自動車保険/自動車保険の選び方と比較ポイント

自動車保険の乗り換えにデメリットはないの?

自動車保険の更新時期が近づいてくるたびに保険会社を乗り換えるか迷っていませんか?「乗り換えると何かデメリットがあるのでは」と思っている人の代表的な不安をピックアップし、検証していきます。

執筆者:平野 雅章

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自動車保険会社の乗り換え、本当にデメリットはある?

自動車保険会社の乗り換え、本当にデメリットはある?

「自動車保険料を抑えたい」という要望に対し自動車保険の乗り換えを提案すると、「携帯電話の解約金じゃないですけど、乗り換えは何かペナルティ、不利になることがありそうで……」と不安な気持ちを吐露されるお客様は意外に多いもの。では、具体的にどのようなデメリットを想像しているのかを聞いてみると、その内容は主に次の3つに集約されると感じています。
 
  1. 等級が引き継がれない、あるいは不利になる
  2. 保険料の安い保険会社に乗り換えると補償が手薄になってしまう
  3. 継続割引など、継続で得られるメリットが失われる
ここでは1つ1つ、検証していきましょう。
 

1.乗り換えで等級は引き継げる? 不利になることはない?

自動車保険の等級は前年契約の等級と、事故の有無・件数に応じて決定されます。新規契約では原則として6等級になり、保険を使わなければ次回更新時に1等級アップします。たとえば、新規契約の翌年更新時は何もなければ7等級になりますが、事故で1回保険を使った場合、3等級ダウン事故であれば3等級に、1等級ダウン事故であれば5等級になります。

このように、事故が少ない契約者と多い契約者の割増引率に差をつける仕組みである等級は、保険会社を変えた場合も引き継がれます。事故で保険を使っていなければ、別保険会社への乗り換えでも次年度は1等級アップして契約できます。

損害保険会社の自動車保険であれば、代理店型からダイレクト自動車保険でもスムーズに等級引き継ぎを行うことができ、全労済、JA共済も支障はありません。ただし、その他の共済(全自共、日火連、教職員共済、自治労共済など)からの乗り換えは、保険会社によって等級を引き継げるかどうかが異なるため、乗り換え先として検討している保険会社に確認が必要です。

また、保険会社の乗り換えは保険期間の途中ではなく、満期日に切り替えるのがよいでしょう。等級は1年間事故で保険を使わなければ1等級アップしますが、乗り換えで1等級アップするには、元の契約の満期日と新契約の始期日を同一にすることが前提となります。元の契約が満期になる前に解約して乗り換えをすると、解約時点の等級が新契約にそのまま引き継がれます。この場合、乗り換え後の契約の始期日から1年後に満期になるまで1等級アップされず、等級アップが遅れるデメリットが発生します(※新契約を元の契約の満期日までの短期契約とする場合、解約前後の契約期間を合計して1年とみなし次契約の等級を決定する「保険期間通算特則」により、等級の進みの遅れを避けられる保険会社もあります)。

結論として、保険会社の乗り換えが原因となる等級上のデメリットはないと考えるのが一般的です。ただし、前述したように現在の契約が全労済、JA共済以外の共済の人、あるいは保険期間の途中での乗り換えを希望する人は注意が必要になります。
 

2.保険料の安い保険会社に乗り換えると補償が手薄になる?

自動車保険の基本的な補償には、相手方への補償である「対人賠償」「対物賠償」、自分と同乗者の補償である「人身傷害」「搭乗者傷害」、自分の車の補償である「車両保険」などがありますが、これらの補償内容はどの保険会社でも大きな違いはありません。補償額が選べる単位や免責金額の設定などに細かな違いがあり、実際に乗り換える際、これまでの補償とまったく同じ内容にできないこともありますが、多くの人にとっては許容できる範囲でしょう。

一方、保険会社による違いが比較的大きいのは、オプションの補償である様々な特約。保険会社を変えると元の契約でつけていた特約をつけることができない、あるいは特約の保険金額や補償範囲が変わってしまうことがあります。

特約で特に注意したいのは「個人賠償責任特約」です。日常生活での偶然の事故(自動車事故を除く)により、他人にケガをさせたり、他人の物に損害を与えたりした場合、法律上の損害賠償責任を同特約が補償してくれます。自転車事故で賠償額9,000万円を超える判例があることを考えると、同特約の保険金額は1億円以上にするのが1つの目安ですが、同特約の保険金額の限度が少ない、あるいはそもそも同特約をつけることができない保険会社もあります。

自動車保険に同特約をつけている場合、乗り換え候補の自動車保険が同特約をつけることができるか、保険金額の限度はいくらかを確認しましょう。また、同特約は一般的に火災保険につけることもできるため、加入中の火災保険に中途付帯が可能かもあわせて確認するといいでしょう。

また、保険会社による違いとしてもう1つ挙げておきたいのは、事故時の初期対応の対応時間帯やロードサービスの内容です。事故時の初期対応として、多くの保険会社が挙げているのは事故の相手への連絡、代車の手配、修理工場への連絡、医療機関への連絡などですが、夜間・休日の初期対応の対応時間帯や、即日対応の実施の有無は保険会社により違いがあります。最近はセキュリティの専門企業と提携し、24時間365日対応で隊員が事故現場に駆けつけサポートしてくれるサービスを無料提供する保険会社も増えています。ロードサービスはほとんどの保険会社で24時間対応ですが、バッテリー上がりなどトラブル時応急作業の無料利用の回数制限や、無料レッカーけん引の距離制限などは保険会社により細かな違いがあります。

つまり、保険料の安い保険会社に乗り換えることで補償が薄くなるわけではありませんが、乗り換え先の保険会社によってはこれまでつけていた特約がつけられなくなる、あるいは事故時の初期対応体制やロードサービスの満足度が下がってしまうということはありえます。逆にいえば、保険料が下がったうえで、より自身のライフスタイルに合った特約をつけられる、あるいは自分にとってより安心感のある初期対応体制やロードサービスが提供されるという乗り換えもありえるのです。

次のページでは「継続で得られるメリット、どれくらい失われる?」を紹介します。
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