中小企業診断士/中小企業診断士試験…2次試験対策・勉強法

中小企業診断士2次試験の難易度と対策【2018年度】

中小企業診断士試験2次試験の難易度は? どんなことを踏まえて対策を取ればいいの?近年の傾向は?これらの疑問について、中小企業診断士受験の講師がわかりやすく解説します。

つだ まどか

執筆者:つだ まどか

中小企業診断士ガイド

中小企業診断士2次試験は、筆記と口述がある

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中小企業診断士2次試験の攻略法は?


中小企業診断士1次試験:難易度を踏まえた対策は?では、1次試験の難易度を踏まえたうえでの対策方針についてご紹介しましたが、今回は2次試験について取り上げます。

中小企業診断士2次試験の目的は、その試験案内によると「中小企業診断士となるのに必要な応用能力を有するかどうかを判定すること」です。1次試験が、経営コンサルタントとして必要な知識を有しているかを確認するものであるのに対し、2次試験はそれらの知識を使って、企業診断業務を適切に行えるかどうかが問われます。

2次試験は、10月下旬に行われる筆記試験と、筆記試験通過者のみを対象として12月中旬に実施される口述試験で構成されています。

■2次試験  

2次筆記試験は事例企業4社について80分で解答する

中小企業診断士2次筆記試験は4科目で、いずれも試験時間80分の100点満点です。経営革新・改善、新規事業開発(既存事業の再生を含む)などの中から、以下のとおり出題されます。
 
  1. 組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例(事例企業A社)
  2. マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例(事例企業B社)
  3. 生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例(事例企業C社)
  4. 財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例(事例企業D社)
     
2次筆記試験は、事例企業4社について、与えられる情報(事例企業の概要や経営方針、これまでの歴史や今後の課題、資料やデータ)をそれぞれ分析し、問題文に対して科目ごとのテーマを踏まえた上で、出題者の意図を捉えた解答を80分間で作成することが求められる、難度の高い試験なのです。
 

2次筆記試験は相対評価の要素が大きい

中小企業診断士試験の難易度、合格してわかるその実態でも述べたとおり、2次筆記試験の合格率も1次試験同様20%前後であるものの、1次試験合格者しか受験できずその受験資格も翌年までであることから、熾烈な争いが繰り広げられます。

2次試験の合格基準は、「筆記試験における総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満がなく、口述試験における評定が60%以上であること」となっています。つまり、全ての科目において40点以上、総点数240点以上(1科目平均60点以上)取れれば合格ということになり、一見すると1次試験と同じ絶対評価であると捉えることができます。ところが、「2次筆記試験は相対評価の要素が大きい試験である」というのが通説です。
 

2次筆記試験は正解が公表されない

1次試験は、試験翌日に中小企業診断協会のWebサイト上で、正解と配点が発表されます。よって、受験者は試験時間中に自分自身がマークした記号を問題用紙に記しておくことで、正解の発表後に自己採点をすることができます。マークミスさえしなければ、どの科目で何点取れたのか、どの問題で正答できたのかなどを、明確に把握できます。

それに対して、2次筆記試験は正解が公表されません。もちろん、国家試験である以上採点基準は定められているはずですが、2次筆記試験は経営コンサルタントとしての診断・助言能力を問う試験であることから、1次試験のように1つのみの解答が存在するものではなく、複数の解答が存在すると考えられます。

例えば「事例企業が行うべき新規事業とその理由は何か」を問われた時に、正解は1つだけではない、ということです。実際の試験問題の設定においても、事例企業を取り巻く環境や事例企業が保有する経営資源を根拠として解答を作成すれば、どの新規事業を解答しても、ある程度加点されるような構造になっていることが類推できます。合格者の解答も分析しても、新規事業の解答は様々である一方、その根拠となる記述部分は共通しているのです。

よって、何を書いても合格できる試験というわけではなく、あくまで与えられた情報を的確に分析し、出題者の意図を捉えた解答を書かなくてはいけない点に注意が必要です。2次筆記試験を突破するためには、正解が発表されず、採点基準も不明確である試験だからこそ、アイディア勝負のライバルに勝てる解答を目指すのではなく、他の受験生に負けないような根拠が明確な解答を書く意識がもっとも大切なのです。
 

2次筆記試験では、合格基準の240点ではなく、上位20%を目指す

採点基準がわからない以上、あらかじめ具体的な目標点数を設定して試験対策を積む方法は、得策とは言えません。しかも、1次試験同様、2次筆記試験においても、年度によって難易度の変化があります。

したがって、試験時間内で事例問題全体と個別の問題の難易度を見極めたうえで、80分の時間配分をどう調整するかが重要なポイントとなります。

2次筆記試験は、ミスを重ねた人が脱落していく試験です。ほぼ全員が取れるような問題については、短時間で適切な処理をする。逆に、ほぼ全員が取れないような問題は、時間をかけないと割り切って処理する。ある程度時間をかけることで得点を積み上げることができる問題は、丁寧に取り組む。これら意思決定の積み重ねが、上位20%に残れるかどうかを左右します。

よって、合格するためには80分間で精度の高い意思決定を繰り返せるようになることを目指し、そのための答案作成プロセスを身につけることが不可欠なのです。
 

2次筆記試験対策の基本方針

2次筆記試験は、出題者から与えられた情報をなるべく見落とすことなく、1次知識を使って分析し、その分析結果を根拠として解答を作成します。試験時間は80分と非常にタイトであることから、情報を完璧に見落とさない(=ノーミス)ことを目指すのは現実的ではありません。よって、いかに見落としを少なく済ませるか、ミスを連発させないかが合否の分かれ目となります。

具体的な対策の方針は、次のとおりです。
  1. 1次試験で学んだ「知識」を2次試験で使えるようにする
  2. 論理的思考力や問題解決能力、分析力などの「考える」スキルを意識的に磨く
  3. 80分という限られた時間で、安定したアウトプットができるよう「解答作成プロセス」構築・定着させる
  4. 短時間で採点要素が詰まった伝わる解答が書けるような「編集力」を身につける
  5. 80分の基本戦略を立て、そのとおり実行できる「タイムマネジメント能力」を身につける

普段、私たちが日常的に行なっている「読む」「書く」「考える」という作業を、試験用のスキルにカスタマイズしていかなくてはならない点を自覚して試験対策に取り組めるかどうかが、この試験の要諦なのです。
 

経営コンサルタントとしてのコミュニケーション能力を試す口述試験

2次筆記試験を通過すると、その発表の9日後に2次口述試験を受験します。2次口述試験は、毎年99~100%程度が突破する試験であり、落とすための試験ではありません。3人の面接官によって、1人につき10分程度の面接方式で行われ、2次筆記試験で出題された4社に関しての知識や助言を求められます。大まかな傾向としては、1問につき2分程度で解答するようにと指示があり、4社のうち2社、各2問程度質問されることが多いようです。

これまで口述試験に不合格になった方は、
  • 「わかりません」と答えて黙ってしまう
  • しどろもどろになる
  • 支離滅裂なことを口走る
  • 沈黙してしまう

など、明らかなミスをしています。そうならないために、以下のような対策を行いましょう。
  1. 2次筆記試験問題の内容を頭に入れる
  2. 2次筆記試験問題から想定問答集を作成する
  3. 声に出して、2分程度で解答できるように練習する
  4. 資格学校の口述模擬面接を受ける
     
私が講師を務める資格の学校TACでも、毎年各校舎で口述模擬面接を行い、Webで無料視聴できる口述対策セミナーや想定問答集のダウンロードサービスを提供しています。9日間という短期間で適切な対策を取るためにも、このようなサービスを活用することをお勧めします。

よくご質問を受けるのですが、口述試験は、筆記試験で自分自身が解答した内容を考慮する必要はありません。したがって、筆記試験とは独立した別の試験と捉えて、割り切って対策をとりましょう。ほぼ全員が合格できる口述試験といえど、もし不合格になれば、再び1次試験もしくは2次筆記試験からやり直しです。口述試験会場で、経営コンサルタントらしく堂々とした対応ができるように、万全な準備をして臨みましょう。

 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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