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あなたが国の年金制度を信じられない4つの理由

あなたが国の年金制度を信じられない4つの理由を教えましょう。実際のところそれは「疑心暗鬼」なのかもしれません。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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なぜ年金制度をあなたは信じられないのか

2014年11月に公表された日本生命の保険加入者を対象としたアンケートでは、将来受け取るであろう国の年金額の水準について、20歳代の17%、30歳代の11%が「受け取れないと思う」と回答しているそうです。金額を聞いている(10~20万円くらい、とか)ところへの回答ですから、相当の年金不信であると思われます。

年金制度を若い人ほど信じられないのは一般的に言われていることですが、そもそもなぜ信じていないのか、その信じない理由には根拠があるのか、と問われれば多くの人は「なんとなくそう思う」と答えるのではないでしょうか。

今回はマネーハック目線で「なんとなく信じられない」について逆の角度から光を当ててみたいと思います。「なんとなく信じられない」はもしかしたら実態のないものを疑うようなもので、ことわざにいう「疑心、暗鬼を生じる」かもしれません。
 

理由1:今は負担しかしておらず、実感ができない仕組みだから

そもそも論でいうと、年金制度ほど若い人が実感できず不公平感を感じる制度はありません。というのも、「子ども~学生の時代」「社会人として働く時代」「年金生活時代」と3つに人生を分けたとき、社会人として働く時代は「負担のみ」で制度に負担感しか感じられないのは当然だからです。

しかも、保険料の負担をする期間はとても長く、20歳から65歳までとすれば45年間ひたすら払い続けるのにもらうことはできないことになります。

実際に年金を受けられる年齢になると、この制度があってよかったな、と実感することになるのですが(試しに祖父母が元気なら質問してみるといいでしょう)、とにかく20~30歳代にとっては制度のメリットについてリアリティがないのです。

(実は若い時分に年金制度のありがたみを感じることもありますが、これは障害年金の受給であったり遺族年金の受給の対象になった場合です。親が早く亡くなったとき遺族年金のおかげで高校卒業まで苦労せずすんだ人や、事故やけがで障害年金を受けられたので年収が下がっても生活が維持できるような人はたくさんいます。しかしその割合はやはり少数です)
 

理由2:いい話は報じられず、悪い話だけ報じられるから

年金については悪いニュースのほうがウケがいいので、悪いニュースはたくさん報じられ、よいニュースはほとんど報じられない傾向があります。

例えば、「以前、年金運用が大損したとニュースを見たよ」という人がたくさんいます。今でも「年金の運用は下手だからじきに財源がなくなる」と思っている人が多いのではないでしょうか。

「実は今、年金運用は過去最高水準の残高を積み上げている」のですが、おそらくほとんどの人は知らないことでしょう。運用で儲かったことはかつて運用損が報じられたと同じくらいには報じられません。

雑誌やテレビがさかんに「年金破たん特集」を組んでいましたが最近はみかけなくなりました。厚生労働省が徹底的なシミュレーション結果を公表したので、まともな学者ほど破たんは口にできなくなったからです。「65歳から無職で年金は75歳受け取りになる」というような煽り記事は今でもありますが、「実は年金は破たんしなさそうです特集」はありません。

もしかしたら、あなたの入手する情報が偏っていることが、不信の一因となっているのかもしれません。
 

理由3:実は「損得」が一番わかりやすい制度だから

誰もが年金は「払い損」だと思っているわけですが、実は年金制度だけが、損得を計算しやすい制度になっています。損得が計算しやすいことがむしろ制度の不信感を高めている側面もあります。

例えば、住民税や所得税、消費税を払っていて「これが払い損か得か」実は誰もわかっていません。なんとなく損だと思っていて不信感を持っていても、誰も「20代はマイナス」とか言ってくれないので、まあそんなものかなと思っています。

健康保険料で損得を考えたとき、得をする人は保険料以上に病気やけがの治療費がかかっているわけなので、これは損得が合致しません。保険料で得をしても、日常生活上は闘病生活を送っているわけで、あまりいい状態とはいえないからです。

年金制度だけが「年金をもらう=老後を元気に楽しく生きる」という状態であり、仕組み上も保険料の負担と給付額が明確にわかります。損得が計算しやすいわけです。

よく見えることが、制度の不信感になっている、というのは皮肉なようですが、一面の真実です。
 

理由4:そもそも仕組みを知っていないから

そして最後の理由は「知らないで不信を持っている」です。これは根深い問題です。実は世の中に「知らないけど、まあそんなもんだろう」と受け入れていることはたくさんあるからです。

先ほど住民税の損得、という話をしましたが、例えばゴミ処理にかかる費用や実務的な諸問題について不公平感を持つ人はほとんどいないでしょう。住民税の一部が使われているのだろう、くらいにしか考えていないはずです。実は国民ひとりあたり年18200円くらいがゴミ処理のための費用負担ですが、この費用でよく維持できている、と思いませんか?

もしかしたら、年金記録問題のトラブルや給付のトラブル、個人情報流出のトラブルがなければ、私たちは「仕組みはよくわからないけど、まあそんなものだろう」と年金制度を見守ることができたのかもしれません。

しかし、年金制度も制度の理解を深めるほど、よく考えられた仕組みであり、不公平をできるだけ大きくしないように細かい工夫が凝らされている仕組みであったりします。

知らない、が「不信」の原因だとしたらそれは実にもったいないことです。
 

不信感を持っていてもいい、未納者にはならないようにしよう

今回のまとめですが、不信感そのものをゼロにすることはできません。しかし根拠のない不信感は少しだけでもいいので減らしてみてはどうでしょうか。

不信感はゼロにする必要はありません。国民が疑いの目を向け、厳しく監督をしていくことも大切なことだからです。

しかし、個人レベルの未納者は、個人レベルで将来に報いが来ますので絶対にやめておきましょう。将来の年金がもらえなかったり、少額になってしまうだけだからです。

文句も愚痴もいう、でも保険料もちゃんと払って、将来の年金受給の権利はなくさない。これが年金との正しい付き合い方だと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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