生理の重さは人それぞれ
普段は腹が立たない些細なことにイライラする。そんな母親に子どもが戸惑っていることもわかる。そして自己嫌悪……。
生理のつらさは人によってそれぞれ。ほとんど変化を感じない人もいれば、日常生活に支障をきたす人も。また、生理前の方がつらい、からだより精神面がつらい、という人も多いものです。
心身の状態が悪いとき、なかなか人に優しくはなれないものです。生理による不安定をつい子どもにぶつけてしまうこともあるでしょう。その時の自己嫌悪は、母親としての自分の自己評価も下げますし、子どもへの影響も心配。
生理にまつわる心身の不安定さをコントロールするには、どうすればいいのでしょうか。
生理に関わる3つのつらさ
生理がつらい理由は、主に3つ考えられます。体のつらさ
生理痛の主なものは、腰や下腹部、頭の痛みです。痛み方もキリキリと刺すようなものから鈍痛まで人によって様々。月経量の多い人は貧血も深刻な問題です。眠気やだるさ、吐き気、肌荒れなども不快なものです。
精神的なつらさ
イライラしたり、憂うつになったり、ちょっとしたことで落ち込んだりといった精神的な変化がしんどいという人も少なくありません。自分の感情をうまくコントロールできないというのは、自己評価を低下させます。月経痛より、自分の感情に翻弄されることのほうがつらいという人は多いものです。
わかってもらえないつらさ
生理は、男性が一生経験しないことなので、月経による不調は「体感」としてわかりません。初潮を迎えていない娘にもいまいちピンとこないことかもしれませんが、男性の中には「自分には関係ないこと」だと思っている人も少なくありません。
自分のつらさをわかってもらえない。このキツさはじわじわと蓄積していきます。逆に言うと、つらさを理解してもらえると、気持ちはずいぶん楽になります。
では、どのようにして、理解してもらえばいいのでしょうか。
知識として知ってもらう
要は、性教育です。女性のからだがどうなっているのか、生理はなぜ起こるのか、妊娠出産との関わりはもちろん、女性の健康を維持するためにどのような働きをしているのか、といったことを知識として知ってもらいましょう。これらの知識は、いずれ生理とつきあっていかなければならない女の子だけではなく、将来女性をパートナーにしたり女性と一緒に仕事をしていく男の子にとっても必要なものです。
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自分の生理のことを伝える
一般的な知識とともに、自分の周期、月経痛やPMS(月経前症候群)の症状、それにともなう気持ちの変化など、自分自身が「困っていること」を伝えましょう。これは、生理周期の中で心身が安定している時に、落ち着いて伝えることが大切です。
2017年10月、イギリスの生理用品メーカーがCMで「生理の血は赤い」ことを伝えたキャンペーン動画が話題になりました。これまで生理用品のCMにおいて、生理の血は青い液体で代用されてきました。ですから「白いナプキンに赤い血がついている」という女性が普通に目にしている光景を映像で見て、生々しく感じた人も多いことだと思います。
しかし、生理とは本来生々しいものです。「生」に直結したものです。生身の人間としての状態を家族で共有していくことは、大切なことではないでしょうか。
してほしいことを伝える
生理で不調な時、家族からどのような支援がほしいでしょうか。それを自分の中で明確にして、どのように接してもらえれば有り難いかを伝えましょう。たとえば、「出血が多くなる2日目は長く立っているのがつらいから、夕食の準備をしてほしい」とか、「イライラし始めたなと思ったら、もうすぐ生理じゃない?と声をかけてほしい」とか。
「手伝ってほしい」のか「見逃してほしい」のか、そこを明確にするだけでも、家族は対応方法がわかります。
産婦人科を活用しよう
生活に支障が出るほどの痛みや、シーツを真っ赤に染めてしまうような大量の出血は、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系疾患によるものかもしれません。閉経前後の更年期になると、卵巣機能が衰え女性ホルモンが急激に減少して、女性ホルモンで保たれていた様々な身体機能に影響が出てきます。
おりものの変化は、性感染症のほかに、免疫機能の低下によるものも少なくありません。
経産婦であっても、産婦人科の内診台の敷居を高く感じる人は多いものです。しかし、生理は女性にとって、とても大切なもの。変化を感じたときは、早めに受診しましょう。