炎の中を修験者たちが裸足で駆け抜ける「長瀞火祭り」
毎年3月の第一日曜日に、埼玉県北西部の長瀞に聳える宝登山の山麓で行われる長瀞火祭りでは、燃えさかる炎の中を修験者たちが裸足で駆け抜けるというダイナミックなシーンが祭りを盛り上げます。長瀞火祭りは、古くから秩父地方に伝わる信仰行事「火祭祈願」が1978年に再興されたものです。2018年は3月4日(日)に不動寺前の駐車場広場をメイン会場として実施されます。
長瀞駅からメイン会場まで延々と繋がる錬行の行列
祭りの当日は10時から、長瀞駅前で秩父各地の郷土獅子舞の奉納が行われます。火祭り広場では秩父屋台ばやし、居合抜刀術の奉納が行われ、長瀞のエリアに祭りの雰囲気を拡散していきます。12時30分前後になると修験者たちがほら貝を吹き鳴らし、錬行のスタートが告げられます。多数の修験者の他に獅子舞一団、一般奉賛者を加え総勢1000名を超える長い行列が、長瀞駅前から西に向かいます。
宝登山神社の一の鳥居を潜り参道を歩き、二の鳥居の手前でお祓いをした後、直角に曲がり宝登山の山肌に沿うように坂道を登り不動寺前のメイン会場を目指します。
一番の見どころはダイナミックな火渡荒行奉修
錬行がメイン会場に到着する13時頃から広場では、柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)、火渡荒行奉修が行われます。京都の真言宗醍醐派の総本山である醍醐寺で行われていた祈願の秘法が行われるのです。護摩の霊火で煩悩や汚れを焼き払い、不動明王に慈悲と加護をいただくことができると伝わっています。メイン会場の中央には薪を約3トン、ひのきを約4トン山積みした火渡り道場の「紫」が設けられ、その周りで柴燈大護摩供の数々の儀式が行われます。そしてフィナーレを飾るのが火渡荒行奉修です。「紫」に火がともされると、みるみるうちに火柱が立ち上がり立ち上がる炎の熱気に包まれます。赤い炎からは、もくもくと黒い煙が吹き上がるので、風下では目をあけていられなくなります。見学場所は風向きを見て風上に確保した方がいいでしょう。
30分足らずで火の勢いが落ち着くと、神輿を担いだ修験者や、護摩札を手にした修験者たちが次から次に炎の中に飛び込んでいきます。
修験者たちが火渡りを終えた14時頃からは、一般奉賛者も火渡りの修行に参加することができます。護摩の浄火を渡れば全ての災難と障害を焼き滅び、「宝福招来」「開運厄除」のご利益がえられると考えられており、広場にはまたたく間に長蛇の列ができあがります。行列の最後尾に並んでしまうと、ご利益をいただくのは1時間近くお預けとなります。
火渡りのコツは、歩幅を一定にしてリズムを崩さず、思い切って歩くことです。渡り切った後も暫くは気を抜かず、足踏みを続け足の裏に着いた火の粉を完全に消してしまうことも重要です。
【長瀞火祭り】
日時:2018年3月4日(日)
場所:長瀞町、宝登山麓火祭り会場(埼玉県秩父郡長瀞町長瀞1766−1)
アクセス:秩父鉄道長瀞駅より徒歩約15分
駐車場:不動寺前の宝登山ロープウェイ下大駐車場を利用
TEL:0494-66-3424 (長瀞火祭り奉賛会)
地図情報