SUZUKI(スズキ)/スズキ

新型スイフトスポーツの完成度はどうか?

スズキが定義するところでは3代目にスイッチした新型スイフトスポーツ(スイスポ)。先代から約6年ぶりのフルモデルチェンジで待ちに待った!! という方もいるかもしれない。気になるスイスポの仕上がりを探ってみた。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

3ナンバー化を果たした新型スズキ・スイフトの走り

スズキ・スイフトスポーツ

新型スイフトスポーツのボディサイズは、全長3890×全幅1735×全高1500mm。初の3ナンバー化され、コーナリング性能、直進安定性ともに高まっている


スズキが3代目と「表現」している新型スイフトがデビューした。2003年登場のスイフトにスイフトスポーツが設定され、ジュニアWRCにも参戦していたのだが、スズキではこの軽自動車派生コンパクトカーはカウントに入れていない。

それはさておき、3代目スイフトスポーツは、欧州ではBセグメントに分類されるホットハッチ仕様で、ルノー・クリオR.S.、プジョー208GTi、新型が発表されたポロGTIなどがライバル。

新型スイフトスポーツは、1.4Lの直列4気筒直噴ターボを搭載し、最高出力140ps、最大トルク230Nmというスペックを得ている。トランスミッションは6MTのほか、6ATを設定。


大人になった新型スイフトスポーツ

スズキ・スイフトスポーツ

新型スイフトスポーツの価格は6MTが183万6000円、6ATが190万6200円


プレス向けの試乗会が開催された千葉県のかずさアーク付近は、高速道路までのアクセスも比較的よく、山道を含めた郊外路が取り巻く環境で、新型スイフトスポーツの実力の一端でも垣間見るにはまずまず向いているのかもしれない。

ノーマルのスイフトに対して、前後トレッド(左右のタイヤ接地面の中心間の距離)を30mm拡幅するという、ワイドトレッド化により3ナンバー化されたスイフトスポーツは、公道では限界がうかがえないほど走行性能が高く、自慢のコーナリング性能はもちろん、動力性能も大きく進化している。

2011年登場の先代まででは、ハンドリングにしても動力性能にしても、いわゆるクルマ用語で言う「ピーキーさ」を残していた。雑にハンドル操作をすると、ボディが大きめに傾いたり、揺り戻しが大きくなったりするシーンもあったのだが、ワイドトレッド化によりある程度ロールは許しながらもピタリ

新型はスポーティなのは当然だが、AT(先代のCVTからAT化)仕様ならとくに走りにある意味、上質さも加わり、ワイドトレッド化された安定感のあるコーナリングマナーにより、一歩大人になった印象を強く受ける。

CVTも年々改良されてきているが、「ラバーバンドフィール」は皆無ではない。スポーツモデルだとよりアクセルを速く踏んだり、深く踏んだりしがちで、エンジンの回転ばかり高まって速度が付いてこないようなフィーリングが強調されるのだ。

しかし、トルコン付のATなら洗練されたシフトフィールがスポーツ走行をしても大きく損なわれる感じはない。

新型スイフトスポーツ

先代の1.6L NAエンジンから小型・軽量化されたKC14C型直噴ターボを搭載。140ps/230Nmというスペックを実現(先代は136ps/160Nm)。燃費も14.8km/Lから16.4km/Lまで向上している(ATは先代のCVTの15.6km/Lから16.2km/Lに向上)


組み合わせるCVTが手元にない、あるいは最大トルクの許容量を超えているなど、AT化の理由はいくつかあるだろうが、CVT化により目先のカタログ燃費を追求されるよりも、上質な変速フィールを引き出せるAT化は、スイフトスポーツのユーザーにとっては間違いなく朗報であるはずだ。

また、先代よりも70kg軽量化されたという高剛性ボディも好印象で、公道レベルではボディが悲鳴を上げることなく、大小多様なコーナーを難なくクリアしてくれる。

MTならさらに楽しく、イージードライブだって許容

スズキ・スイフトスポーツ

赤をアクセントカラーに使ったメーカーパネルは、個人的には、もう少し大人の雰囲気が欲しい気もする。しかし、スポーツを名乗るコクピットテイストが与えられ、専用本革巻きステアリングホイールなどにより質感の高さも確保されている


今度のスイフトスポーツは、AT限定免許でも選択肢に入れたい出来映えで、個人的にはATの完成度の高さに驚かされたが、スイフトスポーツといえば主役はやはりMT仕様。その仕上がりも秀逸だ。

2-5速をクロスレシオ化することで、シフトアップ時のエンジン回転数を落とすことなくスムーズな再加速が可能。中・低速域からのトルク感はコンパクトハッチとは思えないほど分厚い。状況によっては、3速あたりに入れっぱなしのイージードライブも許容する。

1.4Lターボエンジンは、トランスミッションを問わず、予想以上にトルク感がある。スイフトスポーツであっても静かに「普通」に走りたいシーンがあるはずで、もう少し出力を抑えた「エコモード」があってもいいかも、と思えるほどだ。

欧州のライバル「ルーテシアR.S」と比べると?

ルノー ルーテシアundefinedR.S.

ルノー ルーテシアR.S.(ルノースポール)も今夏マイナーチェンジを受けた。こちらは、ルノースポール シャシーカップで309万円。なお、ルノー ルーテシアR.S.の価格帯は284万~329万円


新型スイフトスポーツの仕上がりは、欧州Bセグメントのライバルと比較してもまったく遜色はない。ひとつ気になるとすれば、同時期に私が試乗していたルノー ルーテシアR.S.(つまり、冒頭で紹介した欧州名クリオR.S.)と比べると、新型スイフトスポーツは、より実用車ベースのホットハッチであると再確認させられることだろう。

スズキ・スイフトスポーツ

新型スイフトスポーツのフロントシート。軽量化を図りつつ、強度が確保されたシートフレームが採用されたフロントシート。ランバーサポートの高さはコーナリング時に実感できる


大きいのは、着座位置の高さだ。新型スイフトスポーツは、先代よりも前席のヒップポイントを20mm、後席のヒップポイントを45mm下げている。しかし、ルノー ルーテシアR.S.は、同クラスの中でもかなり低い位置に足を投げ出すような姿勢で座らせるため、目線の高さが丸っきり違うのだ。

乗降性などの実用性を担保しながら仕立てている新型スイフトスポーツは、それはそれで使いやすく、隙のない仕上がりで、毎日乗れるスポーティハッチという印象。スポーツという1つの要素だけみると、この乗車姿勢からしてルーテシアR.S.とは別モノだと実感する。

スズキ・スイフトスポーツ

荷室はノーマル仕様と同じ使い勝手。265Lの容量は、Bセグメントの中で特別広くはないが、日常使いなら不足はないだろう


どちらがイイか悪いかではない。新型スイフトスポーツは、183万6000円~という今どきの高額軽自動車並で買えてしまうことも忘れてはならないだろう。若い人だけでなく、久しぶりにコンパクトハッチで走りを楽しみたい!! という熟年層の方もスイフトスポーツなら十分に満足できそうだ。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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