カラーコーディネート/仕事力を上げるカラーコーディネート術

嗅覚は「色」に騙される!?柔軟剤の「スメハラ」対策

スメルハラスメント、略して「スメハラ」とは、においで周囲の人に不快な思いをさせること。柔軟剤のにおいによるスメハラは、視覚と嗅覚の関係も原因の1つです。スメハラの加害者にならないようにするための秘訣をお教えします。

松本 英恵

執筆者:松本 英恵

カラーコーディネートガイド

柔軟剤の香りが引き起こす「スメハラ」とは?

パワハラ(パワーハラスメント)、セクハラ(セクシャルハラスメント)など、さまざまなハラスメント(嫌がらせ)が社会問題となっています。ハラスメントとは、本人が意図する・しないにかかわらず、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与える発言や行動を指します。
柔軟剤の香りが引き起こすスメハラ。頭痛やめまいなど体調不良を訴える人もいます

柔軟剤の香りが引き起こすスメハラ。頭痛やめまいなど体調不良を訴える人もいます

「スメルハラスメント」、略して「スメハラ」とは、においで周囲の人に不快な思いをさせること。主な原因は口臭や、汗の臭い・加齢臭などの体臭です。最近では消臭効果に優れた製品もいろいろと開発されており、対策グッズを利用する人も増えてきました。

その一方で近年、柔軟剤や衣類の香りづけ製品などの、いわゆる「良いにおい」とされるものによって頭痛やめまい、吐き気といった体調不良を訴える人が増えています。スメハラは新しい局面を迎えている、といえるでしょう。

「スメハラ」の加害者はあなたかも?

パワハラは、地位や人間関係の優位性を背景に引き起こされるため、加害者になりうる人はある程度限定されます。また、喫煙者が非喫煙者に対してタバコの害を与えるスモハラ(スモークハラスメント)は、加害者と被害者がはっきりと分かれます。

一方、スメハラは、男性が加害者となるケースが多いと思われがちですが、実は女性が加害者となるケースも多いのです。誰もが加害者になる可能性を秘めています。
スメハラの加害者は男性とは限りません。女性が男性のにおいに敏感なように、男性も女性のにおいに敏感なのです

スメハラの加害者は男性とは限りません。女性が男性のにおいに敏感なように、男性も女性のにおいに敏感なのです

なぜなら、においの感じ方は主観的で、個人差があるからです。女性が男性のにおいに敏感なように、男性も女性のにおいに敏感なのです。女性にとって好ましいにおいであっても、男性は臭いと感じることがあります。

また、嗅覚は本能・感情の脳と呼ばれる大脳辺縁系へダイレクトに伝わるため、好悪の感情と結びつきやすいという特性があります。「プルースト効果」といって、ある特定のにおいから、それにまつわる過去の記憶が呼び覚まされる心理現象が起きることもあります。

難しいのは、たとえ臭いと感じても、相手に指摘しにくい、というところです。とくに職場におけるスメハラは、注意することがハラスメントになる恐れがあると考える人もいるため、自分が加害者であることを自覚していない人は意外に多いようです。

嗅覚は色にだまされる !?

柔軟剤の香りがお部屋に充満すると、嗅覚がマヒしてきます

柔軟剤の香りがお部屋に充満すると、嗅覚がマヒしてきます

柔軟剤は、お洗濯のときに衣類に香りをつけます。洗濯物を部屋干しすると、柔軟剤の香りがお部屋に充満します。嗅覚がマヒしてくると、柔軟剤の量が増えます。そうなると、自分にとって心地よい香りでも、周囲の人にとってはにおいが強すぎるということが起きてきます。
香水、オーデコロン、オードパルファンは、香りの濃度に合わせて、液色に濃淡をつけています

香水は香りの濃度に合わせて、液色に濃淡をつけています

香水は、香りの濃度が高いパルファンは液色が濃く、濃度が低いオーデコロンは淡い液色をしています。液色の濃淡は、香りの濃淡と直感的に結びつきます。私たちは強い香りを嗅ぐと、無意識に濃い色を連想します。反対に、淡い色の香水は、軽やかな香りを連想させます。液色に濃淡をつけるのは、香りの濃度を視覚的に表現し、香りをつけすぎないようにするための工夫でもあるのです。

柔軟剤のパッケージの「色」も、購入の決め手になりうる

柔軟剤を買うとき、パッケージが決め手になることもあるのではないでしょうか。ドラッグストアには香りのサンプルが置かれることもありますが、ネット通販を利用する人も増えています。製品の認識には、香りよりも視覚の方が大きな影響を与えるため、香りを嗅がなくても、パッケージの色やデザインから、直感で好みの香りを選ぶこともできるのです。

現在、大手メーカーが販売する製品のうち、香りづけ効果の高い柔軟剤は5種類の香り、衣類の香りづけ製品(ビーズやミスト)は3種類の香りがラインナップされています。

たとえば、レノアハピネス アロマジュエル(香りづけビーズ)は、次の3つの香りをラインナップしています。
  • ダイアモンドフローラルの香り(レッド)
    繊細な花々やホワイトムスクなどを重ねたシンプルなのに上品な香りアロマの香り
  • エメラルドブリーズの香り(ブルーグリーン)
    さわやかな海でリラックスしているようなフレッシュグリーンオーシャンの香り
  • サファイヤベリーの香り(パープル)
    甘酸っぱいベリーにフローラルブーケを重ねたリッチで上品な香り
CMでは、3つのパッケージカラーを身につけた3名の女性タレントが、ドレスを風になびかせながら、ファッションショーのランウェイを颯爽と歩きます。

「色」には香りを想起させる力も

人間の五感は独立して働くのではなく、「クロスモダリティ(感覚間相互作用)」といって、複数の感覚の情報を組み合わせ、脳内で処理されます。CMは香りそのものを伝えることができませんが、視覚と聴覚を刺激することによって、視聴者に香りを想起させます。
海にまつわる記憶は、グリーンオーシャンの香りを豊かに彩ります

海にまつわる記憶は、グリーンオーシャンの香りを豊かに彩ります

想起される香りは、その人の過去の経験や記憶によって異なります。たとえば「グリーンオーシャンの香り」といえば、あなたはどんな香りをイメージしますか? バリのビーチリゾートで過ごした経験があれば、バリの記憶が、グリーンオーシャンの香りを彩り豊かに補完するでしょう。一方、海にあまり縁がない人は、オーシャンの香りと言われても、それにまつわる情報が乏しいためピンと来ず、イメージがしにくいかもしれません。

柔軟剤の「スメハラ」対策4つ

視覚と嗅覚の関係、嗅覚の特性をふまえると、柔軟剤のスメハラ対策がいくつか考えられます。

1.目を閉じて、柔軟剤の香りを確認しよう
目を閉じて、衣類についた柔軟剤の香りを嗅いでみましょう

目を閉じて、衣類についた柔軟剤の香りを嗅いでみましょう

柔軟剤で衣類に香りづけしたときは、目を閉じて、衣類についた香りを嗅いでみましょう。そして、思い浮かんだイメージを言葉にしていきます。メモをとってもよいですが、スマホのボイスレコーディング機能などを使って、視覚を閉ざした状態の方が、においに集中することができるでしょう。

思い浮かんだイメージは、CMやパッケージのような素敵なイメージとは違うこともあるでしょう。しかしそれこそが、職場などで接する人たちが感じている香りのイメージかもしれないのです。

2.香りのイメージとの調和感
香りから感じた色やイメージは、自分自身に似合っているでしょうか? ご自身のファッションやヘアメイクに合っているでしょうか?

たとえば、香りから白を連想したら、ファッションに白を取り入れるとよいでしょう。あるいは、香りに大人の色香を感じたら、いつもよりも少しセクシーな装いにするとしっくりするかもしれません。香りのイメージが自分らしくないかも?と感じたら、柔軟剤を変えてみてはいかがでしょうか。

3.香りづけは、控えめに

なお、香りをしっかり嗅ぐと、嗅覚がマヒします。最近の柔軟剤は、体温や汗、動きなどに反応して、香りを放つようになっています。くれぐれもつけすぎないように、適量を守りましょう。

4.身だしなみを整え、発言や行動を見直す
同じ香りをつけても、身だしなみを整えるだけで、好ましいにおいに感じられます

同じ香りをつけても、身だしなみを整えるだけで、好ましいにおいに感じられます

最後に、職場で起きるスメハラは、人間関係と深く結びついています。あなたのにおいをスメハラだと感じる人は、あなたの発言や行動を好ましく思っていない可能性があります。初対面の人に出会うときのように、身だしなみを整え、さわやかな態度を心がけるだけで、あなたの印象は変わっていきます。あなたの印象が変われば、あなたのにおいを不快だと感じる人はいなくなっていくのかもしれません。

【参考】
【ガイドからお知らせ】
ウェブアンケートを活用して、カラーリサーチを実施しています。匿名でご回答いただけますので、ご協力をお願いいたします。アンケートの結果は、今後の記事に反映させていただきます。
ガイドの最新情報は、All About公認ガイドブログFacebookページTwitterをご覧ください。

【関連記事】


【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonでカラーコーディネイトの書籍をチェック!楽天市場でカラーコーディネイト関連の書籍をチェック!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます