分譲マンションの管理業務を専門の管理会社に委託する場合でも、あるいは自主管理による場合でも、一人ひとりの住民の主体性が重要であることに何ら変わりはありません。しかし、あまり気負い過ぎてしまうといろいろな軋轢や行き違いも生じるようです。

もう何年か前のことになりますが、その当時、従来の委託管理を解消して住民主導による自主管理を始めたことでよく知られていた某マンションでのこと。

ある日、管理費や修繕積立金を滞納している世帯の部屋番号・氏名と滞納金額を一覧表にして、賃借人を含む全世帯に「回覧版」で知らせたのだそうです。1階のテナント部分に入居していた店舗の店員さんが、それを見てびっくりしたと教えてくれました。

それまでにどのようないきさつがあったのかは分かりませんので、安易に論じることはできませんが、管理費などの滞納事実を全世帯に知らせることについてどう思うのかは、当然ながら人によってさまざまに異なります。

滞納をしているのだから当たり前のこと、あるいは仕方のないことだと考える人もいれば、逆に怖さや不安を感じる人もいるでしょう。

管理費や修繕積立金の滞納を解消することは、管理組合を運営していくうえでたいへん重要なことですが、そのための手段によっては、滞納当事者ではなくても息苦しさや住みにくさなどにつながりかねません。

会社の倒産などさまざまな事情によって収入が減り、どうしても管理費などを支払うことができない事態になってしまうこともあります。余裕はあるのに「払いたくないから払わない」という人はそれほどいないはず。

かといって、滞納問題に何ら有効な対策を講じなければ居住者間の不協和音も高まるでしょう。

また、居住者同士のコミュニティをつくりあげていくことも分譲マンションにとって大切な課題とされていますが、人付き合いの苦手な人、あるいは他の居住者とは生活サイクルが異なる人にとって大きな負担になることもありそうです。

マンションでは居住者のマナーが問題にされることもありますが、一方的なマナー違反だけではなく、ちょっとした行き違いから感情的な問題になってしまうこともあるでしょう。

ものの考え方や感じ方が一人ひとり違ううえ、いろいろな事情を抱えた人たちが共同で生活するマンションは、常に非常に難しい問題を抱えていることが宿命なのかもしれません。


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(この記事は2006年7月公開の「不動産百考 vol.1」をもとに再構成したものです)


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