海外移住にかかるお金
海外に長期間滞在するとなると、「生活費をどうやってプールするか」悩むところです。移住資金や費用に関するあれこれをまとめました。滞在スタイルや使途目的で異なる資金準備とその方法
海外での暮らしがどのようなスタイルであるのか、ご自身の滞在スタイルや使途目的によって、資金準備の方法も異なります。資産を海外に移動すると一概にいっても、税法上の観点から、さまざまな規制や取り決めがあり平易ではありません。まずは滞在スタイルを決め、滞在国や日本の税法にのっとった資金準備、通貨とのつきあい方を考えます。滞在3ヵ月未満であれば国際キャッシュカードを利用する
PLUSとCirusに対応するATM機の操作を説明する台湾の銀行員 |
国際キャッシュカードは、それぞれの国の通貨に対応します。例えば、アメリカ国内のATM機を利用した場合は、即時両替された米ドルで引き出すことになり、残高も米ドルに換算して表示されます。一部、機械によっては、引き出す通貨を選択できる場合もあります。同じカードを、今度はタイ国内で利用した場合、バーツで引き出すことになります。ですから、滞在国を一ヵ所に限定するのではなく、複数の国で滞在をするのであれば、手間が省けてたいへん便利なアイテムです。
ただし国際キャッシュカードには、いくつかの難点もあります。現地で引き出すことはできても、預け入れることはできません。また、金融機関によっては残高確認をするだけでも手数料がとられます。手数料率や両替レートは、一般の取引に比べ若干高めに設定されているので、滞在期間がさらに長期化する場合には不向きです。
滞在が長期に渡る場合や頻繁な往来には現地で銀行口座を開設する
日本語で口座開設サービスを行うバンクーバーのTDカナダトラスト |
現地の銀行に口座を開設したら、後日、日本から海外へ海外送金の手続きをとります。現在では外為法により、200万円相当額を超える海外送金、両替、外貨預金等を行う場合、銀行などの金融機関窓口において、運転免許証や保険証の提示などの本人確認が求められます。また、海外送金手数料は金融機関によってまちまちです。サービスの内容などを、よく比較するようにしましょう。
海外での銀行口座開設には必ず本人が出向く
一般に海外では、非居住者の銀行口座開設に消極的な金融機関が少なくありません。誰でも口座開設ができるわけではなく、ひとつの国や地域でも、金融機関によって取り扱いも異なります。不動産売買などの取引があって初めて開設するひとも少なくありません。海外での銀行口座開設は、基本的には現地銀行の窓口に本人が出向き、パスポートと預け入れるお金、パスポート以外で身分を証明できるものを提示のうえ、口座開設の手続きをします。おもにサイン取引となるため、口座名義人が必ず出向きサインをします。通帳の習慣がない場合が多く、そうした金融機関ではステイトメント(利用明細書)を発行・送付されますので、滞在先の住所を開設申込書に明記します。居住地がホテルなどの一時的な滞在施設の場合は、口座開設を拒否されることもあります。
また、アジアをはじめマイナー通貨国のローカル銀行で口座開設をするさいによく見受けられるのが、スポンサー(ローカルの身元保証人)の同意を必要とする点です。一時居住用の査証(ビザ)を保持していることなどが、開設要件に含まれることも珍しくありません。
完全帰国をするさいには、口座解約の手続きを必ずとるようにします。口座維持手数料や、最低預入額を下回った場合や無取引期間が長い休眠口座の場合、ペナルティが課せられるのも一般的です。もろもろの注意点を、開設時によく確認するようにします。
なお、現金やトラベラーズチェックなどを携行して出入国をするひとで、100万円相当額を超える場合は、日本税関に申告が必要です。相手国にも同様に、通関にかかる申告不要の上限などが決められているが通例です。多額の現金の持ち出し、持ち込みは、マネーロンダリングを疑われますので注意するようにしましょう。