アドバイス1 来年以降、趣味の観劇に使うコストは半減に
まず、問題の観劇ですが、今年いっぱいで「大好きな方」が退団されるということですから、それまでは今のままで、悔いが残らないよう応援されていいのではないでしょうか。そのかわり、その後は、少なくともコストに関しては半減、つまり現在、半年で48万円支出しているということですが、これを少なくとも年間で40万円台に抑えるべきだと考えます。仮に、今と同じペースで支出していくと、毎月貯蓄はしているものの、観劇費用は捻出によって、実質毎月の貯蓄はほぼゼロ。年間収支では赤字にはなりませんが、貯蓄はできたとして、ボーナスから年間で10万円程度でしょう。今後、老後資金を貯めていくべき時期に、これでは増えていきません。逆に、観劇コストをしっかり抑えれば、まとまった額の老後資金が準備できます。
ただ、気になるのは、「大好きな方」が引退された後、また新しく好きな方ができても、コストを半減することができるかどうか。多少、貯蓄を取り崩しても、すぐに経済的に困るわけではなく、また、独身ゆえ、使えてしまう環境にもあります。趣味は人生を豊かにしますし、それを無理に抑えるデメリットも小さくはありません。しかし、ここでズルズルと支出し続けることは危険です。そこはcannaさん自身が意識して抑えるしか方法はありません。
アドバイス2 65歳まで働くことがもっとも効果的な老後対策
実際に、観劇コストが半減できたとします。それがすべて貯蓄に回りますから、単純に年間50万円とすれば、定年までの20年間で1000万円。これが今後の貯蓄のひとつの目安になるかと思います。現在、貯蓄が約750万円。これに養老保険の満期金と退職金を上乗せすれば、それが用意できる老後資金ということになるわけです。退職金額は不明ですが、男性社員が2000万円程度ということであれば、cannaさんも1000万円超は手にできるのでは。だとすれば、定年時に3000万円前後、確保することができるはずです。
では、この金額は老後資金として足りるでしょうか。公的年金(老齢厚生年金)が仮に月15万円とします。定年後も毎月の生活費が今と変わらないとすると、ボーナスでカバーしていた支出分も月の支出に振り分けないといけませんから、結果的に月20万円くらいになりそうです。
一方、現行制度では年金支給は65歳からですから、定年後からの5年間は、生活費をすべて貯蓄から捻出することになります。月20万円で5年間なら1200万円。65歳以降は不足額が月5万円となり、90歳まで生きるとして30年間で、不足額の合計は1800万円。老後資金が3000万円とすると、ちょうどピッタリです。ただし、この金額だと、長生きリスクや不定期な支出(医療費、介護資金など)には対応できません。
このリスクを軽減するための、もっとも効果的な方法は65歳まで働くこと。幸い、職場には再雇用制度があります。健康面の不安もあってでしょうか、できれば60歳以降は働きたくないとのことですが、働くことをオススメします。
アドバイス3 確定拠出年金を始めるにはいい時期
また、貯蓄ペースを上げる=支出を減らすことは、「今できる」老後対策となります。そこで、今の家計から観劇コストの半減以外に見直すとなると、やはり保険でしょう。少なくとも、終身保険の死亡保障200万円は不要です。貯蓄のつもりでしたら、現金で貯める方が効率的。払済保険にしましょう。もう1本の終身保険は、健康祝い金も含めて、「お宝保険(支払った保険料に対して戻りが大きい)」であれば継続してもいいですが、さほどでもないならこれも払済保険にして、浮いた保険料は貯蓄に回すべきです。
また、通信費も契約プランを見直す、格安スマホに切り替えるなどして、下げる工夫はできるのでは。逆に、食費は月2万5000円と、一人分とは言え、かなり低く抑えられています。少なくともこれ以上削るのは良くないと思います。
もうひとつ、職場に確定拠出年金制度があるかどうかわかりませんが、もしなければ、年齢的にも個人型(iDeCo)を始めるにはいいタイミングでしょう。老後資金づくりに特化した制度なので、引き出しは60歳以降になりますが、掛け金が全額、所得控除になりますので確実に節税になります。ただし口座管理料等のコストも発生します。金融機関によってその額は異なりますので、よく調べてから始めてください。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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