注目の俳優・間宮祥太朗さんに直撃インタビュー!
2018年に大活躍が期待される俳優として必ず名前があがる間宮祥太朗さん。彼の最新作『不能犯』は、標的を必ず始末する宇相吹(松坂桃李)の立証不可能な事件を描いたサスペンス映画。本作で多田刑事(沢尻エリカ)がかつて世話した元不良少年の川端タケルを演じるのが間宮さん。映画が大好きという彼に『不能犯』の話から好きな映画のことまで熱く語っていただきました。
穏やかな「元不良タケル」の役作りのポイントは目の温度
―映画『不能犯』は、言葉にするのが難しい映画ですね。殺人依頼を受けた宇相吹が、人を殺めていく立証不可能な事件に、タケルがどうからんでいくのか。もしや依頼人?犠牲者?とドキドキしながら見ていました。タケル役について、どのようにアプローチしたのですか?間宮祥太朗さん(以下、間宮):白石晃士監督からは「目線、目の温度を大切に」ということを言われました。かつて少年院に入っていたことがある男なので、過去に何か重いものを背負っていると考え、その要素を目で表すということです。
あと、僕にとってタケルを掴むためにヒントになったのは服装ですね。板前なので店では板前の恰好ですが、彼の普段着は清潔感があって几帳面な性格がよくわかる恰好をしています。だから、穏やかな雰囲気をまとって演じるのもありだと思いました。
逮捕され、少年院にいたとはいえ、必ずしも粗暴な人間とは限りませんから。タケルは荒っぽいというより静かなタイプですが、何か行き過ぎた行為が過去の彼にはあったのです。
―なるほど。タケルは、穏やかな人だけれど明るい性格ではない……というのはスクリーンから伝わりました。間宮さんは完成した映画を見て、どう思われましたか?
間宮:この映画はCGが多く使われているので、どういうヴィジュアルになるのかまったくわかりませんでした。ずっと想像の範疇でしかなかったので、完成した映画を見たときは、白石監督の独特の映像世界が刺激的で面白かったです。特に宇相吹の目の奥が万華鏡のように描かれるシーンなど、凄く効果的だと思いました。
中学生のときから映画業界に憧れていました
―間宮さんのプロフィールをお伺いしたいのですが、もともと映画が大好きで、映画業界で働きたいと思っていらしたとか。
間宮:そうです。中学時代から映画が大好きで、将来は映画業界で働きたいと何となく思っていたんです。たまたま俳優の仕事からスタートすることになりましたが、俳優の仕事をすれば映画の撮影現場を見られるし、もしも芽が出なくても、業界とつながりがあれば、映画業界の仕事があるかもしれないと考えていました。
絶対に普通の中学生でいるより、この業界にいた方が映画に近いじゃないですか。それに俳優の仕事を始めたときは、まだ中学生で失う物は何もない。ダメだったらまた普通の中学生に戻ればいいし(笑)、だから飛び込んでみようと思ったのです。
―映画業界で働きたい思いが、まずは役者からというスタートになるなんて凄いですね。それが今も続いていて、出演作もどんどん増えて。今の活躍についてどんな思いがありますか?
間宮:仕事が増えるのはありがたいと感謝しているのですが、僕自身は何も変わっていないんですよ。だから忙しくなっても特別な思いというのはなくて……。
よく「たくさん出演されていますね」と言われるのですが、人に言われて気付くくらいで、意外と自分のことはよくわからない(笑)。
僕は十代のときから、オーディションを受けて仕事を得てきました。例えば連続ドラマで主人公のクラスメイト役で出演するときは、クラスメイトとしてずっと教室にいるので、3ケ月くらい忙しいんです。そういう毎日を送ってきたので、いま売れているという感覚が実感としてないんですよ。
周囲の人からは、仕事があるときとないときの浮き沈みがないタイプだと言われますね。たぶん何かが微妙に変化しているとは思いますが、僕自身は、常に新しく関わる作品ごとに成長していければいいなと思いながらやっています。
好きな映画を撮る監督と仕事がしたい
―間宮さんは映画好きなので、同世代の俳優さんと「映画を作ろう」いう話とか、将来的に自分で監督したり、脚本書いたりしたいという考えはありませんか?
間宮:いや、それはないですね。もちろん誰かが「監督やるから出てくれない?」と言って来たら、協力したいけど、自分から友人たちを映画作りに誘うということはないと思います。
15歳のときは「自分が見たい映画を作れたらいいな」と思っていたけど、今はそういう気持ちはないです。
脚本は、体験や創造力を駆使して白紙の世界に設計図を描いていく作業ですよね。自分がその作業をずっとやってきたら考えは違っていたかもしれないけど、演じる側をやってきたので、今では映画を作る監督は凄い!脚本家は凄い!という気持ちです。
ただ一つ言えるのは、自分が好きな映画を撮る監督との出会いを大切にしたいなと思っています。自分が撮るのではなく、自分が好きだと思える作品の現場に入ることができるのがうれしい。そういう現場に俳優として関わって行きたいと思っています。
注目の俳優はエズラ・ミラー!
―間宮さんは鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』やレオス・カラックス監督の映画がお好きだと聞いたのですが、中学時代から鈴木監督やカラックス監督の映画を見ていたのですか?
間宮:鈴木清順監督やレオス・カラックス監督を見るようになったのは高校生くらいです。とにかく家族が映画好きで『007』『ロッキー』『ダイ・ハード』『エイリアン』のシリーズやジャッキー・チェンの映画などを小さな頃から見ていたんです。
高校生になって、メジャーなハリウッド大作系ではない、独特の世界を持った監督の映画を見るようになりました。自分の持っているものとは違う何かを描いている世界を体験するのが好きで。そういう映画を見ていると充実できるんです。
最近では『ボーダーライン』『ムーンライト』が良かったです。あと海外ドラマの「ゲーム・オブ・スローンズ」「ウォーキング・デッド」も好きです。けっこう見ていますよ。
―注目の監督や俳優はいますか?
間宮:エズラ・ミラーですね。『少年は残酷な弓を射る』を見たとき、作品も良かったし、役者として面白い存在だなと思いました。また、彼が演じた役も良かったんですよ。
そしたら知人から「この映画を日本でやるとしたら、エズラの役は間宮くんがいいね」と言われたのです。顔が濃いという共通点もあり(笑)、嬉しかったですね。
青春映画『ウォールフラワー』では『少年は残酷な弓を射る』とは違う、話芸や表情の演技を見せてくれて、レンジの広い俳優だなと、ますます興味が沸きました。僕より少し年上(間宮さんより1歳年上)だと思うのですが、エズラ・ミラーには今後も注目していきたいです。
―海外の映画をよく見られているのですね。
間宮:どちらかといえば、外国映画を見る方が、仕事と直結しない分、映画ファンとして楽しめる感じはあります。国も違うし、文化も違うから。映画という刺激的な存在が、自分の仕事に影響を与えてくれるというのはありますね。
『不能犯』は殺しのハードルの低さがポイントです
―では最後に、2018年、間宮さんの出演映画としては最初に上映される『不能犯』について、その魅力をお願いします。
間宮:『不能犯』は、殺しの手軽さがテーマにあると思っています。殺意を持ったとき、殺人者は完全犯罪を考えると思うんですが、リスクは高いですよね。
でもこの映画で殺意を抱く人間は、殺し屋の宇相吹への殺人依頼メモを電話ボックスに貼り、宇相吹に「純粋な殺意なのか」と問われたら「はい。純粋です」と言えば、彼が殺してくれる。それも手を下さない方法だから立証されないし、依頼者が疑われることもない。実にノーリスクな殺人を描いているのです。
命を奪う、奪われるという崖っぷちの絶妙なラインに立っているのが宇相吹という謎の男。これは、人間の本質が見える映画だと思います。
間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)
1993年6月11日、神奈川県生まれ。2008年ドラマ「スクラップ・ティーチャー~教師再生~」(日本テレビ)でデビュー。その後、映画『希望の国』(2012年)『ライチ☆光クラブ』(2016年)『高台家の人々』(2016年)『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』(2016年)など多数のドラマや映画に出演。2017年は『帝一の國』『トリガール!』を経て初主演映画『全員死刑』が話題になりました。2018年は映画『不能犯』のほか、ドラマ「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日1月18日(木)21:00~放送スタート)に出演しています。
映画『不能犯』
(2018年2月1日、全国ロードショー)
次々と起こる変死事件の現場には、必ず黒いスーツの男がいました。彼の名前は宇相吹正(松坂桃李)。彼に殺人を依頼すると必ず標的を始末してくれる。それも自殺、病死など立証は不可能な形で。彼はマインドコントロールで相手を死に至らしめることができる男なのです。しかし、依頼者の殺意が純粋ではないと恐ろしい結末を迎えることに……。
監督:白石晃士 原作:宮月新
出演:松坂桃李、沢尻エリカ、新田真剣佑、間宮祥太朗、テット・ワダ、菅谷哲也、岡崎紗絵、真野恵里菜、忍成修吾、水上剣星、水上京香、今野浩喜、堀田茜、芦名星、矢田亜希子、安田顕、小林稔侍
(C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会