復讐する女たちの心理と行動

復讐する女たち

復讐する女たち

不倫に限らず、自分が裏切られたと感じると「復讐」を企てる女性がいる。もちろん男性にもいるのだろうが、女性たちの復讐は微に入り細に穿っているものも多く、怒りにまかせただけではないとよくわかる。


浮気疑惑による嫉妬と妄想が膨らんでいき……

女たちの復讐劇を見てみよう。まずは軽いものから。

「同棲中の彼に浮気疑惑が。そういえば最近、迫っても『疲れた』と言うことが多い。嫉妬と妄想が肥大化してしまい、夜中に寝ている彼の下着をおろして陰毛をボンドで固めてしまいました。翌朝は私のほうが早く出勤。電車に乗っていたら、『大事なところが固まってる。何があったんだ!』と。おかしくて吹き出しました」(26歳)

同じような浮気疑惑では、彼が大事にしていたフィギュアを捨てたり、彼の下着や洋服を切り刻んだり。中には彼の下半身を赤いマジックで塗ったという例も。

ただ、浮気が疑惑ではなく確証になったり、長年つきあってきたのにいきなり別れを宣告され、その向こうに女性の気配があったりすると、笑い話ではすまなくなる。女性たちの怒りが爆発するのだ。

最近よくあるのは、相手の女性をSNSで突きとめて嫌みを書き込む手口。自分がつきあっていた彼に直接やり返すのではなく、彼が浮気した女性を傷つける方法だ。もちろん女性側も負けてはいない。ふたりだけにわかるやりとりで悪口の応酬となる。


愛情が裏切られたとき、女たちは我慢しない

プライドを傷つけられたショックが怒りに変わり、憎悪へと変貌する

プライドを傷つけられたショックが怒りに変わり、憎悪へと変貌する

これが不倫となると、もっとすさまじいことになる。モトコさん(38歳)は、仕事関係で知り合った7歳年上の男性に熱烈に口説かれた。彼は別居して離婚調停中だと言っていたそう。

「どうしてもあなたと人生をやり直したい、あなたと幸せになりたいって。あまりに情熱的だったから、私もその気になっちゃったんですよね」

彼は荷物をモトコさんの家に運び込み、知り合って3ヶ月後には同居するようになっていた。ところが彼はちょくちょく行方がわからなくなる。シフト制の仕事で夜勤も多いが、スケジュール以外にも行方がわからないことがあるのだ。彼は責任ある立場のため、シフト以外でも仕事をしていることが多いというのだが……。

実際には彼はたびたび自宅に戻っていた。そもそも別居も離婚調停中もウソだった。

「それがわかったのは彼のスマホを盗み見たから。彼、自分の誕生日に私と住んでいるところに戻ってこなかったんですよ。怪しいと思ってスマホを見たら、家で子どもや奥さんに囲まれて誕生日会をやっている写真が残っていた。ちゃんと『46歳おめでとう』とケーキに飾りがあったから間違いではありません」

騙されていた――彼女の中で何かがキレた。


社会的にも家庭的にも抹殺してやりたい心情

おそらく彼はモトコさんのところにいるときは、自宅には仕事が忙しくて帰れないとでも言っているのだろう。

「許せない。そう思いました」

許せないのは彼の愛情が本物でなかったこと。そして自分がないがしろにされたことで、プライドがずたずたになったこと。どちらが彼女にとって大きかったのだろう。

「私が本気で好きだったのに、彼のほうはそうではなかったことが最初はショックだった。ただ、そこからはもうプライドの問題だったかもしれません」

モトコさんは、家にあった彼の荷物を会社に送りつけた。しかもダンボールの脇に「家財遺留分」と大きく紙を貼りつけておいた。さらにアクセサリーなどは透明のビニール袋に入れて、彼の自宅に郵送した。これなら妻もすぐ察するだろう。

「とにかく社会的にも家庭的にも抹殺してやりたい一心でした。やられたら倍返し。そんな気持ちもあったのかもしれない」

ただ、これですっきりとはいかないのが人間の気持ちだ。あのとき彼は本気で自分を好きだったのか、なぜウソをついたのか。いくら考えてもわからないことばかりだ。


経済的にすぐ夫と離婚できないが、復讐したい妻も

一方、夫の不倫が発覚したときの妻の気持ちは複雑だ。離婚をする気があるなら徹底的に復讐もできるが、夫を社会的に抹殺しようとすれば自分や子どもの生活も危うくなる。家庭は経済的なベースがひとつなのだから。そうなると相手の女性に牙をむきたくなるのも人の心理。夫は悪くない。あの女が夫をそそのかしたのだと自分自身に言い訳がつく。

パートで働いていた条件のいい仕事を辞め、夫の浮気相手と同じ会社にパートで入り込み、嫌がらせを続けた女性もいる。

「比較的近所での浮気で、どうやら知らないのは私だけという状態だったんです。それがとにかく腹立たしくて。なんとか相手の女を困らせてやりたかった」

サエコさん(43歳)は、死んだゴキブリを彼女の靴に入れたり、職場に彼女が浮気しているという怪文書のチラシを作って置いてみたり。ちなみにチラシを作る女性は少なくない。相手の家の近所に貼ったり、相手の子どもに渡したりすることも多々ある。

さすがに夫と彼女は別れたようだが、今度は夫への怒りがふつふつとわき起こっている状態だという。

「夫への復讐はこれからじっくり考えます。子どもたちを大学まで出すためには、今のところは離婚はできない。定年退職したところで離婚するとか、老後に介護が必要になったときに嫌がらせしてやるとか……」

ショックが怒りに変わり、それが持続して憎悪へと変貌していく。ひとたびそうなると、女性たち自身がすでにコントロールできず、憎悪が行動を起こさせる。

愛情を裏切られたときの女性の爆発力は、おそらく男性の想像を超えている。


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