犬が尻尾を振るときの気持ちって? 上に巻く時など
愛犬がしっぽを振る姿は、何とも愛らしいものです。しかし、しっぽは可愛いだけのパーツではありません。犬のしっぽには、きちんと役割があるのです。また、私たちは「犬がしっぽを振る=喜んでいる」と思いがちですが、しっぽには想像以上に深い心理状態が表されています。犬のしっぽの動きを理解することで、犬の気持ちが理解できるようになるでしょう。<目次>
犬の尻尾の役割
犬のしっぽは犬種によって長かったり、短かったり、あるいは巻いていたりと非常に個性豊かです。私たち人間のしっぽは退化し、尾骨がある程度なので、しっぽが存在する感覚が想像しにくいですが、犬のしっぽには以下のような大切な役割があります。1.バランスコントロールや舵取りの役割
犬は走るときやジャンプをするときに、しっぽを上手に使い体のバランスをとっています。また、急な方向転換をするときもしっぽを使って舵取りをするようです。
2.体の保温と呼吸器保護の役割
犬は寒さから身を守るために、しっぽを体に巻き付け体温が下がらないように保温します。また、鼻周りをしっぽで覆い、冷たい空気を直接吸わないように呼吸器を保護しています。
3.コミュニケーションの役割
犬はしっぽを振ることで感情表現をしたり、上下関係を示しています。
4.虫などを追い払う
牛がしっぽを使ってハエを追い払うように、犬たちもしっぽで目障りな虫を追い払います。
尻尾の構造
犬のしっぽは小さな骨が連なり、先端に向かって細くなっています。筋肉と神経が豊富に通っているため、可動範囲も大きく、あらゆる方向に動かすことができます。とても敏感な部位であるために、握られたり引っ張られたりすると脱臼や骨折を起こす可能性もあるので、優しく扱ってあげて下さい。子犬はいつから尻尾を振る?
生まれて間もない子犬たちはしっぽを振りません。多くの犬たちがしっぽを振り始めるのは、生後1か月から2か月後のようです。兄弟同士で遊べる段階になると、コミュニケーションを図るために子犬たちはしっぽを振るようになるそうです。犬の気持ちを尻尾から読みとくポイント
犬の気持をしっぽの状態から読み解くとき、以下の3点を非常に重要視します。・しっぽを振る速さ
・しっぽの高さ
・しっぽの振り幅
これらの3点を総合的に判断することで、「犬の心理状態」、「伝えたい気持ち」、「犬の上下関係」を読み解くことができます。
また、更に深く犬の気持を理解するためには、犬の姿勢、毛並み(逆立っているか)、目や口、耳などの動きに注目することをおすすめします。
尻尾を振る速さから犬の気持ちを理解する
犬は興奮する程にしっぽを激しく振ります。逆に、穏やかな気持ちである場合は、ゆっくりと振るでしょう。私たちは犬がしっぽを振っていると「この犬は喜んでいる!」と勝手に思い込んでしまう傾向にあります。犬がしっぽを振っているときは、必ずしも嬉しさ、楽しさを表現しているとは限りません。恐怖や怒りで興奮している場合もありますので、思わぬ事故に繋がらないためにも、目や耳、口周りの動きもあわせて、犬の状況をみることが大切です。
尻尾の高さから犬の気持を理解する
犬のしっぽの高さは彼らの気持ち(テンション)を表しています。「しっぽが高い位置まで上げられているとき」、「しっぽが低い位置に下げられているとき」、「しっぽが体に水平の位置にあるとき」では、同じしっぽを振る動作であっても、そこに込められているテンションは異なります。犬の気持ちは、しっぽの高さからも推測することが可能なので、ぜひ愛犬のしっぽに注目してみてください。≪しっぽが高い位置まで上げられているときの気持ち≫
・自信に満ちている
・周囲の犬たちに自分の優位性を示している
・嬉しい
・楽しい
≪しっぽが低い位置に下げられているときの気持ち≫
・警戒を示している
・不安や恐怖を抱いている
≪後ろ足の間にしっぽを入れているとき≫
・恐ろしくてたまらない
・降参
≪しっぽが体に水平の位置にあるとき≫
・強い攻撃心はないものの、見知らぬものに警戒を示している
・ポジティブ、ネガティブに関わらず、何かに興味や関心を持っている
犬が尻尾を振らない時の気持ち
「犬は元気にしっぽを振るもの」と思っていると、しっぽを振らない愛犬に不安を覚えるものです。愛犬がしっぽを振らない時は、まず「しっぽが振れない状態」になっていないか観察してあげて下さい。例えば、しっぽの骨が脱臼していないか、骨折していないか注意深く見てあげることが大切です。触れると痛がるような場合は、故意にしっぽを振らないのではなく、振れない状態の可能性もあるので、掛かりつけの獣医さんに相談下さい。また、年齢を重ね、シニア期に入ると、筋肉も足腰も衰えてきます。しっぽの動きも遅くなり、反応も鈍くなるでしょう。加齢と共に表れる変化は自然なものなので温かく見守ってあげて下さい。
そして、病気でも加齢でもなく、しっぽを振らない場合は、犬それぞれの性格が大きく関係していることが考えられます。ただ、感情を表現するのはしっぽだけではありません。表情であったり、声であったり、耳の動きであったり、飼い主さんの口をなめたり、お腹を見せたり、犬それぞれのコミュニケーション方法がありますので、しっぽにこだわらず、愛犬ならではのコミュニケーションに気づいてあげて下さい。
犬が尻尾を下に垂らし丸める時に気を付けること
犬は怯えていたり、恐怖を感じているときに尻尾を丸める動作をします。これは攻撃的な犬に対する「降参」の意味でもあります。また、犬を叱ると、しっぽを足の間にしまうような動作を見せることがありますが、これも「許して下さい」という降参の意味でもあるようです。このような動作をしている犬に、必要以上に怒ることがないようにしてあげて下さい。また、更に毛を逆立てている場合があります。このようなときはとても怯えている状態です。無闇に手を出すと恐怖心から噛みついてしまう可能性もあるので、それ以上近づかず、顔を横にそらすなどをして「君に関心はないよ」ということを体で伝えてあげて下さい。
犬の尻尾・右振りと左振りの違い
イタリア、トレント大学のGeorgio Vallortigara氏率いる研究チームは、「犬は嬉しいとき、尻尾を右に大きく振り、不安や恐怖を感じているときには左に振る。そしてこの尻尾を使った感情表現は、ほかの犬にも伝わっている」との研究結果を米科学誌「Current Biology」に発表しています。愛犬のしっぽが右に振られているか、左に振られているか、意識して観察してみると、また深く愛犬の気持ちに触れることができそうですね。最後に
犬の表現を読み解くことが絆を深めるポイント!
私もつい、吠える愛犬に対して「吠えないの!」と無理に制止させてしまうこともありますが、彼らが「吠える」行動と共に伝えている想いを読み取り、汲み取ってあげることの大切さを改め感じました。
彼らの心中を察する事ができれば、愛犬に対する対応も変わってくるはずです。彼らに向き合う真摯な心と気持ちを読み取る優しい目をもって、日々愛犬と深いコミュニケーションをしていきたいものですね。
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