞きになりながら原稿をお書きになっていらっしゃる」
こちらも「聞く」「書く」「~いる」をそれぞれ尊敬語にした表現ですから言葉としては正しい表現です。この文章の敬語をもしも少し削りたいという場合はどこを削ればいいのでしょうか。
これは、もし削るとしたら文章の前半の敬語を削って後半を残したほうがおさまりがいいものです。
- 「ラジオをお聞きになりながら原稿を書いている」
- 「ラジオを聞きながら原稿をお書きになっていらっしゃる/書いていらっしゃる」
このふたつの文章を比べてみますと、前者は文章の頭の部分の「聞く」を敬語にしたものです。それに対して後者は後ろの部分の「書く」を敬語にした表現です。このふたつを比べてみた場合、後者のほうがまとまりがよく落ち着く感があります。ただし、決して冒頭の例文が間違いというのではありません。
「ラジオをお聞きになりながら原稿をお書きになっていらっしゃる」は正しい敬語ですが、もし仮にどこかを削って少し敬語を軽くするならば……の話です。
おごぼう、おにんじん……使いすぎと不自然な敬語には注意
無理やり敬語にせず、自然な言い回しを大切に
たとえば、「お手紙の書き方のご本」「おねぎとおごぼう」のような類です。使う人のとらえ方の違い、個人差はありますが、ちょっとくどさや不自然さを感じるものです。
「お手紙の書き方のご本」は、著者や関係者を前にして「先生のお手紙の書き方のご本、拝読しました」ならば自然です。ただし、お手紙の「お」は美化語的な響きがあるのでここは「お」を取って「先生の手紙の書き方のご本/先生のお書きになった手紙の書き方のご本」でも充分かと感じます。
次の「おねぎ」「おごぼう」ですが、食べ物や短い語には「お」が付きやすい傾向があるとはいえ、「おねぎ」ぐらいはわからなくもありませんが、「おごぼう」「おにんじん」は不自然でしょう。
肝心なのは、むやみに丁寧にすればいいわけではないということです。自然な言い回しかどうかという程の良さというのも好ましい敬語づかいには大切な要素といえるのでしょう。
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