にんじんを犬に与えても大丈夫!
にんじんを犬に与える方法を学びましょう
にんじんは犬が食べていい食材のひとつです。にんじんに含まれる栄養素やその働き、犬の病気や薬、アレルギーとの関係を具体的にお伝えします。
<INDEX>
- 犬ににんじんを食べさせる時は調理方法の工夫を!
- にんじんに含まれる成分には、皮膚や粘膜の健康維持が期待できる
- にんじんに含まれるビタミンAで犬が中毒を起こす?
- 犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
- にんじんを使った人間向けの加工品はできるだけ避けて
生にんじんはすりおろしなど調理方法の工夫を!皮もよく洗えば大丈夫
犬が食べやすい形や柔らかさにしましょう
にんじんは犬に食べさせることができる野菜のひとつです。生でも与えることができますが、生のにんじんは硬く消化しにくいので細かく刻んだり、すりおろす調理方法がおすすめです。皮ごと与えても問題ありませんが、よく洗ってから食べさせるようにしてください。
主にインターネットで「にんじんにはビタミンCを破壊する酵素が含まれる」と言われることがあります。確かにアスコルビン酸酸化酵素の影響でビタミンCが還元型から酸化型に変わりますが、体内に入ることで還元型に戻る性質があるので、過度に心配することはありません。
にんじんに含まれる成分には、消化不良を助ける働きなどが期待できる
犬がにんじんを食べると健康に期待できることは?
犬がにんじんを食べた場合の健康への働きについて、明確な研究発表は存在していないようですが、にんじんに含まれる栄養素が健康に期待できる働きを3つご紹介します。
1:皮膚や粘膜の健康維持に
にんじんに豊富に含まれるβカロテンは、犬の体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の健康に一役かってくれます。皮膚や粘膜は免疫に大切なバリア機能ですのでこれらが健康であることで免疫力を維持することにつながります。
2:消化不良を助ける
東洋医学において、にんじんは消化不良や食欲不振のケアにおすすめと言われています。ただし、生のにんじんは硬いので犬が食べやすい形に調理してあげましょう。
3:シニア犬のサポートに
にんじんには、抗酸化作用のあるビタミンAが含まれています。体内の酸化(サビのようなもの)を抑えたり、取り除くことが期待できます。体の酸化はストレス、食品添加物、老化などによって起こるとされているので、シニア犬のおやつやドライフードのトッピングにもおすすめです。
にんじんに含まれるビタミンAで犬が中毒を起こす?アレルギーは?
にんじんと病気・薬、アレルギーとの相性は?
どのような食材でも、良い面と良くない面を持ち合わせています。にんじんを避けた方がいい犬はいるのか、にんじんと相性の悪い薬はあるのか、飼い主としては気になるところ。犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生(Animal Life Partner代表)にお伺いしました。
「にんじんは、ビタミンAの一種であるβカロテンを多く含む食材です。
ビタミンは、
- 水に溶けることから、食品やサプリメントで摂取しても尿として排出されてしまいやすい水溶性ビタミン
- 脂肪に蓄積されることから、過剰に摂ると中毒を起こす可能性もある脂溶性ビタミン
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種ですが、問題となるのはビタミンAの中のレチノールで、βカロテンは必要に応じて体内でビタミンAに変換されますので、中毒の心配はりません。”脂溶性”の性質を生かして、油で炒めるとより効果的に摂取することができます。
にんじんは、ヨモギやシラカバ、かぼちゃに対してアレルギーを持っている犬は交差反応(※)を起こしてしまう可能性のある食材です。アレルギーがある場合には少量ずつ与え、様子をよく観察するようにしてください。
相性のよくない犬の病気・薬は今のところありません。」
(※交差反応:アレルギー反応が出る対象物と分子構造が似ているまたは同じという理由で、別の食材や植物などにもアレルギー反応が出てしまうこと)
犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
上記の表を参考にして少量ずつ試すようにしてください。食物アレルギーはどのような食材でも反応する可能性があります。初めての食材を与える時は、体調に変化がないか様子を見るようにしてください。
にんじんを使った人間向けの加工品はできるだけ避けて
人間用に加工されたものは、原材料をよく確認して判断しましょう
身近にあるにんじんを使った加工品を、犬に与える時のポイントや選び方を知っておきましょう。
・にんじんジュース
原材料がにんじんだけのジュースであれば、犬に与えても大丈夫です。とはいえ、たくさん飲ませるとお腹を壊すことも考えられるので、舐めさせる程度にするか水で薄めてから飲ませるようにしましょう。
・にんじんチップス
油であげたにんじんチップスは、塩や砂糖などの調味料で味付けされていることもあり、犬の健康維持にはおすすめできません。にんじんだけをオーブンで焼いたり、フードドライヤーで乾燥させたにんじんチップスであれば犬に与えても大丈夫です。
犬ににんじんを食べさせても大丈夫?まとめ
- にんじんを犬に食べさせる時は、食べやすい大きさや柔らかさにする
- 皮膚、粘膜や目の健康維持や、抗酸化作用が期待できる
- ヨモギやシラカバにアレルギーがある犬は、アレルギー反応が出る場合があるので注意する
- にんじんジュース、にんじんチップスなどの加工品は原材料をよく見て判断する
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/
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