素材によって異なる、食器の扱い方・洗い方・収納方法とは
食器の“素材”を把握しよう
<目次>
まずは食器の“素材”を把握しよう
食器棚の中を見てみると、食器の素材は「陶器」と「磁器」あとは「ガラス」「漆器」「木製」に分類できることがわかります。ちなみに陶器と磁器は一見すると似ていますが、じつは質感や強度がまったく異なります。以下、参考までに特徴を解説しておきましょう。■陶器の特徴
陶器は、焼き目がざらっと粗めで、軽くて柔らかい質感が特徴。しかし、それだけ気泡も多く、水分もにおいも染み込みやすいです。また磁器に比べると割れやすく、欠けやすいので扱いは慎重に。
■磁器の特徴
高温で焼き上げて、石を粉砕して練った素材で作られる磁器は密度が高く、硬い質感です。比較的薄い仕上がりで陶器よりも丈夫で扱いやすく、金・銀箔仕上げなど、特殊な加工などをしていなければ食洗器もOK。乾燥も早くてお手入れしやすいですね。多くの洋食器や和食器だと九谷焼や有田焼きが磁器になります。
素材に合わせた食器の使い方、洗い方
食器は素材によって使い方を変えるのも利用寿命を伸ばすうえで大事なひと工夫。また、使い方だけでなく洗い方も素材によって変えたいところです。■「陶器」は使う前にぬるま湯に浸し、洗う時は香りに注意
たとえば陶器は目が粗くたくさんの気泡があるので、使う前にまず水かぬるま湯に30秒~1分ほど浸します。あらかじめ水を含ませて、水の膜をつくり、料理の調味料や油分、においが染み込むのを防ぐためです。
また、使ったあとは、香りが残りやすいので、香りが強い洗剤は使わずに、少量の液体せっけんで洗うのがおすすめ。汚れが少ない場合は、お湯とスポンジだけで洗いましょう。使う前に水分を含ませることで、汚れがしみ込んでこないのでそれでも十分汚れは落ちますよ。
■生地仕上げの「木製品」はオイルで薄く膜を張る
陶器と同じく、漆器や木製品も、香りの強い合成洗剤は使わずにぬるま湯と柔らかい素材のスポンジなどで優しく洗います。しっかりゆすいだら、布巾で拭いてしっかり乾燥させてから食器棚へ収納して下さいね。
また、塗装のかかっていない、生地仕上げの木製品は、使う前にぬるま湯にさっとくぐらせて、乾いた布巾で軽く拭いて水分を含ませてから使います。これは、陶器と同じく色やにおいがしみ込まないようにするため。
さらに、毎回でなくても大丈夫なので、植物性のオイル(菜種油やオリーブオイルでOK)をキッチンぺーパーで薄く塗って膜を作っておきましょう。こうすることで、乾燥による割れ防止にもつながりますし、使い込んだ感じのいい風合いにもなりますよ。
■「ガラス」は、洗い方ひとつでクリアさが違う!
ガラスの器は比較的手入れが楽なアイテム。食洗器もOKだし、薄張りグラスなどはチップに気をつけて手洗いする程度です。ただ、“最後のひと工夫”をすると洗い上がりのクリア度がかなり違ってきます。
まず、ゆすぎの最後に熱めのお湯でさっとひと流し。油分も汚れもコレできれいに流されます。そして、洗いかごや水切りマットに、グラスなら伏せて、お皿などは水切れがいいように立てるか斜めにして置きます。そのまま数分放置すれば、お湯の熱で器が温まり、すばやく自然に乾燥するのです。
布巾で拭く必要がなく、グラスに糸くずなども付かず、拭き跡も残りませんのでとってもきれいな洗い上がりになります。
ちなみにビールグラスはこの方法で洗うのがおすすめ。グラスの内側に汚れが残っていると、その部分に泡が付着してしまい泡立ちが悪くなりますが、この方法で洗ったグラスなら泡が細かくきれいにクリアになります。
ふだん食洗器で洗っている人も、1~2週間に1回くらいは手洗いをして、最後にこの仕上げをすれば、ガラス食器のくすんだ感じの風合いがなくなるでしょう。
乾燥はとても重要! 食器棚にすぐ戻さないで
食器を洗い、しっかりゆすいだ後は、乾いた布巾で優しく拭きます。そのあと、別の乾いた布巾の上に並べてひと晩かけてしっかり乾燥させます。このしっかり乾燥がとても大切。食器棚にすぐには戻しません。
食器棚を開けたときに“もわっ”と臭いがしたことはありませんか? あの臭いは乾燥不足が原因です。また、陶器をしっかり乾燥させずに収納すると、カビの原因にもなりますのでご注意くださいね。それと陶器は「食洗器OK」の表記がなければ手洗いしてください。1回や2回程度であれば破損はしませんが、高温のお湯での洗浄、強い水圧、乾燥をくり返すことで、確実にもろくなり、色つやも悪くなります。陶器の寿命を縮めますのでご注意下さい。
さて、使って洗ったら次は収納方法です。
食器棚の中はどうやって収納する?
素材別に扱い方や洗い方を説明してきました。さて、つぎは収納方法です。あなたのお家の食器棚の中には、どんな素材のどんな食器がどれくらいありますか?まずは、食器棚の中からすべて出して並べてみてください。つぎに、素材ごとに分けてみましょう。ここで、それぞれの素材に合う扱い方を思い出してみてください。よく使うもの、滅多に使わないもの、あるはこの記事を読んでみて「扱い方を考えれば、これは来客時に取っておこう」など……いままでと違った使い方のものが、出てくるかもしれませんね。 ときどきしか使わないもの、形がそろっていないものや漆器を重ねたいときには、食器と食器のあいだにキッチンぺーパーを挟んで収納します。糸尻部分には釉薬(ゆうやく)がかかっていないものがほとんどなので、重ねると糸尻の下の部分が当たってキズになりますのでご注意ください。
お皿は重ねすぎない、小物をプラスして出し入れしやすく
お皿はついついたくさん重ねがちですが、あまり重ね過ぎると、おのずと下にあるものに手が伸びなくなります。食器棚の棚板の間隔が広いのも重ねがちな要因のひとつですが、とは言え棚板を増やせない、可動式の棚板ではないこともあるでしょう。その場合は、食器棚に小物をプラスして使いやすくしてみましょう。コの字ラックを使ったり、ファイルケースなどを利用して立てることで、収納も出し入れもしやすくなります。 ただし、立てて収納をすると、お皿のふちにどうしても負担がかかりますので、ファイルケースの中にクッション材になる布やキッチンペーパーを畳んだものなどを敷いて衝撃を少なくしてください。
※上の写真のコの字ラックは無印良品のもの。スチール製で丈夫なので、重みがある食器収納にもぴったりですよ。ファイルケースも同じく無印良品のものです。しっかりしていて、倒れたりふにゃりと変形することもないので、食器など重みのあるものを入れるときは、紙製のものや100円ショップのものではなく、こちらを使うことオススメします!
食器棚全体を見直して、ゾーニングを考えてみよう
食器自体の扱い方や収納方法がわかったら、食器棚全体を見直してみることも良いでしょう。ライフスタイルも持っている食器も、出番が多い料理もご家庭によって違うので、「絶対この方法がいちばん良い!」とはなかなか言い切れないのですが、考え方としては……- よく使うもの、ときどき使うもの、滅多に使わないものによって置き場所を変える
- よく使うものは、一番出し入れしやすい場所、目につく場所に。使わないものほど奥、下、高いところへ収納する
- 朝ごはんセット、夕飯セット、お弁当セット など、毎日同じ時間帯で使うものをまとめて置いておく。
また、小さいお子さまがいるご家庭では、サイズの違う子ども用食器をまとめてかごなどに入れてから、食器棚やキッチンに置いておくというのもオススメですよ。
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