お金の悩みを解決!マネープランクリニック/40代独身の人のお金の悩み

40歳貯金750万円。月5万円を趣味に使い貯金を取り崩す(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、趣味に月5万円のお金を使っているが、老後資金を確保したい40代会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 来年以降、趣味の観劇に使うコストは半減に

まず、問題の観劇ですが、今年いっぱいで「大好きな方」が退団されるということですから、それまでは今のままで、悔いが残らないよう応援されていいのではないでしょうか。そのかわり、その後は、少なくともコストに関しては半減、つまり現在、半年で48万円支出しているということですが、これを少なくとも年間で40万円台に抑えるべきだと考えます。

仮に、今と同じペースで支出していくと、毎月貯蓄はしているものの、観劇費用は捻出によって、実質毎月の貯蓄はほぼゼロ。年間収支では赤字にはなりませんが、貯蓄はできたとして、ボーナスから年間で10万円程度でしょう。今後、老後資金を貯めていくべき時期に、これでは増えていきません。逆に、観劇コストをしっかり抑えれば、まとまった額の老後資金が準備できます。

ただ、気になるのは、「大好きな方」が引退された後、また新しく好きな方ができても、コストを半減することができるかどうか。多少、貯蓄を取り崩しても、すぐに経済的に困るわけではなく、また、独身ゆえ、使えてしまう環境にもあります。趣味は人生を豊かにしますし、それを無理に抑えるデメリットも小さくはありません。しかし、ここでズルズルと支出し続けることは危険です。そこはcannaさん自身が意識して抑えるしか方法はありません。
 

アドバイス2 65歳まで働くことがもっとも効果的な老後対策

実際に、観劇コストが半減できたとします。それがすべて貯蓄に回りますから、単純に年間50万円とすれば、定年までの20年間で1000万円。これが今後の貯蓄のひとつの目安になるかと思います。現在、貯蓄が約750万円。これに養老保険の満期金と退職金を上乗せすれば、それが用意できる老後資金ということになるわけです。

退職金額は不明ですが、男性社員が2000万円程度ということであれば、cannaさんも1000万円超は手にできるのでは。だとすれば、定年時に3000万円前後、確保することができるはずです。

では、この金額は老後資金として足りるでしょうか。公的年金(老齢厚生年金)が仮に月15万円とします。定年後も毎月の生活費が今と変わらないとすると、ボーナスでカバーしていた支出分も月の支出に振り分けないといけませんから、結果的に月20万円くらいになりそうです。

一方、現行制度では年金支給は65歳からですから、定年後からの5年間は、生活費をすべて貯蓄から捻出することになります。月20万円で5年間なら1200万円。65歳以降は不足額が月5万円となり、90歳まで生きるとして30年間で、不足額の合計は1800万円。老後資金が3000万円とすると、ちょうどピッタリです。ただし、この金額だと、長生きリスクや不定期な支出(医療費、介護資金など)には対応できません。

このリスクを軽減するための、もっとも効果的な方法は65歳まで働くこと。幸い、職場には再雇用制度があります。健康面の不安もあってでしょうか、できれば60歳以降は働きたくないとのことですが、働くことをオススメします。
 

アドバイス3 確定拠出年金を始めるにはいい時期

また、貯蓄ペースを上げる=支出を減らすことは、「今できる」老後対策となります。そこで、今の家計から観劇コストの半減以外に見直すとなると、やはり保険でしょう。少なくとも、終身保険の死亡保障200万円は不要です。貯蓄のつもりでしたら、現金で貯める方が効率的。払済保険にしましょう。

もう1本の終身保険は、健康祝い金も含めて、「お宝保険(支払った保険料に対して戻りが大きい)」であれば継続してもいいですが、さほどでもないならこれも払済保険にして、浮いた保険料は貯蓄に回すべきです。

また、通信費も契約プランを見直す、格安スマホに切り替えるなどして、下げる工夫はできるのでは。逆に、食費は月2万5000円と、一人分とは言え、かなり低く抑えられています。少なくともこれ以上削るのは良くないと思います。

もうひとつ、職場に確定拠出年金制度があるかどうかわかりませんが、もしなければ、年齢的にも個人型(iDeCo)を始めるにはいいタイミングでしょう。老後資金づくりに特化した制度なので、引き出しは60歳以降になりますが、掛け金が全額、所得控除になりますので確実に節税になります。ただし口座管理料等のコストも発生します。金融機関によってその額は異なりますので、よく調べてから始めてください。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武



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