一般家庭のくつろぎのシーンとは?

くつろげるインテリアにしたいと思ったとき、あかりはどのように考えればいいのでしょうか。今回は、All About「インテリアショップ」ガイドでインテリアコーディネーターでもある、くろだあきこさんに、インテリアにおけるあかりの役割やくつろげるあかりについて、いろいろお話を伺っていきたいと思います。

ガイド越川

くつろぎと明かりについて話す、ガイド越川

ガイド越川(以下、越川):照明の役割について、私は3つあると思っています。1つは、必要な明るさを提供すること。これは機能的な役割です。2つめはインテリアとしての役割。3つめは照明手法としての役割です。照明器具のデザインそのものはもちろん、どんな照明をどのように配置するかも、空間に大きな影響があると考えます。

くろださん:私も明るさという機能面のほかに、影をつけることも照明の重要な役割だと考えています。影ができることで奥行きが生まれ、逆に明るさを感じることができる。この明暗がくつろぎにつながると思います。

越川:では、いきなりですが、くつろぐとは、どんな状態のことでしょうか。多くの人は、どのようにくつろいでいると思いますか?

くろださん:リビングでテレビを見ながら家族団らんというのが、一般家庭のくつろぎのシーンというところでしょうか。

越川:そんな感じですね。では、その時のリビングのあかりは?

くろださん:イメージとしては、天井にシーリングライトのみの一室一灯。光の色は、大抵、白い光ですね。

越川:そうなんですよね。そんなご家庭が多いと思います。

日本の住宅は部屋全体が明る過ぎる!

「インテリアショップ」ガイドのくろだあきこさん

北欧のあかりの取り入れ方やインテリアについて話す、「インテリアショップ」ガイドのくろだあきこさん

越川:一室一灯で、白い光という話が出ましたが、日本の住宅は明る過ぎると思いませんか?

くろださん:確かに、そうですね。部屋のどこもかしこも、とにかく明るいですね。

越川:多くの家では白い蛍光灯の照明器具を設置しているので、家全体が明るくて白い光に包まれています。でも、本来、日本人の感性はそうではなかったはず。日本の住宅は窓が大きく、自然光がたくさん入るのですが、光が入りすぎるとまぶしいので、庇を設けたり、障子を使って光を柔らかくしたり、庭にバウンドした光を取り入れたりと、いい光の環境をつくってきたんです。

くろださん:それなのに、なぜ、白い光一辺倒の空間になってしまったのでしょうか? もしかしたら、蛍光灯の普及が関係していますか?

越川:それは大きいと思います。記事「快適な暮らしを実現する、LED照明器具の賢い選び方」でも触れたのですが、蛍光灯が普及することで「明るいこと=豊かさ」という誤った認識も広まってしまったといえるでしょうね。また、欧米人とアジア人では、同じような照明の下でも明るさに対してのとらえ方が違うことも挙げられます。それから、日本人が白い光を好む理由としては、働き者だからということも一因としてあるでしょうね。家でも本を読んだり、勉強したり。

くろださん:それにしても、明る過ぎる(笑)。

越川:同感ですね。リビングなどでも、ただくつろぐというより、何かしら作業をしている人が多いから明るい。本当はくつろぐには適度な暗さが必要なんですけれどね。

くろださん:最近はリビングで勉強をするお子さんが増えていると聞きます。それだと、くつろぎや雰囲気を考える以前に、明るくしないといけないですね。

越川:人間は昔から、太陽の動きや明るさに合わせて暮らしていました。そして、体内時計とも関係があるように、昼間は白いあかりで活動的になり、夜は赤みを帯びた色で少し暗いあかりのほうが落ち着きます。
一室多灯の一例

一室多灯の一例です。赤みを帯びた光の下では落ち着いた気分になることができます


くろださん:最近、不眠に悩んでいる人が多く、睡眠負債という言葉も話題になっています。睡眠負債とは、睡眠不足が毎日少しずつ積み重なり、気づいたら大きな負債のようになっている状態をいうのだそうです。不眠になるのは明るすぎるからかもしれません。

越川:そうですね。夜に強いあかりの下で暮らしていると覚醒してしまいますね。

くろださん:日本の住宅のあかりは、くつろぎとは正反対の方向の環境になってしまっているというわけですね。もっとくつろげるあかりについて考えてほしいものです。

次のページでは、部屋の雰囲気を変えたり、くつろぎを生み出す効果的なあかりの使い方について紹介していきましょう。>>