お金の悩みを解決!マネープランクリニック/早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談

46歳独身、貯金7000万。1年後リタイアは可能ですか?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、早期リタイアを検討している40代女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 想定する生活費なら老後資金に不安も

ご相談の47歳からのリタイア生活について試算してみましょう。

まず、退職予定の来年3月までに、貯蓄が約190万円(給与8カ月+ボーナス半年分)可能ですから、退職金が支給されないとしても、退職時の総貯蓄額は7190万円。また、60歳以降、支給される個人年金保険の年金総額が1013万円(税金は考慮せず)あり、これも加算すれば、老後資金として約8200万円が用意できることになります。

一方、生活費ですが、相談者の「むうにいさん」は平均20万~21万円と考えられているようです。実際にそうなるとすれば、年間約245万円。無収入となる65歳までの18年間で、約4400万円を取り崩すことになります。65歳以降は、支給される公的年金額を110万円とすると、そこから税金や社会保険料を差し引き、生活費の自己負担額は150万円程度。90歳まで生きるとすると、25年間で3750万円となり、計8150万円が老後資金として必要となるわけです。

結果、計算上は足りることになりますが、これで足りるかと言えば、断定はできません。不安要素として、ひとつは長生きによるリスク。91歳で老後資金は底を尽きます。もう一つが、不測のまとまった支出(医療費や介護費用など)が発生する可能性、プラスして試算はあくまでも基本生活費のみが足りるにすぎないということです。生活費以外の遊行費などを考えれば、資金的にもう少し余裕が欲しいということになります。
 

アドバイス2 生活のダウンサイジングも効果的対策

そのための対策はいくつかあります。

まず、先の試算は完全リタイアのケースですが、少しでも働く=セミリタイアにするということ。ご自身も「60歳もしくは65歳まで働きたいと考えております」と言われていますが、それは老後対策にはとても有効です。収入が月5万円でも、15年間なら900万円。結果的に90歳の時点で1000万円近い資金が手元に残ることになります。

もうひとつが、生活のダウンサイジングです。例えば、生活費を月1万5000円削減すると、90歳までの43年間で774万円。90歳の時点で800万円近い金額がまだ貯蓄が残っています。

また、むうにいさんの場合、他にも選択肢がありそうです。

先の、リタイア後の生活費として月20万~21万円がどのような試算から出たものかは不明ですが、お母さんと実家でずっと暮らすとなると、無職の場合、生活費として入れている6万円は不要とのこと。つまり、毎月は基本的に12万5000円の生活費で済むことになります。不定期の旅行費や交際費等を加えても、月20万円はかからないと思われます。

また、ご実家を人に貸す場合、家賃収入を得ることもできます。当然、その分、老後資金に余裕が生まれます。さらに、転職活動がスムーズに進み、就職できれば、状況は大きく変化します。慌てず、事前にいろんな選択肢を比較検討しておけばいいでしょう。
 

アドバイス3 社会の接点を失わないように

また、資金運用については、普通預金に7000万円は超低金利の時代でももったいない気がします。定期預金なら、利息0.2%程度の商品はいくつかあります。税引き後でも、年間10万円以上の利息を手にすることができるわけです。あるいは、もし就職し、一定の収入を引き続き得るようであれば、個人型の確定拠出年金(iDeCo)を始めてもいいでしょう。掛け金が全額、所得控除の対象になりますから、確実に節税効果が得られます。確定拠出年金は、運用というイメージがありますが、定期預金のような元本保証の商品もあります。金融機関によって口座管理料などのコスト額が異なりますので、そこは注意が必要です。

最後に、47歳でもしリタイアされたら、その後の人生はかなり長いということを認識してください。人生はまだ半分と言っても過言ではないでしょう。その間、社会との接点がなくなることは、やはり心配です。リタイア後の明確なプランがあれば別ですが、何となく過ごされて、いつの間にか社会と接する機会が減ってしまい、気がつけば引きこもってしまったというケースもめずらしいことではありません。

その意味でも、仕事を辞めて直ぐにとはいいません。数年後からでも、またアルバイトでいいので、ともあれ自分のペースで働かれてはどうでしょう。「バイトも受からないかもしれない」と言われていますが、もっと自信を持つべき。収入はさほど高くなくてもいいのですから、できそうな仕事、あるいは興味のある仕事を選び、積極的に働かれることをお勧めします。

教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武



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