無駄遣いはしていないのに、貯蓄が一向に増えません……

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、貯蓄残高が現在10万円。思うように貯まらないことが不安な、44歳の女性派遣社員の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)
 
貯金を増やす方法は

貯金を増やす方法は




■相談者
ひまわりさん(仮名)
女性/派遣社員/44歳
関東/賃貸住宅

■家族構成
一人暮らし

■相談内容
貯金が思うように貯まりません。無駄遣いをしている自覚はないのに貯金が増えていきません。今後老後資金をどうやって貯めて行けばよいかアドバイスを頂きたいと思い投稿させて頂きました。毎月の支出の他、税金などにかかるお金があります。この分のお金を貯めるので精一杯で、老後資金が全く貯まりません。自分としては「絶対に使わない老後の為の貯金」「突発的な出来事用の貯金」「勤務日数が少ない月用にまわす貯金」の3種類を用意したいのですが、なかなか思うようにいきません。ちなみに結婚の予定はありません。よろしくお願い致します。

■家計収支データ
相談者「ひまわり」さんの家計収支データ

相談者「ひまわり」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)税金、社会保険料について
住民税は給与天引きされず個別に支払っている。厚生年金、社会保険料は給与天引き。

(2)自動車保険について
対人、対物は無制限。さらに車両もつけている。

(3)加入保険について
・本人/終身保険(70歳払込終了、死亡保障200万円)=毎月の保険料4928円
(※葬式、整理費用代に充てる資金として加入。受取人は妹)
・本人/終身保険(65歳払込終了、死亡保障200万円)=毎月の保険料4922円
・本人/医療保険(終身保障・終身払い、入院8000円、通院特約、女性疾病特約)=毎月の保険料5020円
・本人/がん保険(終身保障・終身払い、入院1万円、通院特約、女性疾病特約)=毎月の保険料2690円

他に自動車保険 =毎月7360円

(5)食費について
「2000円/1週間と決めています。残りの2000円はちょっと贅沢用、または5週目用です。雑費の予算を1万円にしていますが、そこまで使わない月は残金を食費にまわしていますので、実際には1万5000円くらいの月もありますが、基本は1万円で抑えるようにしています。節約は当然のこと、食事の量も回数も減らしています。会社に持参するお弁当おかずをメインに食材を購入。夜ごはんはお豆腐、納豆、もやしです。朝ごはんは食べません。たまにお肉やお魚を買います。野菜は高いので100円セールの時だけ買います」

(6)趣味娯楽
(本人コメント)
「生活の中で楽しみは特にありません。今を生活していくことで精一杯です。趣味娯楽費の3620円は通信で習っているお習字の月謝です。休日静かな部屋でお習字を書いていると気持ちがゆったりします」

(7)ご実家について
実家に戻る予定はなし

■FP深野康彦からの2つのアドバイス
アドバイス1 大事な人的資本、そのための支出は増えてもいい
アドバイス2 元気により長く働くことがもっとも有効な老後対策
 

アドバイス1 大事な人的資本、そのための支出は増えてもいい

貯蓄が思うように増えないというご相談ですが、一般的な解決策は支出削減と収入アップの2つです。まず、家計の支出削減ですが、このデータを見る限り、ひまわりさんの家計に見直す余地はほとんどありません。「無駄遣いをしている自覚はない」とありますが、もっともでしょう。無駄がないという点で、家計管理はほぼ満点と言っていいからです。

ただし、保険については見直しが可能です。まず、70歳払込終了の終身保険は払済保険にします。お葬式と整理費用に充てる資金として加入されているとのこと。そう考える気持ちはわかりますが、必要性は感じません。亡くなった後よりも、生きているときの費用が優先されるからです。また、自動車保険も月7360円は割高。車両保険を付加されているためですが、これも優先順位を考えれば、不要なのでは。ノンフリートが20等級であれば対人、対物が無制限で保険料は月2000円台で済むはずです。

加えて、カードローンの支払いがもうすぐ終わりますから、その後は保険の見直し分と合わせて、毎月の貯蓄額は6万5000円にアップし、年間の総貯蓄額も78万円になります。

ただし、私個人としては、そこまで貯蓄ペースを上げるより、もう少し生活費に充ててもいいと思います。とくに食費。工夫をして抑えられている点は本当に立派ですが、回数を減らしているなど心配な側面もあります。月1万円をせめて2万~2万5000円にアップしてみて下さい。それでも、十分抑えられた金額です。

ひまわりさんは現時点でほぼ金融資産を保有していません。だとすれば、今後のマネープランを考える上でもっとも大事にすべきは人的資本。つまり今後収入を得ていく自分自身です。そのためには、健康管理に気を配り、しっかり栄養補給をしなくてはいけません。ストレスを溜め込むことも避けるべき。したがって、毎月の貯蓄ペースは下がっても、食事や趣味の部分も大事にし、そのためのある程度の支出増(予算をしっかり決めておく)は将来の自分のためと割り切ることが大切です。
 

アドバイス2 元気により長く働くことがもっとも有効な老後対策

老後が心配ということですが、仮に貯蓄ペースを月5万円とすると、年間60万円。ここから自動車の維持コストや住民税などの年間の支出として15万円を差し引くと、60歳までの15年間で675万円。今はまだ貯蓄残高は少ないですが、コツコツ貯めていけばまとまった額になります。相談文にあるように、目的別に貯蓄を分けることも、貯蓄が増えていけばその効果を発揮するでしょう。

では、これで老後資金が足りるかどうか。受給できる公的年金の額なども含め不確定要素がまだ多く、それはまだハッキリとは言えません。ただし、現状の生活費が抑えられていることを考えれば、少なくとも悲観することはないと考えます。ポイントは、たとえ金額が低くとも、どれだけ長く収入を得られるか。少なくとも65歳まで、できれば70歳まで働くことが、ひまわりさんにとってもっとも効果的な老後対策なのです。

老後資金づくりについては、運用はおススメできません。リスクを取る資金的余裕は今のところないからです。したがって、年齢的に加入期間を長くは取れませんが、個人年金保険を利用してはどうでしょう。掛け金の目安としては、毎月の貯蓄分の半分程度でいいのでは。現状、利回りはさほど高くはありませんが、解約しない限り確実に老後資金を用意できますし、何より「老後のために備えている」という安心感がひまわりさんには精神的メリットとなるはずです。

あとは収入アップですが、そのために転職することもひとつの選択肢だと思います。年齢的に難しいと思うでしょうが、何もせずにあきらめるとすれば、それは少しもったいないのでは。焦る必要はありませんが、実際の活動はできれば早めがいいでしょう。
 

相談者「ひまわり」さんから寄せられた感想

深野先生からのアドバイスを拝見して老後のことばかりを考えてしまい今の自分が全然楽しくないという本末転倒であることに改めて気づかされたように思います。先生の仰る通り、70歳まで元気に働くことが出来るように、健康管理と人生の楽しみの予算にもう少し余裕をもたせてみようと思います。それから、少しでも金額を抑えられるように、保険の見直しは早急に始めたいと思います。細かいところまでご丁寧にアドバイスを頂きましてどうもありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

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