「完熟」のBMW 3シリーズはいまが買い時!?
BMW 3シリーズ(セダン)の価格帯は、419万~547万円。写真の318i Sportは478万円。なお、試乗車には、有償色の「ミネラル・ホワイト(8万2000円)」などを含む68万4000円のオプションが上乗せされていた
2017年8月末に、これまで一部上級グレードに装備されていた「BMWコネクテッド・ドライブ」を標準化することで、「つながるクルマ」の1台となった3シリーズ。
3シリーズは、セダン、ツーリング(ステーションワゴン)、グランツーリスモと3つのバリエーションが用意され、BMWの販売面を支える、大黒柱のDセグメントモデルだ。初めての輸入車として指名する人も少なくないはずだが、1シリーズや他銘柄のCセグメントなどからのステップアップ組も多いと思われる。
新車を購入する際、文字どおりフルモデルチェンジを受けたモデルや、新たに世に出た新型車のブランニューモデルを買うのは王道だが、あえてモデル末期の熟した新車を指名するという人も珍しくない。
そのメリットは、輸入車で顕著。数年の一度のマイナーチェンジに加えて、毎年のように一部改良などのイヤーチェンジを経ることで、着実にアップデートが図られているからだ。
装備の充実化など目に見える分野だけにとどまらず、足まわりの地道な改良など、走りに関する目に見えない面にも及んでいることが多々ある。日本勢でも最近のマツダが頻繁に商品改良を施すことで、絶えず最新技術や装備を与えているのも「最新モデルを常に販売店に置く」という考えに基づいている。
コストを掛けてまでこうしたイヤーチェンジを施すのは、商品力の向上と維持、そしてブランド力を保つためで、フルモデルチェンジやビッグマイナーチェンジほどのインパクトはないにしても、販売台数維持にはひと役買っているはず。購入する側としては、あえてモデル末期を狙い、大幅値引きを引き出す手もある。
2018年モデルの3シリーズはBMWコネクテッド・ドライブを標準装備
さて、2018年モデルといえるBMW 3シリーズも例外ではなく、機能面では、冒頭で触れた「BMWコネクテッド・ドライブ」の標準化により、万一の事故などの際に自動的にコールセンターに発信する「BMW SOSコール」、迅速な修理態勢を可能にする「BMW テレサービス」に対応するほか、スマホ・アプリを使ってドアの施錠/解錠、広い駐車場で愛車の位置を探せる機能、車外からベンチレーションを作動させることで、暑い日でも車内を快適に保てる機能などに対応。そのほか、ニュースや天気予報、SNSの読み上げ機能なども用意している。
3気筒1.5Lガソリンエンジンでも3シリーズらしさは健在
さて、今回試乗する機会があったのは「BMW 318i Sport」という1.5Lの直列3気筒ターボ搭載モデル。ガソリンエンジンではエントリーといえるパワートレーンで、グレートとしては最もスポーティな仕様。136ps/4400rpm、220Nm/1250-4300rpmという数値は、Dセグメントには頼りなく思える。乗ってみると特別パワフルでもトルクフルでもないものの、十分に心地よい走りが引き出せる。
箱根の上り坂でも不足のない発進加速が得られ、さらに踏み込んでいくと中間加速から高速域において少し物足りなさ、パンチ不足を覚えるシーンもあるが、軽快感のあるフットワークもあって、決して退屈ではない。ただし、3気筒らしい振動や音が車内に伝わってくるので、高級感を期待するのであれば、4気筒以上を選ぶのがベターだ。
一体感を抱かせる走りは3シリーズの美点
これが街中ならまさに必要十分であるだろうし、高速道路では上り坂や追い越し時に少しパワー不足を感じるかもしれない。しかし、日本の常識的な速度レンジには十分に対応してくれるはずだ。
1540kgという軽めの車両重量は、先述したフットワークの良さ(左右に機敏に動く軽快感)に加えて、乗り心地もいい意味軽やかで、好感がもてる。少しフロアからの微振動が伝わってくるシーンも散見されるが、BMWに期待するダイレクト感のあるドライバビリティは十分に味わえる。足にフィットする履き慣れたスニーカーのような走り、乗り心地といえるかもしれない。
次期3シリーズの発表は2018年にもあるのでは? という噂も上がっているだけに、現行3シリーズは今が完熟。あえて狙いにいく手もアリかもしれない。