生活保護の「葬祭扶助」を利用することで実質負担ゼロ

生活保護受給者は「葬祭扶助」利用で負担軽減

生活保護受給者は「葬祭扶助」利用で負担軽減

生活保護制度は、国民の最低生活の保障と自立を目的とした制度ですから、基本的には生きている間の制度であり、被保護者の死亡によって保護は終了となります。

しかし国民感情、公衆衛生、治安、人道上、倫理上の観点からも、葬儀ができないからといって遺体をそのまま放置しておくことはできませんので、戦前の救護法から葬祭扶助が規定されています。

葬祭扶助とは、困窮のため葬儀費用が出せない人のために、行政が葬祭に関する必要最低限の扶助を行ってくれるという制度です。生活保護法で定められている葬祭扶助の内容は、以下の4つの事項の範囲になります。

  1. 検案
  2. 死体の運搬
  3. 火葬又は埋葬(※埋葬とは土葬を意味する)
  4. 納骨その他葬祭のために必要なもの

支給される葬祭扶助費は20万円前後(自治体によって異なる)。通夜、葬儀・告別式といったセレモニーはできません。棺やドライアイスなど、故人に関係する最低限の備品の用意はできますが、祭壇、遺影写真、装飾花なども含まれません。火葬のみで行ういわゆる「直葬(ちょくそう)」スタイルとなります。


葬祭扶助を受けるための条件

葬祭扶助制度を利用するためには、つぎのどちらかの条件を満たしている必要があります。

A:扶養義務者(葬儀を執り行う人)が生活保護受給者で生活に困窮している場合

B:故人が生活保護受給者で遺族以外の人(民生委員、家主、友人など)が葬祭執行者となる場合

【A】の場合、管轄の役所の福祉事務所によって扶養義務者の資力調査が行われ、その収入や困窮状態を元に葬祭扶助費が支給されます。

【B】の場合、故人が残した財産・金品が葬祭費に充当され、それでも足りない額が支給されます。いずれにせよ、葬祭執行者に金銭の負担はありません。


葬祭扶助の申請方法

葬祭扶助の申請は、いかなる場合も支払いを済ませる前に申請すること

葬祭扶助の申請は、いかなる場合も支払いを済ませる前に申請する。支払い完了後の申請は認められません。

原則として、扶養義務者が葬儀執行人になる場合は、その市区町村福祉事務所に「葬祭扶助」の申請をします。扶養義務者でない人が葬儀執行者になる場合は、故人の居住地(管轄する自治体)の福祉事務所になります。

申請後、葬祭扶助が認められると、通常は福祉事務所から葬儀社へ直接葬祭扶助費が振り込まれます。

葬祭扶助は、葬儀(火葬)が実施される前に申請しなければいけません。取り急ぎ無理して調達したお金で支払いを済ませ、そのあとに申請をすると、「資力がある」と判断され支給されませんのでご注意を。


香典の扱いはどうなる?

香典に限らず、出産、就職、結婚等に際して渡される金銭(祝儀、不祝儀)については、福祉事務所において個別に判断されます。慶弔事の種類、地域の慣習等を考慮するほか、近隣の低所得者との均衡を考えて、社会通念上妥当な範囲内であれば、収入とはみなされません。

ちなみに慶弔事の種類とは、人生の転機に際して贈与されるもので、入学祝、卒業祝は認められますが進級祝、誕生祝は収入として認定されます。


遺骨はどうなる?

葬祭扶助には、お墓や納骨の費用扶助は含まれていません。家族や親戚が遺骨を引き取り、先祖代々の墓に納める人もいますが、なかには遺骨の引き取り手がいなかったり、引き取り拒否をされるケースもしばしば。

引き取り手のない遺骨の多くは、生活保護受給者や行旅死亡人など身元不明者の遺骨専用の納骨スペースに納められます。通常、3~5年は個別に保管され、その後、合葬(集合)墓にまとめられます。


ホームレスの場合はどうなる?

●身元が判明している場合
友人・知人、民生委員など(扶養義務者以外)が葬祭執行者となる場合、「生活保護法」に基づき葬祭扶助により火葬が行われます。

●身元が判明しているが、葬祭執行者がいない場合
「墓地、埋葬等に関する法律」に基づき、死亡地の市町村長によって火葬され、自治体で遺骨が保管、数年後に合葬(集合)墓に納められます。

●身元が判明していない場合
指名、本籍地、住所などが判明せず、遺体の引き取り手がいない場合、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に基づき、火葬後、数年間各自治体で個別保管、官報に公告さます。数年後、合葬(集合)墓に納められます。

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