すぐキレる!思い通りにならないと怒る子どもの心理状態とは?
<目次>
「反抗期」は発達の一過程、「キレる」は感情のコントロール
気に入らにことがあると直ぐにキレたり、自分の思い通りにならないと些細なことでも激しく怒る子どもに対し「反抗期」と思われることもありますが、第一次反抗期、いわゆるイヤイヤ期や、思春期の第二次反抗期と「キレる」ことは、違うものです。「反抗期」は子どもの自我の芽生えであったり、アイデンティティの確立であったり、精神発達の一過程で、時期が過ぎれば治まってきます。ですが、「キレる」ことは、ストレスや生活習慣などから生じ、感情のコントロールが上手く出来ない状態です。
もし子どもがキレた場合、親はどのように対応すればよいのでしょうか? キレる子どもの心理状態やその原因を詳しく説明し、改善する親の関わり方をお伝えしていきます。
感情や意志を抑圧されてきた子どもはキレやすい
気に入らないことがあったり、自分の思い通りにならないと、些細なことでも攻撃的な言動を露わにする子どもは、「何でも思い通りになり、我慢を強いられずに育った子ども」というイメージを持たれがちですが、実はそうではありません。親に虐待を受けたり、家庭的に恵まれなかった子どもは常に我慢を強いられ、思い通りにならない幼少期を送っています。そのような子どもたちはキレることが少ないかと言うと、反対に多いのが現実です。それは何故なのでしょうか? キレる子どもの心理とはどういう状態なのでしょうか?
キレる子どもの心理とは? 感情と言動のギャップが原因
子どもがキレる原因は、さまざまな要因や背景が複雑に絡み合って起こるもので、ひとつに限定することはできません。ですが特に大きな原因に「素直な感情と周囲に見せる言動のギャップ」があげられます。そのギャップが大きければ大きいほど、心の抑圧も大きくなり、キレやすくなると言えるでしょう。キレやすい子どもは、乳幼児期に親に感情を否定された経験が多い
赤ちゃんの頃、ママパパに抱っこしてもらえないことに寂しさを感じ、泣いて訴えたところ、すぐに親が駆け寄って笑顔で「寂しかったのね」と声をかけられ、抱っこされた経験をしてきた赤ちゃんは、「寂しかったら泣く」という感情を素直に出せるようになってきます。ですが、反対に泣くことによって、親が「うるさい!」と言って、怒りの感情を露わにし拒否された場合、赤ちゃんは寂しい時、泣くと親に受け入れらないと感じ、徐々に泣かないようになっていきます。
生活の全てを親に依存している赤ちゃんは、「寂しくても笑顔でいなければ、自分は生きていけない」という本能が働くのです。そして生きていくために、真の感情を抑え、偽の感情や言動を表すようになっていくのです。
キレやすい子どもは、自分の意思を抑圧された経験が多い
最近の小学生は習い事の数が多く、毎日何かに通っているという子どももいるでしょう。自分が意欲的に取り組みたい習い事であればよいのですが、気の進まないままに通い続ける子どももいると思います。親に「辞めたい」とはっきり自分の意志を伝えたところ、叱咤され、激怒された、または親が悲しそうな顔をした、などの場合、子どもは真の意志を抑え、気の進まない習い事を続けていることもあるでしょう。そのため、本当の気持ちや意志は抑圧され、真意でない生活を送ることになっていきます。
抑圧された感情が爆発すると、子どもはキレる
そして、ずっと抑えていた感情や真意でない日常にストレスが蓄積され、ある時、耐えきれず、一気に爆発し、キレる子どもになってしまうのです。「すぐにキレる」「キレやすい」と言われる子どもは、本当の感情や意志を出せなかった子ども、自分の気持ちを抑え、親に従順に従っていた、従わざるを得なかった子どもと言えるでしょう。親がすぐにできる!キレた子どもへの具体的な関わり方ステップ
■ステップ1、ありのままの自分を出しても大丈夫という安心感を与えるキレる子どもは、それまでに本当の自分の感情を出したところ、親に認められなかった、受け入れられなかった、拒否されたという記憶がファイルされています。ですので、子どもが素直な感情を出してきた時は、どのようなものでも、一旦は受け入れてあげてください。時にはスキンシップを取りながら、ゆっくり話を聴いてあげるのもよいでしょう。
■ステップ2、キレた時の感情を思い出させ、自分と対話させる
落ち着いている時、「なぜあの時あんなに大声出して暴れたの?」と尋ねます。返答は、子どもの心理状態によって、さまざまだと思います。その時の思いや感情を落ち着いて話せる子もいれば、そうでない子もいるでしょう。
どのような言葉を発しても否定せず、「そう、悔しかったのね」「辛かったんだね」「それは、腹立つわね」という感じに子どもの言葉をオウム返ししながら、「今だったら、その時の自分になんて言葉をかける?」と尋ねてみましょう。
「そんなに腹を立てなくてもよかったのに」「落ち着いて言葉で説明すれば分かってもらえたかもしれない」などの言葉を引き出せるかもしれません。
これを繰り返すうちに、徐々にキレている自分を客観的に見る力が養われ、少しずつ、真の感情と表面に現れる感情や言動のギャップが小さくなり、キレる状態が改善されることが多いでしょう。
子どもがキレるその他の原因と改善法
■規則正しい生活習慣を心がけるキレる原因には、食事や睡眠時間などの日常の生活習慣もあげられます。例えば、神経の興奮を抑えるカルシウムが不足すると、キレやすくなると言われています(※「青少年暴力に関連する食生活因子」 須藤 紀子(国立保健医療科学院生涯保健部)カルシウムの摂取不足より)。その他、カルシウムの吸収を助けるビタミンDなども含め、バランスよく栄養素が摂取できる食事を心がけましょう。
また生活が不規則になると、子どもの精神状態が不安定になったりし、キレる原因になります。睡眠時間や適度な運動も含め、規則正しい生活を心がけるようにしましょう。
■発達障害の可能性も視野に入れる
その他、原因には発達障害や何か病気の可能性があることもありますので、親が見て「ちょっと他の子とは違うかもしれない」と感じたら、専門医を尋ねてみましょう。
キレる子ども自身も辛い事を理解し、焦らず対応する
一概に「キレる子ども」と言っても、その原因や表れ方はさまざまですが、幼い頃から蓄積された心の抑圧で、子ども自身もセルフコントロールできず、辛いのです。自分自身を制御できない苦しみや、周囲から益々受け入れられなくなる不安を抱きながら、葛藤している子どもの心を理解しましょう。少しずつ素直な感情が出せるように、縛られているモノから解き放たれるには、親や周囲の大人たちの努力と時間が必要です。子どもがキレる原因とその心理状態、対処法について解説しました。親はゆっくり焦らずに、子どものありのままの気持ちを受容し、安心して本当の自分を表現できる環境を整えていきましょう。
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