ミステリーの女王アガサ・クリスティ原作のおすすめ映画を紹介!
アガサ・クリスティ原作のミステリー小説「オリエント急行殺人事件」が、2017年12月8日にケネス・ブラナー監督&主演で映画化されました。
本作も含め、アガサ・クリスティの原作ミステリーは多く映画化されており、この原作も1974年制作されたシドニー・ルメット監督版があります。日本でも三谷幸喜監督がドラマ化していますね。
というわけで、今回は最新作『オリエント急行殺人事件』&アガサ・クリスティ原作の映画化作品をピックアップ。映画を通してアガサ・クリスティー・ワールドをご紹介していきます。
甦ったエルキュール・ポアロ! 最新作『オリエント急行殺人事件』
雪崩により雪山で足止めされた豪華寝台列車で起こった殺人事件の謎を名探偵エルキュール・ポアロが推理するミステリー映画『オリエント急行殺人事件』は、アガサ・クリスティ原作ミステリーの中でも人気の本格推理小説です。トルコのイスタンブールからフランス北端の街カレーを繋ぐ豪華寝台列車オリエント急行。エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は新たな事件の依頼を受けて急遽オリエント急行に乗車することになります。
その列車内で富豪のラチェット(ジョニー・デップ)が胸を12ケ所刺されて殺されました。時間は夜中0時から2時の間。列車は雪崩に遭い脱線事故で止まったままで、外部の者の侵入は不可能です。犯人は乗客の中にいる。ポアロは乗客ひとりひとりに話を聞いて推理。ついに意外な犯人を突き止めるのです。
なぜ12カ所も刺されていたのか、犯人の動機は?というシンプルな疑問が、乗客の話からポアロの脳内で紐解かれていく……。その謎を観客も一緒に推理し、犯人捜しを楽しむのがアガサ・クリスティ映画の醍醐味。この映画でもその楽しみを堪能できますよ。
『オリエント急行殺人事件』
(2017年12月8日より全国ロードショー)
監督:ケネス・ブラナー
出演:ケネス・ブラナー、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリーほか
シドニー・ルメット版の傑作『オリエント急行殺人事件』(1974年)
最新作は豪華キャストが結集しましたが、1974年版も当時の大スター共演で話題になった作品です。エルキュール・ポアロはアルバート・フィニーという当時38歳の演技派の俳優が、60代(50代?)のポアロを原形をとどめないメークで熱演。アカデミー賞主演男優賞候補になりました。
事件→容疑者への尋問→犯人の特定という推理小説のセオリー通りの構成ですが、ショッキングな結末への流れが見事。じっくり見たい本格推理映画の傑作です。
リメイク第二弾に決定した『ナイル殺人事件』(1978年)
1974年の『オリエント急行殺人事件』が大成功してから、ポアロ映画が続けて制作されました。本作はアガサ・クリスティ原作「ナイルに死す」の映画化。豪華客船で起こった富豪夫人の殺人事件にポアロが挑みます。
今回の事件は連続殺人事件、3名の乗客が殺されるのです。いちばん怪しいのは、殺された富豪夫人に恋人を奪われたストーカー女(ミア・ファロー)。しかし、彼女には完全なアリバイがあったのです。
本作も『オリエント急行殺人事件』同様に、限られた空間での殺人であり、犯人は乗客の中にいます。しかし、どこか明るく開放的で物語のテンポがよくコミカルな雰囲気も。ポアロ役はピーター・ユスティノフ。本作もケネス・ブラナーがリメイク版を制作するそうです。(監督:ジョン・ギラーミン)
容疑者全員アリバイあり! 『地中海殺人事件』(1982年)
ピーター・ユスティノフ版のポアロ映画第二弾。地中海の小さな島の高級リゾートを舞台に、宝石の盗難事件の調査を依頼されたポアロが、その地で女優(ダイアナ・リグ)が殺される事件に遭遇します。
殺された女優は宿泊客全員から恨まれており、この中に犯人が……と思うものの、全員アリバイがあるのです。ところがポアロは見事な推理で犯人のアリバイを切り崩していく。この名推理が気持ちいい! 原作はアガサ・クリスティの「白昼の悪魔」。宿泊客のひとりを演じるジェーン・バーキンのファッションが素敵です。(監督:ガイ・ハミルトン)
大富豪毒殺事件の驚くべき真相『死海殺人事件』(1988年)
ピーター・ユスティノフ版のポアロ、最後の映画化作品はアガサ・クリスティの「死との約束」の映画化です。
大富豪の遺産を卑怯な手で継いだ後妻(パイパー・ローリー)は、家族を連れて旅行へ。そこで彼女は毒殺されてしまいます。ワンマンに振舞っていた後妻は家族に恨まれていたため、容疑者は旅行に同行した家族全員。しかし、ほかにも彼女に秘密を握られ恨んでいる者がいたのです。
被害者+家族と船で知り合ったポアロは、この毒殺事件の謎を解くことになるのですが、おそらくこれまで映画化された作品で一番人間関係が複雑かもしれません。心臓病を患い、薬を服用していた被害者の毒殺の方法に事件解決のヒントあり。(監督:マイケル・ウィナー)
ミス・マープルの名推理が見られる『クリスタル殺人事件』(1980年)
クリスティの小説ではポアロに並ぶ人気探偵ミス・マープル(アンジェラ・ランズベリー)が活躍するミステリー映画です。原作は「鏡は横にひび割れて」。
ミス・マープルの住む街に大女優マリーナ(エリザベス・テイラー)が新作映画の撮影のためにやってきます。しかし、彼女の熱狂的ファンの女性が殺される事件が発生。ミス・マープルが解決に乗り出すのです。
マリーナのライバル女優(キム・ノヴァク)が登場し、エリザベス・テイラーとともに往年の二大女優の火花バチバチの共演が話題。華やかでグラマラスな大女優に迫力は圧巻です。本作は犯人が意外というより、殺人の動機が意外。どちらかといえば女性の共感度が高いミステリーですね。(監督:ガイ・ハミルトン)
アガサ・クリスティ映画の最高傑作『情婦』(1957年)
アガサ・クリスティの戯曲「検察側の証人」を名匠ビリー・ワイルダーが監督&脚色。クリスティの映画化作品中、最高傑作と呼ばれる作品です。
金持ちの未亡人が殺され、若い愛人が容疑者として捉えられますが無実を主張。しかし、彼の妻(マレーネ・ディートリッヒ)は、夫が殺人を犯したと裁判で彼に不利な証言をするのです。しかし、これには裏があり……。
古い映画ですが、今見ても鮮やかなドンデン返しは見事としか言いようがありません! ネタバレになるので詳しく書けませんが、愛の深さがそうさせたというか……。体の弱い弁護士と相棒のように寄り添う看護婦のコミカルなやり取りも絶妙。すべてが完成された必見作です。(監督:ビリー・ワイルダー)